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「ちょっと一服盛ってくる!」


 あれから10年の月日が流れた。


 『リーリエ』は王都に帰還後、王宮へ乗り込み、国王に直接正しい報告をした。それにより手配書は撤回、遂に勇者パーティーとしての名誉を取り戻した。


 偽りの報告で世間を欺いていた『ブレイバーズ』は罪に問われ、殺人と詐欺罪で投獄。噂では獄中死したとされるが、真相は闇の中。


 魔王討伐に端を発する、文化隆盛の激しい時代。


 そんな華々しい世間も我関せず。


 リリーは相変わらず、山の上でのんびりと医者をしている。

 そんなリリーの元へ、懐かしい客が訪ねてきた。


「リーさん久しぶり~」

「カーさん!? わ! わ! 久しぶり! 9年ぶりくらい?」


 正確には10年だ。黒タイツを返しにきて以来となる。


「あら? もうそんなにたった?」

「うん! 黒タイツ、順調みたいね」


 今や、貴族、庶民の違いなく『公の場には黒タイツ』と言われる程、生活に根付いている。黒タイツに「フォーマル」のスキルを付けた、カサブランカの作戦勝ちだ。

 もちろん、「フォーマル」の付いていない、普段使いの物も売られている。


 因みにデザイン協力者として、脚フェチ改め、黒タイツフェチとなったネメシアも尽力している。


「ん~、なんとか定番として根付いたみたい。

 あ! そうそう、途中で懐かしい顔見たわ『リーリエ』。あの子たちまだ通って来てるのね」


 深いため息がリリーから漏れる。


「『リーリエ』ねぇ、」

「どしたの?」

「何かと理由つけて、未だにお代払ってくれないのよ。金利分は働くって毎月来てるんだけど、有名人に草むしりされてもねぇ。正直、お金のほうが楽!」


「あらら。・・・・ 一括払いの為に貯めてるとか?」

「分かんない、口じゃなんとでも言えるし」

「因みにいくらなの? 9年掛かっても貯めれない額?」

「10億ルル」

「10億ルル!? それは無理よ、いくらなんでも」

「でもぼったくりじゃないのよ? むしろ良心的! そもそも、死者の蘇生が端金な訳ないじゃない!」


 リリーの言う通りである。


「確かにそうねぇ。

 ねぇ、その額だともう、お金の価値が変わるまで待ってるんじゃない?

 どうする? 10億ルルが、一番安い銅貨1枚になったら」


 リリーはテーブルに突っ伏し、だだっ子になってしまった。


「もぉ~やだぁ~、贅沢できると思って買ったあれやこれの支払いがぁ~!

 カーさん儲かってるんでしょ? 養ってよぉ~」


「結婚してくれたら良いわよ?」


 リリーが飛び起きる。


「それだ!!」


「え!? ウソ!? 結婚? ホントにしちゃう?」

「うん! あいつらに媚薬飲ませる! それで全員で孕ませ合って、子供が四人産まれれば、そいつらからも回収できるわ!

 こうしちゃいらんない! ちょっと一服盛ってくる!」


 リリーは口笛を吹き、媚薬を取り寄せ握りしめると、家から飛び出そうとした。


「待て待て待て」


 リリーは心底不思議そうに、カサブランカを振り返る。


「リーさん、私と結婚してくれるんじゃないの?」

「?? 違うよ? でもまぁ、いずれ機会があれば、あるんじゃない? そんな可能性も」


 カサブランカが人知れずショックを受ける。だが彼女が真に聞きたいのはそれではない。


「・・・・ 媚薬って魔女用の、ちんちん生えるやつでしょ? リーさんも交ざるの?」

「私は交ざらないよ~。私が交ざったらお代取り難くなっちゃうじゃない!」

「そう、なら良いわ。行ってらっしゃい、頑張って」


 心底ホッとしたカサブランカは、リリーの目論見が上手くいく事を祈り、二人分のお茶を淹れ待つことにした。


 待つこと数分、と思いきや、リリーが戻ったのはそれから2時間後だった。


 カサブランカはリリーを信じ、様子を見に行かなかった。だが心配していない訳ではない。


「リーさん! 大丈夫? まさかあいつらに何かされたんじゃ、」

「うん、めっちゃ怒られた。ちゃんと説明したのにぃぃ」


 カサブランカは安堵し、リリーを抱きしめた。


「・・・・ そっか、説明しちゃったか~」

「あいつらが悪いのにぃぃ」


 リリーはカサブランカの腕の中で泣きべそをかいている。


「リーさん、媚薬余ってるなら、私と使う?」

「・・・・ 私、カーさんと趣味合わないし」


 カサブランカは腋フェチである。そしてリリーは巨乳フェチ。


「私もリーさんの趣味、変態って思うし理解できない。でも受け入れる事はできる。リーさんは?」


「私もカーさんの趣味は理解できない。でも軽蔑はしてないし尊重もできると思う」


「それにリーさん。私の身体、好みでしょ?」

「うん、好き。巨乳は大好き!」


「ね、リーさん。今がその機会よ」

「機会? ・・・・ あっ、結婚? 本気?」


 カサブランカはいつにない真剣な眼差しをしている。


「そっか、本気か。う~ん・・・・」


(カーさんと結婚かぁ。毎日一緒って事以外、ちょっと想像できないなぁ。けど、他に相手もいないし、巨乳だし、親友だし、人生長いし、ダメなら別れればいいだけだし。

 ・・・・

 ・・・・

 してみるか! 結婚! そもそも、カーさん以上の人なんて知らないし)


「ねぇ。魔女カサブランカ。私と、結婚してくれる?」

「もちろんよ! 魔女リリー、あなたと結婚します!」


 カサブランカは嬉しさの余りリリーを抱きしめた。だが、すぐに離すと、言った。


「準備できたら家に来て!」


 カサブランカは媚薬を掴み慌ただしく出て行く。


「ちょっとカーさん! 媚薬のお代!」

「指輪で払うわ!!」









 これで完結となります。


 何故か6話が、構想を無視して結婚話に。

 ですが、最後の台詞を書いた時、これで良いか、と思い、そのままの形で完結とさせていただきました。


 締まらないラストですが、一応、タイトルへのオチはついたかなと思います。


 最後まで読んで頂きありがとうございます。少しでも楽しんでもらえたなら幸いです。





 彼女らの今後を少し。





 リリーはカサブランカと結婚。

 昼間は変わらずベス山で医者を続け、夜は王都のカサブランカの家で暮らして居ます。

 転移が使える彼女は、村に連絡用のベルを置き急患に対応できる様にしているので王都で暮らせています。



 リーリエの四人は、冒険者向けの保険会社、リーリエ扶助協会を設立。さらに10年かけ、10億ルルを支払います。利子は交渉の末、リリーが折れて無かった事に。


 これでリリーとリーリエの物語は終了です。



 最後まで拙い文章にお付き合い頂きありがとうございました。


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