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ダンジョン日記  作者: 亜坂コウ
二章
55/56

54

五月六日 晴れ

Y岳でモンスター討伐。

Y岳の集落はほぼ壊滅状態だった。

もともと老人ばかりの集落だったが生き残ったのは一軒だけで若い後継者がいるところだけだった。

片山巧君というらしいが彼に話を聞いたところ街のダンジョンに同級生と何回か入ったことがあるらしい。

その経験もあってモンスターと必死に戦っていたようだ。

他の住宅は住人や家畜は連れ去られているようだった。

ダンジョンから溢れたモンスターたちは、外にいる生物を捕まえてダンジョンに戻ってくるようだ。

四日はダンジョンの前に待機して戻ってくるモンスターやダンジョンから出てくるモンスターをひたすら倒した。

出てくるモンスターは百二十センチほどの猿に似た姿で周りは木々が繁っているので厄介だ。

巧君に市役所や警察に連絡して応援を要請したが四日中には来なかった。

日が落ちるギリギリまで討伐を行い夕食を巧君の家でお世話になった。

被害を聞いたところ子牛が二頭ほどやられたらしい。

それでも両親と嫁さんに子供三人、それに十二頭の牛を守り通したのは凄いことだ。

その日はそれで帰って自分のところのダンジョンを確認したら堀にたくさんのゴブリンが落ちて死んでいた。

どうやら俺が見た後で湧いたみたいだが堀で結構な数が死んだようだ。

八時を過ぎてだいぶん疲れてはいたが一階からB3までのモンスターを倒して回った。

戻るときに鹿やウサギ、サルを運ぶゴブリンの集団に遭遇したのでそいつらも倒した。

十二時を回ったくらいに家に帰って風呂とか済ましてすぐに寝た。

五日は早めに起きてまず自分のダンジョンを一階からB4まで駆け足で倒して回った。

全体的にいつもよりモンスターの数が多かったし若干装備もよくなってる気がする。

B4のボス以外を倒した後はY岳に向かいダンジョン前で張ってモンスターを倒し続けた。

昼頃に応援で斎藤さんという警察の人が来たのでダンジョン前を任せて、俺はダンジョンに入ってモンスターを倒して回った。

中は土がむき出しの洞窟という感じだが、太い根が天井のいたるところにありそれを伝って猿型のモンスターが襲って来た。

うちや水神様のところに比べるとモンスターが強い気がする。

それでも浅い階層では苦労せずに倒せた。

B4まで降りたが人の痕跡は発見できなかった。

おそらくすでに吸収されてしまったんだろう。

ボス部屋も見つけたが今回は攻略よりも救出や討伐が目的だったのでそこまでで戻った。

ダンジョンから出ると斎藤さんがモンスターの死骸と野生動物の死骸をダンジョンに放り込んでいた。

斎藤さんに現状を聞いたところもともと人が入っていたダンジョンでは大きな被害はなくダンジョンにいた人たちだけで対処できたらしいが、私有地にありなおかつ誰も入ってなかったダンジョンからは大量に湧き出て対応に四苦八苦したようだ。

ただ、街にあるダンジョンは近くのダンジョンからの応援や警察のダンジョン課が対応して今は落ち着いているらしい。

それで連絡がつかないところから優先的に配備して対処に当たっていたとのことだった。

ここは俺と巧君がいるから最後になったらしいので市内のダンジョンはほぼ落ち着いたことになるようだ。

その日はそこで切り上げて早めに休んだ。

今日も朝早くに起きてうちのダンジョンでモンスター討伐。

今日はボスとも戦った。

召喚されたら速攻をかけて何もさせずに倒した。

宝箱からは青いポーション。

そこまで変わった感じはなかったがちょっと耐久が上がってる気もする。

そのあとは水神様のところのダンジョンに行って配備された警官に状況を聞いた。

あれからカエルは出てきてないようだ。

それで近くの探索経験がある人たちで今ダンジョン内でモンスターを討伐しているらしい。

警察は中には入らないのか聞いたら今は人員が足りずそこまで対応できないそうだ。

飲み物と軽食を差し入れしてY岳に向かった。

斎藤さんとは交代して別の警官が来ていた。

こちらは帰ってくるサルたちと何度か戦闘があったらしい。

こちらの警官にも差し入れをして巧君のところに顔を出した。

こんな状況でも生き物を飼っていれば世話をしないわけにもいかず、昨日から普通に仕事をしているらしい。

牛乳の回収にも来てくれているようだが、飼料の方がどうなるか分からないようだ。

集落で一軒だけになってしまったがここで生活を続けると言っていた。

しばらく話をした後またダンジョンに戻り今日もモンスターを討伐した。

昨日と比べると明らかに数が減っていたので通常運転に戻ったのかもしれない。

B4まで討伐した後ダンジョンを出たら斎藤さんがまた来ていた。

もう外からはモンスターが戻ってきていないということなのでボス部屋に一緒に行かないか提案してみたら了承をもらえたので二人でボスと戦った。

斎藤さんの装備は警棒と盾と銃。

銃はいざという時には発砲の許可が出ているそうだ。

ボスは俺と同じぐらいの体格の白いサル。

尻尾が二本あってそれらで天井の根をつかみながら三次元の動きで迫ってきた。

胸をドンドン叩きながら奇妙な動きをすると仲間を呼べるようなのだ。

斎藤さんがボスを受け持ち俺は雑魚を処理しながら隙があれば攻撃という感じでじわじわとボスの体力を削って倒した。

宝箱は二つ。

一つは大きな毛皮で、もう一つは指輪が二つ入っていた。

斎藤さんはボスを倒すのは初めてらしく指輪の説明を簡単にした。

そのあとダンジョンをでて俺は帰った。

毛皮は斎藤さんに預けた。

ボス戦で疲れたがうちのダンジョン前のゴブリンたちの死骸をどうにかしないと、これ以上放置すれば大変なことになりそうだったのから片付けることにした。

もうすでに腐り始めているようで嫌な臭いと変な汁が出てきていた。

ガスマスクを装着して無心で作業を続けたがとにかく大変だった。

それに風呂に入っても臭いが抜けてないような気がしてならない。

結局作業が終わってから三回も風呂に入った。


五月七日 曇り→雨

ゴールデンウィークは結局休めなかったので今日から三日は休むことにした。

なので今日は丸一日家にいてゴロゴロした。

人夫衆にはもうしばらく休みと伝えた。


五月八日 雨

石井さんから電話があった。

校区のダンジョンに対応してことに対しての感謝とうちのダンジョンの状況を聞いてきた。

そういえばうちのダンジョンには警官が来てなかった。

状況を話してて思い出したのでそのことを伝えると市役所から警察に連絡してもいてもらえるらしい。

昼過ぎに警察からも電話があって明日から配備になるそうだ。

今日もゴロゴロ過ごした。


五月九日 曇り

朝からダンジョンに入ってモンスター討伐。

十時ごろ出てきたらちょうど警官が来ていた。

これから三交代の二十四時間態勢で警戒に当たるそうだ。

一度モンスターを倒したら一日は湧かないと伝えたが、今回みたいなことがまた起きないとも限らないので警戒しなければならない決まりになったそうだ。

大変だろうなとは思うがこちらとしても助かることではあるのでそういうことならとお願いして家に帰った。

明日からは仕事も再開することにしよう。


五月十日 曇り→晴れ

xx山で駒うち。

三時ごろに言葉にできないけど恐ろしい何かからメッセージをうけた。

停滞せずに進み続けろ、ということらしい。

人夫衆も同じメッセージを受け取ったようだ。

不思議な現象ではあるが仕事を放りだすわけにはいかないので夕方までしっかり駒うちをした。

夕方からはダンジョン。

B4まで討伐。


五月十一日 晴れ

xx山で駒うち。終了。

道具の片づけも含めて夕方に終わった。

今日はダンジョンはパス。


五月十二日 晴れ

xx山で入れ木。十本組んだ。

夕方からはダンジョン。

B4までモンスターを討伐。

夜に巧君から電話があった。

どうやらY岳では中に入って討伐する人がおらずモンスターが出てきてしまうそうだ。

俺に来てもらえないかと言われたが俺にも仕事があるので断った。

近所や緊急事態ならともかく警察で対応できているなら、それ以上の面倒は見切れない。

可哀そうだとは思うけどそこで生きると決めたのは巧君なのだから、浅い階層くらい自分で対処してほしい。


五月十三日 晴れ

今日は人夫衆は休み。

巧君に電話して今日だけの約束でダンジョンに連れて行った。

B4までの地図を渡し、モンスターが出るところやモンスターの攻撃方法、それの対処の仕方等を教えて一人で対応させた。

B2くらいはどうにか一人でやれるようになったので、これからは自分で対処するように伝えた。

ダンジョンから出てきたら斎藤さんがちょうど交代の時間だったので二人で飲みに行くことになった。

斎藤さんは俺と同い年だった。

高校を卒業してすぐに結婚したらしい。

警官になってすぐくらいに娘が生まれてそのあと息子が二人と娘がもう一人ポンポンと生まれて中々生活が厳しかったようだ。

そんでいまでも嫁さんとラブラブなんだと。

厳つい面構えの割に家族の写真をニヘらと崩れた表情で話す姿は面白かったが、同い年のやつに大学生の娘がいることに衝撃を受けた。

来年には四十になるというのに仕事かダンジョンばかりで外に全然出ていかない。

このままでは孤独死へ一直線だ。

代行で帰る車内から寝るまでそのことがグルグル頭をめぐり続けた。

今日から再開します。

基本は毎日更新したいと思いますが、不定期になると思います。

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