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第二章⑦
この景色に見覚えがあるとは思わない。
けれど、ここが自分の居場所なんだと感じた。
出来るだけ彼らに近づきたい。
そこへ。
あの場所までと、私は手を伸ばしていた。
一瞬だった。
すべてが見えた。
これが願いであり、私の世界の全てだったのかもしれない。
包まれる世界だ。
熱狂。
掬われる世界だ。
月へ、梯子を掛け、身を引き絞って跳躍し、走り出す。
あの場所へ行けるだろう。
私は確信している。
確かめに行こう。
きっと、それが未来だ。
どんな結末だとしても、私はその真ん中を通過する。
逃走ではない。
脱出とも違う。
羽化。
脱皮。
抵抗の末に招き入れた、限りなく焼却に近い、赤い浄化のようなものでしょう。