第3章 石の箱、自由の国、戦争。
この世界に来て一週間位たっただろうか?この世界には一応時間という概念があるようだ。しかも俺の世界と同じだった。やっぱり太陽とかの関係上、こうなるらしい。俺はこの世界で出会った少女「レイ」とその家族と生活をしていた。俺はカトリーヌおじさんと畑仕事をしていた。
「この生活にも慣れたかい?」
笑顔でそう聞いてきた。本当にこの人たちはいい人たちだ。
「はい、おかげさまで。」
そういい畑仕事を一生懸命やった。
「ヒカル!おじさん!そろそろお昼にしよう!」
そういってレイはお弁当を持ってきてくれた。3人でお弁当を食べていると、
「ヒカルのいた世界ってどうゆう世界だったの?」
目をキラキラさせてこちらを見ている。どうやら俺のいた世界に興味があるようだ。
「この世界より技術が進歩していて石の箱みたいなのがたくさん街にあるんだ。そこで人は働いたり住んだりしているんだよ。夜になるとその箱の窓の部分が光ってね、夜空の星のように輝いているんだ。その光一つ一つに人がいて、その光の数より人生があるんだよ。」
そう言うとレイは、
「その世界は楽しそうだね!戦いが無くて平和なんでしょう?」
俺は答えるのが苦しかった。元の世界で強盗をして何故かこの世界に来たからだ。でも少し経ってから答えた。
「俺のいた国は少しは平和だった。でも幸せではない人たちもいるんだ。残念だけど、、、そうゆう人たちが悪いことをするんだ。」
とてもじゃないけど「俺は強盗だった」なんて言えなかった。この子の目の輝きを消したくなかった。
「そんな平和な世界なのに悪いことをするなんて最低ね!」
レイがそういって怒っていた。俺はこんないい子にウソをついてしまった。
「他の国もそんな感じ?」
そう聞かれた。
「自由の国と呼ばれる国があるよ。そこは世界中から自由を求めて人がたくさん来るんだ。」
「そんな国があるんだ!行ってみたいなー!その国も平和なの?」
この子は平和が大好きなんだと感じた。
「その国は平和だけど軍事力はすごいんだ。戦って自由を守ってる。そして悪い人たちを倒すんだ。」
そしてレイは困った顔をして
「戦って平和なんてそんなの変じゃない?もしかしてそれがあなたたちの世界の平和なの?でもやっぱり変だよ。」
この子は純粋だ。まるで透明で輝いているダイヤモンドのようだ。レイは暗い顔をして
「あなたたちの世界でも戦争はあったの?」
「あぁ、あった。昔はたくさんあったが、中でも大きい戦争は、、、」
「大きな戦争は?」
胸が痛くなる。でも教えないと、、、
「第一次世界大戦と第二次世界大戦、、、世界中を巻き込んだ2つの戦争。どちらもたくさんの人が死んだ。そして第二次世界大戦では俺の国も多くの命が失われた。」
「あなたの国はどこと戦ったの?」
「自由の国だ、、、」
「えっ、、で、で、で、でもあなたの国は正しいことをしたんだよね!?」
必死で慰めてくれた。
「悪いことをしたんだよ、、、俺の生まれる80年前位昔の話だ。第一次世界大戦が終わって二度と戦争なんてしないと世界は誓った。でもまた混乱が起こり3つの国では独裁者が現れた。そのうちの1つの国が俺の国だ。」
「独裁者って?」
レイは涙目だったが興味はあるようだ。
「悪い王様みたいな感じかな?その3人は仲間になり、国の人を騙して世界中と戦争をしたんだ。そして世界を敵に回した。そしてたくさんの人を殺し、殺させた。」
遂にレイが泣いてしまった。
「もう、止めよっか?」
「まだして。」
話の続きをしようとしたとき。
「仕事の続きをしよう、レイは遊んで来なさい。」
カトリーヌおじさんが言った。
「はあぁぁい、、、」
レイはガッカリしてしまったが、笑顔を取り戻し、遊びに行った。