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佳人の冬
わたしは美女を知らない
きっとあなたはわたしを知らない
そうしてそれでいいという冷ややかさ
甘さをわたしは知っている
その眼差しは日常を追うだろうけれど
赦されない俗人の扱いを持って
佳人薄命月明落花
どうしてだろう
美しさは悲しい
尊い顔は
淘汰ための傲慢な遂行へと導かれ
切り取られた瞬間だけが語る
彼(彼女)は美しかったと
ff
日は昇る躓き転び呻くとも
陰は付き添う踏まれ黙って
音を聞く夜こそ冬の物語
返す返すも昔も今も
美人には冬が似合うような気がする
取り澄ました寒さ
ほっそりとした装い
その人の周りだけが特別に緊迫するように