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夢の彷徨い
灯る明かりに誘われるような
空はまだ夜の薄闇で
冷たい朝がわたしたちを包んでいるころ
人びとはそっと歩む
眠る人を起こさないように
それがどれほどかけがえがないのかを
誰よりも知っているから
急ぐことはない
今日も夜は明けるから
やがて確定する光までの僅かな時
建物たちは眠りの横顔を見せている
窓に一つ
入口に一つ
まるで片目を眠そうに開けるように
あれは誰かの目覚め
でも
もしかして夢の彷徨い
今はそれでいい
どうしても静けさが吹く風にはあるから
東の空はまだ暗いから




