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文字の音
音をテーマとして書き始めるけれど
例によってどうなるかは分からないのです
音声通話はソナーのように
あっさり晴れた水面から光の届かぬ深みへの
それは不思議な一方通行
いつも話し手は潜っていて
いつも聞き手は探っている
立ち昇る泡のような言葉を
それでは文字は?
目に見えない手触りの黙読
予測ですらない独白でも
信じているのは
わたしのなかにいるあなた
あなたのなかにいるわたし
本来内側で反響するだけの音が漏れ出した
或いはイビキのような?
それは聞いて欲しい独り言
泡のように消えてしまうはずの音を書くということ
よむという行為に音が蘇る
無音だけれど
もっとも身近な声で