第7話 ゴブリン達を倒そう!
「くそ、囲まれた!」
仕方ない。突破するしかないか…。
俺は一か八かゴブリンに突っ込む。ゴブリンが棍棒を振り下ろすが、それを俺が剣で受け止め…ようとしたた瞬間に、もう一体の棍棒が俺を襲う。ヤバい…。無茶苦茶痛い…。
自分のHPを見ると12まで減っている。あと2発喰らったら死ぬのか…。ダメだ。ここで死ぬわけにはいかない。もう手段はこれしかない…。成功してくれ…。
(魔物創造!)
【基礎とする魔物を選んで下さい】
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魔物一覧
→ ゴブリン
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魔物が表示されている!見たことのある魔物が表示されるのか!俺は迷わずゴブリンを選択する。
その間にも、俺を倒そうとゴブリンたちが少しずつ近づいてくる。
【ゴブリンに追加する要素を決めて下さい】
あぁもうそんなことどうでもいいから早くして欲しいんだが…。なんかこの状況を打破する方法を知っていそうなやつ…。賢者だ!
【賢者を追加要素に指定しました。MPが足りません。不足分をHPで補いますが、実行しますか?】
もう、ゴブリンが目の前に迫っている。OKしたらどうなるかが不安だが、これしか生き残る可能性はない…。
「実行!」
体に脱力感を感じた。しかし、それはすぐに激痛へと変化する。だんだんと視界が暗くなっていく…。このまま死ぬのだろうか…。
「まったく…。無茶をしおって…。儂が咄嗟に回復魔法をかけたから良かったものを…。下手をしたら死んでおったぞ…。」
なんか声が聞こえる…。助かったのか…?
目を開くと、目の前には歳をとったゴブリンがいた。
「儂はゴブパールじゃ。それで、ご主人様は儂に何をさせる気じゃ?まさか、周りのゴブリンを倒せなどとは言わないじゃろ?一応儂もゴブリンじゃからのぅ。」
周りを見ると、ゴブリンたちは突然現れたゴブパールに警戒して襲って来ないようだ。どちらかというと、ゴブリン達の方が強そうに見えるのは気のせいだと信じたい。
「なら説得出来るか?」
「無理じゃな。奴らは儂がいなかったら、今すぐご主人様を襲ってるじゃろうし、今奴らは腹を空かしておる。」
「なら倒してくれ。まさか倒せないとは言わないよな?」
「当たり前じゃ。あ奴らはLv.3のゴブリン。いくら儂がLv.1と言えども、魔法が使えないゴブリンなど儂にとって役不足じゃ。」
役不足?倒せないってこと?いや、それは力不足か…。
「それなら頼む」
「承知した。」
俺たちの話を聞いて、ゴブパールが敵だとわかったのかゴブリン達が一気に襲いかかってくる。ちゃんと話の最中に襲って来ないとは、お約束を完璧に理解したゴブリンだな。このまま襲って来なければいいのに…。
それに対して、ゴブパールがとった行動はたった一言呟くだけであった。
「ウインド」
すると、びゅんっと風が吹く。気づいた時にはゴブリンのうちの1体の首が地面に転がった。残ったゴブリン達に動揺が走る。しかし、そんなゴブリン達の命もそれほど長くはなかった。ゴブパールは魔法でゴブリン達を1分もかからずに全滅させてみせた。
【究極技能「一致団結」の効果でゴブパールの能力の一部を獲得しました。】
【ユウのレベルが1から3に上がりました。】
【ゴブパールのレベルが1から2に上がりました。】
【究極技能「一致団結」の効果でゴブパールの能力上昇分の一部を獲得しました。】
「どうやら、戦闘が終わったから、一気に経験値などの処理が行われたようじゃな。」
戦闘中は経験値とか貰えないのかよ…。メンドくさいシステムだな…。異世界というより、ゲームに入り込んだみたいだ。ステータスを確認してみるか…。
「なぁ、ゴブパールのステータスも見せてくれないか…?」
「別に構わんが、とりあえず宿屋でも行って休まんかの?」
「宿屋って…。お前が街中に入ったら騒ぎになるだろ…?」
「その点は心配ない。魔物創造の力で、自分で作り出した魔物を一時的に別次元に隔離することが可能じゃ。宿屋に着いたら再び召喚してくれればいい。MPも必要ないしな。」
俺は言われた通りゴブパールを異次元で待機させ、街に戻り、宿屋へ向かうことにした。