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1シーン:終礼
「放課後図書委員のやつは本の整理、それからカード作ってもらうから、ちょっと残れなーー」
「え″ーーー!?」
不満げな声が教室に響く。
全く…。
その声の主は、クラスで1番のバカ男。
火山が噴火を起こしたような髪の毛をさらにぐしゃぐしゃと乱している。(それのどこがいいのかサユリにはわからないが…)
「せんせー。それってぇ、絶対ッすかあ」
「当たり前だろー。お前から図書はいったんだからそれくらいやれーー?」
先生はだるそうに出席簿を眺めながら、そいつに応じた。
「残念だなぁ、秀二ーー。今日の合コンはお前抜きでやっから!!安心しろー」
バカ仲間(サユリの中での呼び名)の一人がこう言うと、クラスが笑いに包まれた。
くだらん…。
サユリはかばんを机の上に置き、おもむろに本を取り出す。
こうすればかばんで見えないから、本が自由に読めるのだ。
こんな終礼、聞いてるなんてくだらないし、はっきり言ってムダだ。
懇願するような視線を感じたが、無視。
前の続きはっと…。
しおりを抜き取ると、サユリは一人だけの世界へ入っていった。




