美少女を描こう!
小説に限らず、現代のエンターテイメントにおいて、美少女はものすごく重要です。
どんなに優れた世界設定、物語があろうと、美少女の出ない作品には興味を持てないという人は、けして少なくないのではないでしょうか。(少なくともここに一人)
というわけで「小説家になろう」にもっともっと、萌えキュンな美少女キャラが増えるよう願いを込めて。
私が考える技術を紹介しますので、参考にどうぞ。
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その1・容姿描写はこまめに。
まず初登場時は、なるべく詳しく描写しましょう。
髪の色、瞳の色に、ファンタジーなら職業や種族が分かるような服装まで。
台詞とセットで、その子の性格も分かるとなお良し。
こだわるなら「花の薫りがした」とか、匂いまで描写したいところです。
参考までに拙作の一つ「姫君革命」から、メイドさんが、庭園で昼寝中のお姫様を見つけるシーンを。
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市街の喧騒も、宮廷のざわめきも届かない、白薔薇宮の最奥にて。
美しく咲き、それでいて拒絶するようにトゲを立てる荊たちに囲まれて、姫君は寝息を立てていた。
木陰に背を預け、膝上には風にページを揺らす読み掛けの書を乗せて。
「……あ」
たった一目でロザリアは。魂が震えた。
神聖アレストリア帝国第三皇女、ミアリス=ラ=アルフェリス。
地上に咲いた奇跡の花。
亜麻色の長い髪は、妖精の紡いだ糸のようにさらさらと、春風に柔らかく揺れる。
雪の彫像めいて白く華奢な肢体は、触れたら融けてしまいそうで怖いくらい。
まるで繊細な硝子細工のように……危ういまでに可憐で儚い。
後に数多の芸術家達が題材とした、神が気まぐれに天界の薔薇を地上へ咲かせたのだと、そう讃えられることになる美貌は、今はまだ14歳のあどけなさに包み隠されている。
されど至上の宝石は、原石のままでなお。
すでにして魔性すら帯びた輝きで、見る者の魂を縛った。
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……長い? でも初登場シーンはこれくらい描写して良いと思うのですよ!
さてここからが重要なテクニックですが。
毎回こんなに描写する必要は無いのも確かです。
けれど小説は文字情報。
読者の皆さんは、毎回最初から読むわけではないし、他の作品と同時進行で読んでることも有るでしょう。
なので、文字数にもよりますが数話に一回は、出来れば登場シーンごとに、簡単な容姿描写を入れるのをおすすめします。上のお姫様の場合なら、たとえばメイドが髪を梳いてあげるシーンで「亜麻色の髪を、優しく撫でてあげた」と色に触れたり。「じっと、翡翠の瞳で見つめてきた」とか。
現在の私のメイン連載「百合メイド喫茶へようこそ♪」の場合、200話を越えており、プロの方にイラストを描いて頂き挿絵にしてますが(有料)、それでも「読者の皆さんが容姿を覚えててくれるかは分からない」と思うのですよね。
イメージし易さも考慮して、「金髪巨乳メイド」とか「赤毛ツインテールのロリメイド」とか、メインキャラの容姿描写は簡単にでも、たびたび差し挟むようにしてます。
何度でも、イメージを読者に焼き付けるまで。
美少女の容姿描写は初登場時で終わらず、継続的に行う。
これ、美少女を小説で描く場合のポイントです。
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その2 人数を絞る。
女の子がたくさん登場すれば萌えるというものでもありません。
数を増やすことで、「一人は好みのキャラを見つけてもらえるだろう」というのも戦略ですが、それも描き分けがあってこそです。
描き分けることを考えると、メインの人数はむしろ少ない方が、美少女ひとりひとりの個性をしっかり描けます。
私の「百合メイド~」ではメインは4人。それでも均等に見せ場を作るのは中々大変。
ハーレムもので、「異世界にクラスごと転生した。クラスメートの美少女全員が俺に惚れてる」みたいな作品の場合、美少女全員を魅力的に描くのは不可能に近いと思います。
人数を絞る。これも技術の一つ。
女児アニメながら魅力的な登場人物で大きなお友達にも人気を博したアニメ、「スマイルプリキュア!」のディレクターさんが、ムック本で以下のように言っていました。
「脚本担当は、メインキャラの家族や友達など、毎回新キャラを書きたくなるようだ。でも『スマプリ』の場合、とくに前半はメイン5人のキャラを、視聴者にしっかり覚えてもらうのが重要だと思った。なので、『その新キャラは出さなくても、メインの誰かが替わりになれるんじゃないか?』と、安易に登場人物を増やさないようにした」という趣旨です。
量より質。美少女を増やすより、深く描き込む。
その為にも、新キャラを出す場合は、一旦ストップして考えてみましょう。
すでに登場してる女の子が、その役割をやれるのではないか、と。
ヒロインの新しい一面が出るのも良いと思いますよ。
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その3 属性について。
キャラクター面での属性「幼なじみ」とか「ツンデレ」とか……と、バトル要素のある作品なら「炎」「風」など能力面での属性があります。
美少女を描写するには、どちらも大事です。
そのキャラクターらしさ、を考える。
一つ一つの台詞でも、漫然と喋らせるのでなく、その子の個性が滲み出るように心を砕いてあげる……これはもう、作者の義務です。
たとえばファンタジーのバトルもので、ドラゴンに炎を吹き掛けられた時。
強気な女の子なら「よくもやったわね!」と怒るだろうし、慈愛溢れるヒロインなら「みんな、だいじょうぶ?」と周りを気遣うでしょう。
こうした何気ないリアクションの積み重ねこそが、個性の描写に繋がります。
だから、登場する美少女がどういう性格なのか、それを考えるためにも「属性」を考えましょう。
何の縛りも無い方が個性的な登場人物になるかというと、大抵はNOです。
属性は組み合わせることで面白さが出ることも。
例えば炎属性の魔法使いが冷静なクールキャラだったり、炎のように熱い熱血少女なのに、能力は治癒特化だったり……意外なギャップ萌えが産まれるかもしれませんよ?
「幼なじみ」のようにヒロイン力が強い属性は、取り扱いに注意が必要です。
最初に登場させるとほとんどメインヒロイン確定ですので、逆にメインは他の子にしたい場合は、登場順を遅らせるとか。
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その4 結論はいつもの。
ヒロイン同士の日常的な会話の中で、新しい一面が出ることも多くあります。
友情、親愛であったり、嫉妬だったり……。
美少女同士が絡むことで、双方の個性、魅力が引き出されるのです。
だから主人公が男の作品であっても、主人公とばかり会話するのではなく。
美少女同士の関係性をうかがえるような、そんな場面を用意してあげたいところです。
もちろん女の子同士で、女の子だけで絡み続けても、美少女の魅力を引き出す上では全く問題ありません。むしろ不純物が無い分、より萌え純度が高くなると思います。
つまり、百合が最高!!