総攻撃の前に準備を万端にしておく事になった
夜の出撃は家臣にさんざん反対された。仕方ないので離宮に帰って英気を養うことにした。
「…貴様…わたくしに何をする気なのっ!」
ユスティアに何かする気はあまりないが二人っきりで地下倉庫に居るのであれば何をされるかと警戒してこう言いたい気持ちも分かる。しかも彼女は全身を縄で縛られているのだから警戒するなと言う方が無茶である。
さて…本当にどうしようか?面倒事をさっさと解決して気持ちよく寝たいのだが、彼女を放逐してまた命を狙われてもつまらない。それに…放逐するには彼女は惜しい。健康的な肉体で、品の良い顔をしていて髪も長い。実にそそる。口説けるだろうか?まぁ物は試しだ。やってみるとしよう。
「君こそ何をしようとしたか分かっているのかな?」
「貴様を殺そうとしただけのことだっ!そんな事も分からないのか!?」
「ふむ…そう云う認識しか持てないか、頭の悪い女は好みではないが…まぁいいか」
アイテムボックスから剣を取り出して彼女の縄を切ってやる。
「貴様…!舐めているのか!?」
自由になったユスティアは後方に跳んで俺を警戒している。舐めたい女なのは確かだが、舐められるのも悪くない。
「どの道お前は俺に勝てないし、俺は死ぬ訳にはいかないのでね。それでもいいなら…掛かってきたまえ」
剣を投擲して彼女の足元の床に刺す。
「…どういう心算ですか?」
「俺を殺せばどうなるか…君も人を導く立場の人間ならば分かるだろう?」
彼女がまだアイラ伯爵の血縁者とは確認できていないが、気品のある顔なので多分そうだろう。ただの踊り子よりも伯爵の血縁者がどうしようもない理由で堕ちた踊り子の方がそそる。
「お前を殺せば…この国の人間は餓え…殺しあうだろう。だがそんなことは関係無…」
「お前の国の人間も引き受ける心算だ。この国にはゼプト家、シャラオン家という家族集団が居るが元はお前の国の人間だ。というか平原の人間は全て俺の愛すべき民だ」
俺に富を運んでくる人間は全て愛しい人間だ。よこしまな理由だが結果的には善だろう。自然にとっては兎も角として人間にとっては善…歴史を俯瞰で眺めれば悪かもしれない。まぁそんなことは今考えても仕方ない。
「そんな…深く優しい考えが…いえっ!信じられない!」
「この倉庫を見ろ。とても俺一人では食いきれない。三年かけてこんなものを準備した。それをどうとるかは知らないが、俺は平原の民を餓えさせる気は無い」
「まさか…わたくしは…」
ユスティアは暗い倉庫をきょろきょろと見渡して涙を流している。なぜ泣いているのかはよく分からないが、俺に対しての印象は変わったらしい。彼女の中の俺のイメージはアイラ伯国を滅ぼした非道なエクター王家の人間だったはずだ。さて…良い方に変わったかな?
「国王陛下…わたくしが間違っていました。このユスティア・アイラ、国王陛下の様な仁王を殺そうとするなど…どうお詫びしていいか分かりません…」
彼女は号泣して俺の足元に縋り付いた。実にそそる。やはり食糧を大量に備蓄していおいて良かった。俺自身には仁など無いが、向こうが勝手に俺を善なる王だと思ってくれる。
「詫びか…これから俺に仕えてくれれば、償えるさ、俺を助けれくれユスティアよ」
「はい…お優しい御主人様…これからは償いとして生涯奴僕としてお仕えします!」
そう言って彼女は小さな布切れを放り捨てて俺の胸に飛び込んできた。彼女がまだ俺に対しての敵意を持っていて実は最後の武器として重篤な性病を持っている…なんて考えも浮かんだが、彼女の美しい体を見てしまってはそんな考えは吹き飛んだ。俺は四人目の妻…彼女の希望で奴僕扱い…何をしても良いらしい。兎に角魅力的な女を手に入れた。妻と違い酷い事もした。ストレスが溜まっていたのかもしれない。とはいえ彼女は初めてにも拘らず悦んでいたのでwinWINの関係という奴だ。
妻たちは容易には抱かせてくれないし、御香やベッドメイクなどで雰囲気を整えてフルコースの食事も自分で作らなくては中々手を出させてくれない事がある。ユスティアは盲目的に従順なので都合が好い。久々に朝まで女を楽しんだ。
「さて…エクター攻めは何時になるかな?」
「陛下…百人隊の訓練は一ヶ月後には終わります。それからでもいいのでは?」
早朝の会議ではチオはそう発言した。まぁ大義名分はあるが準備はできている訳ではない。百人隊用の武器は既に鍛え終わっていたが、それぞれサイズの合った鎧を作っていない。まぁ夜なべをして作るとしよう。しかし自前の軍隊の武器を王が直接作るのはどうなんだろう?まぁ他にできるやつが居ないから仕方ない。人の上に立つ者は率先して動かなくてはならないしな。
「そうだな…では一ヶ月後に侵攻するとしよう。それと櫓の見張りの代わりの人間をここに…」
「陛下!宜しいでしょうか!?」
片腕のザットも会議には参加している。というか城の前の広場で会議をしているので多くの民が聞いている。これも人気取りと言う奴だ。オープンな政治は必要だ。家臣と俺は椅子に座っているが国民もござなどを敷いて聴いている様だ。これならば文官も昼寝しない。国会中継じゃないんだから人の視ている前で寝る奴も…リバウは舟を漕いでいるが、まぁ構わない。昨日遅かったみたいだしな。
「ザット、お前を軽んじてはいない。勿論よいぞ」
「私に警備をお任せ下さい。今度こそ侵略者を撃退して見せます!」
「おぉ…ザット、お前こそ民の鑑だっ!その意気に対して余から武器を一つくれてやる」
椅子から立ち上がってザットの座る椅子の前に行き、左腕しかない彼にも抜けるように腰の右側に剣を吊るしてやる。ザットも国民も感涙している。人気取りは成功したらしい。なおザットとは別に打ち合わせをした訳ではない。アドリブである。
椅子に戻って座る。横に座るソラは俺の事を尊敬の宿った目で見ている。
「さて…では今日の残る議題は無いな。何か意見のあるものは?」
全員首を振っている。こう云う時に意見が無いと暴君だと思われないだろうか?まぁ兎に角会議は終わった。解散して国民は仕事に向かった。最近は漸く商店が出来始めたそうだ。これから第三次産業に従事する者が増えてくれれば良いのだが。やはり第三次産業の割合の多い国の方が発展していると云う認識があるのでそうなってくれると嬉しい。
俺の仕事は立法・行政・司法の全てだ。午前中は政策会議をして、今後の農業計画…今年は麦の育てる比率をどうするかとか農具の貸出料金…農具や農地は国の所有物であるのでレンタル料金が要るのでそれを決める。この国には前例が無いので一々会議に時間がかかる。
午後は裁判を行う。なお刑事も民事もごっちゃだ。浮気の裁定もすれば傷害事件も担当する。国がでかくなったらやらなくてもよくなるのだろうか?そうなってくれると嬉しい。正直言っておっさんおばはんの浮気どうこうなど真面目に裁判したくない。しかし審議は真面目にやらなくてはならないので、証人の話を聞いて被告・原告の話し…だいたい下らない内容である。女に色目を使ったとか尻を触ったとかである。感情が先走ってまとまっていなくて長くてどうでもいい話を聞くのに午後は終始する。どっちも死刑でいいんじゃね?とか思う事は多々あるがそれを言う訳にはいかない。我慢我慢。
夕方はノン大河のほとりでシアンの他のロボットに指示を出して貨幣の鋳造や道路の補修に割くロボットの割合を変える。ロボットは指示を出さなくては動かない。シアンは例外だが同じ奴は作る気は無い。シアンは俺に忠実だが自由意志のあるロボットは反乱に怯えなくてはならないので、なるべく作りたくない。
貨幣の備蓄も金・銀・銅それぞれ百万枚を超えたので、貨幣鋳造用のアトビを来たるべきエクター侵攻に備えた車作りに回すことにした。
「どのくらいの速さで出来るかなシアン?」
「アトビノセイノウナラバ一日デ一リョウデショウ」
そんなものか、人間ならばどの位かかるのだろうか?この国にはまだ車屋さえ居ない。
「タダシソウドウインシテデス」
「ふむ…車用に回したのは…二〇機でそれか…遅い様な気がするな。効率的な作り方ができないからかな?」
「ヨリヨイセッケイズトコウテイヒョウネガイマス」
ロボットは命令をよく聞くが、命令通りのことしかできない。さっさと職人を調達しておきたい…いやロボットが居るならば職人も要らないと云えば要らない。しかし一ヶ月後に三十輌か、ちょっと少ない。現在この国には百輌しか無いので予備も含めてその十倍はほしい。
「アトビを十倍にすれば…車の数も増えるんだよな?」
シアンはプルプル震えた。イエスという事だ。
「ならばアトビを十倍にしてくれ。船の製造から回せ…いや船は今後の為に居るか。それならば貨幣鋳造のアトビを全部回せ…まだ足りんな。新しく作るか、シアン」
またプルプル震えた。その後アトビを十二体作った。車を作る資材もそうだが、やはり備蓄は大事である。今のところは潤沢だが、何時かは無くなる。シアンにボラートを統率させて樹海を伐採させる指示をだしたころにはすっかり夜であった。
離宮に戻ったら、妻たちはまだ帰ってなかった。みんな仕事である。ソラはソラヴェインの人間を早くこの国に馴染ませる為に交流パーティーをしているそうだし、エレノアは国境警備だしハレは食堂で飯を作っている。
「御主人様、奥方達の居ない間はわたくしが御世話をします」
居るのはユスティアだけだ。彼女も元は伯爵の御令嬢なので良く気がつくし仕草も丁寧で美しい。風呂で俺の背中を流す時も俺に丁度好い感触で洗ってくれる。無論風呂からあがってからエロい事もした。
「御主人様だ~い好き♥今日は随分足に疲れが出ていますね、何時も御国の為に御苦労様です♥」
随分なついている。復讐はどうなったのやら。俺の足の指を丁寧に舐める彼女は娼婦顔負けのテクである。まぁ娼婦など抱いた事は無いが。それにしても人間変われば変わる物だ。かつての貞淑で復讐に燃える伯爵令嬢は足を舐め終わると、俺の仕立てたチャイナ・ドレスを着て誘うような舞を踊っている。踊りは元々伯爵家の伝統して習っていたそうだ。別に身を窶して踊り子に落ちた訳でもなく体を売る様な事も無かったようだ。
時折覗く長く美しい足に興奮して彼女に抱きついたが、彼女は指を小さく振って俺は二人で踊る事になった。バレエの様に彼女を抱えあげたりもした。
「流石は大英雄たる御主人様…ダンスも御上手です♥」
「ダンスは…苦手だな…どうも俺は創造の才能が無い。これも転生の身の上故かな?」
「うふふ…わたくしと御主人様に奥方様達…きっと前世でも一緒でしたよ♥」
どうなんだろうか?前世で彼女達が人間だったのかは分からないが…前世の俺は今の俺と同じく女に縁があったのだろうか?
踊りの流れで彼女をベッドに押し倒して楽しんでいると、ハレが一番最初に帰ってきた。無論抱いた。
「ウル様…最初にお仕えしたのはわたしですからね…綺麗な人を次々と手に入れていますが…わたしのことを忘れないで…」
ハレは少しユスティアに嫉妬している雰囲気だった。久々に素直に抱かれてくれた。
ハレが気絶した頃には今度は鎧姿のエレノアが入ってきた。彼女はベッドで眠る二人の女に不思議な目を向けた。
「陛下…今は国難の時ですが…奴僕まで孕ませるのですか?」
「奴僕は気に入らないか?」
「いえ…ただソラ様はどう思うかは分かりません」
「みんな可愛い女達だ。俺の国とベッドの上には身分の差など無い」
素早くエレノアの背後に回る。エレノアは抵抗したが俺は簡単に抑えつけた。レスリングの真似ごとは今夜はあまりしたくないらしくエレノアはあっさり抵抗をやめた。
「…降参です。陛下…ご自由にどうぞ」
「嫌か?」
「嫌じゃないんです…ただ…陛下の子供を最初に産むべきなのは私ではないと思うだけです」
「関係無いな。そんなことは俺ではなく天の上の神が決める事だ」
エレノアの口をキスでふさいでから鎧を半脱ぎにしてベッドに乗せて二人で楽しむ。今夜のエレノアはよく俺に抱きついてくれた。普段はちょっとマグロ気味なのだが。お陰で籠手の痕が背中に付いたが、これも愛のあかしだ。
エレノアが気絶するころにはソラが帰ってきた。褐色の肌は魔術の光で照らされても美しいが、やはり陽の光で照らした方が綺麗に見える。今度正午にソラを抱いてみよう。
「ウルファス…今日は…違う日…」
ソラは涙目だ。
「ソラ、お前がハーレムで色々取り決めをしているのは知っている。だがな…俺はそんな決まりは守れない。そう云う人間だ」
ソラの服を素早く脱がせてから抱えあげてベッドに乗せる。ベッドの上にはタイプの違う裸の美女が四人も居る。素晴らしい光景だ。
「やぁ…奴僕と一緒のベッドは…いやぁ…」
「差別は良くないぞソラ?それに…お前を奴僕より地位の低い奴隷にしてもいいんだぞ?」
「そんなぁ…」
ソラは正室に成りたがっているし元々の地位も高い。ついでに年齢も一番高い。だからどうしても一番になりたいのだろう。奴隷とは奴僕と違い産まれた子も奴隷となる。この世の差別は未だ根深い。彼女は奴隷になってもおかしくない立場ではある。といか俺が奴隷になれと言えばこの国では誰も逆らえない。
「俺の気まぐれでお前を家臣にくれてやっても…いや、そういうプレイは無しだな。俺は独占したい性質らしい。奴隷になりたくなかったら…俺に従え、一番遅いなんて本当に宴会してたのか?浮気してたんじゃないのか?浮気者など嫌いだな」
「やだぁ…ウルファスに疑われるのだけはぁ…ごめんなさい。これからは下らない宴会なんてさっさと切り上げて帰りますし、ハーレムのルールもウルファス陛下の自由にさせるからぁ…嫌いにならないで…御願いですから…」
涙目だが悦んでいるのが分かる。ソラはそういう女だ。その後熱烈に愛し合った。起きた女達とも平等に愛し合った。差別無き世界平和は俺のベッドの上に在ったのだ。男女平等は無いかもしれないが。
そんな日々が一月続いた。忙しくも実に幸福な日々だった。エクターに攻め入る為の計画を話す会議の場に突然の連絡が訪れなければ幸福なままエクターに攻め入れたのに。
「エクター王都に陛下の親類が担がれました。オルガ公爵はそれを持って大義を得たと主張しています!」




