表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウルファス物語  作者: ろーき
第3章 帰還編
27/50

亡国の王子は新たなる僕を得た

槍持ちのミノタウルスの持っていた槍は槍というより柱と言って良い物だった。


「すごく大きいですねウル様、これどうするんですか?」

「さて…自分で使うわけにもいかんしな、全部石で出来ているようだから潰して再利用もできないな」


槍は石で出来ているが、利用価値の無さそうなごく普通の石である。これが大理石か御影石ならば砕いて庭石にでもするのだが、この槍は大きいだけだ。砕いたらその辺にはある石ころと変わらない見た目になるだろう。


「なにか良い案はあるかハレ」

「お肉は食べられるみたいですが…この柱は…床柱にもなりませんが…放っておいても邪魔ですし砕いておくのがよろしいかと」


確かにそれしか無い。まぁ此処は道を大分外れたところなので人なんて通らないところだが、なんとなく邪魔だ。アイテムボックスからスフアソラを取り出す。


「そうだな。では砕くから俺の後ろに居ろ」

「はいウル様」

「では…『憤怒の一振り』」


スフアソラを横薙ぎに払って発生した衝撃波によって、石槍は吹き飛んだ。ちょっと地面も抉れたが、まぁ気にしない。


「さて、では行くぞハレ。目指すは大魔術師の最期の地だ」


ハレは笑顔で頷いた。アイテムボックスにスフアソラを収納し、道に戻り西を目指す。

大魔術師の最期の地に向かう1週間の間に魔物に1日最低5回は遭遇したが、これはかなり異常なペースだった。街道は基本的には魔物を定期的に退治されるものだが、それを行う騎士や兵士は居ないらしい。ソラヴェイン王国がエクターに滅ぼされて5年以上経っているが、その間魔物の討伐を行わなかったのだろう。


「邪神教団は一体何の為に国を攻め滅ぼしたんだと思う?」

「そうですね…エクター王都もブリハウスもザカリオンも人の住めない町になっていましたから…それが目的なのでは?」

「なるほど…人が住まなくなった町は魔物の住処になる。連中は魔物の養殖をしているのかもな」


街は基本的に魔力の集積地に造られる。豊かな魔力の集まる地は作物が良く育ち、水の流れも良いらしい。これはマが考えて実行したというわけでは無く、条件の良い街は人間が本能的に居着くそうだ。

だが今俺達の居るところは魔力が強すぎて自然の脅威が却って育っている森の中だ。ソラヴェイン王国とエクター王国の間にはこうした森林地帯が点在している。国境の辺りに人が住まないため、人間の営みで消費されなかった魔力資源が森を育てるそうだ。


「この辺りにマの最期の地があるそうだが…」

「ですがウル様、先程から魔物が何匹も襲ってきています。危険では?」


確かに危険だ。この森に踏み入った時からエンカウント率が跳ね上がっている。だがどういうわけか道があるのは何故だろうか?昔人が住んでいたのだろうか。少なくとも古代文明の作った道には見えない。普通の地肌だ。微妙にぬかるんだ箇所もあるので、リュウが足を取られないように気を付けさせる。


「ふむ…魔物は多いし道も悪い。さっさと建都予定地に行くかな。別に今すぐ最期の地に観光したいわけじゃないしな」

「そうですね。ウル様と言えど疲労はあるでしょうから、余り連続で戦うのは…」

「グォォォ!」


森の遠くから魔物の雄叫びが聞こえた。普通の生き物かもしれないが、まぁ同じようなものだ。こんな叫び声を上げる生き物は魔物と変わらない。人食い虎は生き物でも魔物と変わらないのだ。


「さっさと森を出るかな、別にここ通らなくても行けるわけだしな」

「ウル様、何か聞こえませんか?」


確かに叫び声に雑じって金属のぶつかる様な音がする。まぁ金属の武器を持って産まれる魔物も居るのでその類だろう。別に確認する必要はないが、一応意識を移した使い魔を放つと森の中で豚の顔をした鬼が鎧騎士と闘っている様子が見えた。


「ふむ、オークと騎士がここから3シャキルほどの距離で闘っているな」

「お助けしますか?」

「ふむ…オークに続いてフォレストドレイクまで来たか、これは勝てそうに無いな、まぁゆっくり助けに行くかな」


リュウとハレを伴って森の中を警戒しつつ進む。どうやら騎士の戦いの音を聞きつけた魔物が集まって来ているらしく、騎士の元に向かう途中でスギムカデという5mほどあるデカイムカデを倒したりもしたが、特に疲労も無く騎士の元についた。騎士はオークも寄ってきたムカデも倒せたが空を飛ぶウッドドレイクは倒せなかったようだ。騎士は剣を支えにしてようやく立っており、盾も鎧もボロボロだ。鎧の隙間からは血が流れており、足元には血だまりができている。


「助太刀いたす」

「!?」


騎士の答えを聞かず、複合弓に矢をつがえて放つ。空飛ぶ蜥蜴フォレストドレイクを射ち落とす。勿論騎士の方に落ちないように気を使ったので、フォレストドレイクは森の木にぶつかって墜落した。まだ生きているようなので、フォレストドレイクの緑色の目を射抜く。まだ生きているらしいので、もう片方の目も射抜く。流石に生命力旺盛らしく、まだ元気にもがいて再び飛ぼうとしているので、望みどおり離陸させてやる。

離陸したフォレストドレイクの翼の付け根を射抜き、再び墜落させる。もう息も絶え絶えという感じだ。弓と矢を収納して近寄り、スフアソラを取り出して首をはねる。目は既に見えていなかったようなので易々と近寄れた。解体は後でやるとして、騎士の元に向かう。


「助太刀感謝する…だが私はもう…手遅れだ…」

「さて…どうかな}?{cd/нeаl}っと」


魔力資源を集めて簡素な呪文を唱えると、騎士から流れ出る血は全て止まった。


「これは…貴方は魔術師か…」


さて回復魔術を使っても死なれても損した気分になるので手当てをする事にした。しかし少々手が足りないので{cd/cαll/hψdrαrgεntuμ:ζtructurε/АξΨuЯΑ}と唱えて五兵形態になる。真魔道大全によってより正確で素早い動きが出来るようになったので医療行為もできるのだ。


「では鎧を脱がすぞ、答えは聞かない。助けてやろう」

「なっ!?ちょ…ちょっと!?」


攻撃を喰らって変形した鎧を剥がしていくと、形の良い胸が露出した。下着も破れていたのか、かなりの激闘だったらしい。アイテムボックスから清潔な布を取り出し、水で濡らして全身を拭ってやる。流石に手が多いのですぐに全身を清潔にできた。


「ちょ…ちょっと…自分でっ…きゃんっ!やれますから止めて下さいっ!」

「ほっときゃ死ぬぞ、助けに入って死なれても気分悪いんだ。無理やりでも助けてやる」

「そんな理不尽知りませんっ!」


舌を噛まれても困るので口に新たに取り出した清潔な布を噛ませる。暴れても困るので、両手両足を清潔な布で縛り、その後彼女の全身を清潔な布で包み、簀巻きにする。


「もぐっぅ!ふゅがぁ…」


これで一先ず大丈夫である。そして森の中に天幕を建てた。流石に五兵形態だとやることが早い。3分かからずに大きな天幕を建てることが出来た。ラーメンより早くできた。天幕の中に女騎士を寝かせ、ハレを招き入れる。


「…ウル様…わたしにするのはいいですが…見ず知らずの人にこういうことは…」

「医療行為だ下心は無い。それより急いで粥でも作ってやれ、ベルセ・フォリスの肉を使ってもいいからな」


アイテムボックスから鍋・肉・パン・水を取り出して、ハレに手渡す。そして天幕の中央に火焔魔術を使い簡単な囲炉裏を作る。


「では俺は外でお前達を守ることにする。女騎士は落ち着いてから粥を食わせろよ」

「えぇっと…ご武運をウル様」


何故かハレは怪訝な顔をしている。俺は何か変なことをしただろうか?しているのかもしれないと思いながら天幕を出た。フォレストドレイクの解体作業は五兵形態だったことありすぐに終わった。魔物の魂は全てロボット素体に変換する。こうして素体を備蓄しておけば何時でもロボットを作れるのだ。


「ふふふ…魔物も現れないことだし試しに一体作ってみるかな」


アイテムボックスから金貨を5枚、銀貨を30枚、銅貨を180枚取り出してフォレストドレイクの魂を変換して作った素体に載せる。そして素体と貨幣に膨大な術式を書き込んでいく。素体と貨幣は耳無しの琵琶引き坊さんみたいな見た目になる。


「さて…術式はこれで良し。さてっと…起きよ『シアン』」


素体は貨幣を取り込んで変化していく。術式通りに素体は菱型胴体となり、その菱型の頂辺から2本の剣の様な腕が生じて底辺から足も2本生えた。最後に頂角から胴体のダウンサイズと等しい角と辺の小さな菱型の頭ができた。変化が収まるとそこには2mほどの大きさの鉱物的な生物が生まれた。

全身は真っ黒で剣の腕と足を持つロボットである。まぁファンタジー的な良い方をすればゴーレムである。


「オハヨウゴザイマスマスター」

「おはようシアン。まぁそろそろお昼だがな。全く可愛い寝坊助め」

「ネボウスケトハナンデスカ?」

「昼まで寝てる自堕落な人間のことだ」

「ワタシハニンゲンデハアリマセン」

「まぁな、だが可愛いぞシアン。初めて作ったロボットにしては上出来な美しさだ」

「ソウデスカゴメイレイヲドウゾ」


固い奴め、まぁ本当に硬いのだがな。さて何を命令しようかな。


「そうだな…高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応して周囲10シャキルの魔物を始末しろできるなシアン?」

「リョウカイシマシタマスター」


そう言ってシアンは跳んでいった。一応監視の為に使い魔を一匹付けておく。それにしてもカタカナっぽい喋りだな。まぁロボっぽくていいかな。

とりあえず様子見に徹する事にしたのでリュウを柱に繋ぐ。使い魔の情報によるとシアンは問題なく魔物を狩っている。旧式の魔道大全の使い魔もそこそこ便利である。

天幕に入ると、ハレは女騎士の世話を終えて、昼飯を食べている。


「ウル様…ご飯は出来ています」


ハレのジト目も悪くない。だがジト目になっているということは何か俺が妙なことをしたらしい。


「何時もすまんなハレ。そうだ、飯を食ったらマッサージしてやろう」


こういう時はおべっかを使うに限るのだ。


「マッサージ…ウル様はすぐスケベなことをするから駄目です」


ハレは頬を膨らませてしまった。なんか怒ってるらしい。こういう時は下手に何か言うと危険なので黙ってことを成せ。と、真魔道大全に書いてある。黙って飯を平らげる。

平らげるころにはハレは何故か青い顔になっている。忙しくて表情豊かな女だ。


「ご馳走様でした。さて、皿は偶には俺が洗わないとな」

「申し訳ありませんでしたウル様っ!」

「静かにしろハレ、怪我人が寝ているんだぞ」

「は、はい…」


とりあえず食器をアイテムボックスに放り込んで、ハレの隣に座って肩を抱く。別に下心は無い小声で話しても聞こえるようにするためだ。怪我人に余計な刺激を与えたくないのだ。女騎士は好みなので生きていて欲しいのだ。


「で、また何を謝るんだ?」

「ウル様に生意気なことを…」

「そんなことか、胸を揉ませれば許してやる」

「それは…ちょっと…」

「尻は?」

「それも…」

「腰ならどうだ?」

「う~んそれも…」

「実は俺が嫌いなのかハレ…」


ちょっと落ち込む。それが伝わったのかハレもすこし動揺した様子だ。


「嫌いどころか…大好きです。でも…ウル様の御身体は柔らかいのです…」

「柔らかいと何なんだ?」


確かの俺の身体は柔らかい。某雑技団も真っ青なくらい身体が柔らかい。股割なんて簡単にできる。


「その…触られると…一日その感触を思い出して…落ち着かないんです…」

「俺もお前に触るとそんな感じだから可笑しなことじゃ無い」

「それだけではなくてですね…もっと触って欲しくなるんです…」

「俺ももっと触りたくなるのだから問題無い。やはり我らは似た者同士だな」


そう言って顔を近づけキスをする。今日は珍しくハレの方も唇を合わせてからも積極的だ。何時もは逃げようとするというのに。唇を離して聞き忘れたことを聞く。


「なんで怒ってたんだ?」

「この騎士様に…わたしと同じことをするんじゃないかって思ったんです…ごめんなさい嫉妬深くて」


そんなことか、男の嫉妬は見苦しいが美少女の嫉妬は恋のスパイスだ。何の問題も無い。


「気にするな。確かに女騎士は金と緑が混じったような綺麗な俺好みの色の髪で、身体も程良く筋肉がついていて胸の形も抜群に好い。顔も凛として実に俺好みで今すぐ眠っている女騎士に悪戯したいが、今はお前に悪戯する。声を出すなよハレ?女騎士が起きたら悪戯はやめだ」

「ウ、ウル様…」

「喋るなというに…ふふ…お前は本当にいやらしい身体だな」


ハレは口を手で塞ごうとしているが、そんなことは許さない。アイテムボックスから布を取り出してハレの両手を縛る。小さな嬌声は実に俺を楽しませた。すぐ隣に眠る女騎士は…実に俺好みだ。眠っている最中に手を出したくなるが、流石にそれは拙い。ハレと同じく俺の魅力…あるのかどうか決めるのは向こうだが、とにかく虜にしてやろう。


「…ウル様、わたしのことだけかんがえてぇ…」


小声でそう言われたらそうするしか無い。まぁ女騎士を口説くのは後でやることにして今はハレを楽しむとしよう。シアンが集まった魔物を皆殺しにしている様子は使い魔が送ってきた映像で分かるので、この天幕の周りは絶対的に安全なのだ。今はただ楽しむとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ