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ウルファス物語  作者: ろーき
第3章 帰還編
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新たなる魔術は世界を変える力であった

『私はレベルというものを知らずに育ち、子供の時分は随分虐められたものだ。だが私は最初の師に出会ったことで己の世界が見えすぎることに気付けた』


真魔道大全のレベルに関わる項目にはこんなことが書いてあった。他の魔術の項目には私情を挟む箇所など無いのに、レベルだけは何故かマの個人的な思いが書いてあった。


『レベルとは何か?並の人間はこれを目で聞くそうだが、こんなに馬鹿馬鹿しい表現は無い。目は見るものだし聞こえるのは音であり、音を聞くのは耳だ。そしてレベルとは音ではなく、魔力資源の点滅を捉えているだけに過ぎないのだ。レベルの音など絶対に存在しない』


何でもマの研究によると、レベルとは人間がまだ裸で暮らしていた頃の能力の名残であるそうだ。原始人達はレベルの多寡で群れの中での地位を決めていたらしい。また原始人達は魔物や動物のレベルも見定めることが出来たそうだ。魔力資源の多寡を見定める能力は、人間の狩りの成功率を上げたそうだ。マの仮説によると魔力資源判別能力こそが人間を生態系の頂点に立たせた力であるそうだ。


『だが魔力判別能力はかなり劣化し、私の様に魔力資源量を視界に捉える人間は殆ど無く、多くの並の人間はレベルという勘違いにも似た錯覚の数字で人間の価値を判断する。全く愚かなことだ』


この学説が正しいかは兎も角、レベルを上げる意味がようやく分かったのは収穫だった。レベルを上げると魔力資源自体が増えるわけではないが、扱える魔力資源が増えるそうだ。MPとINTの違いというところだろうか。だが俺は周囲の魔力資源を使えるので関係無い。と、言うわけでも無い。

マによれば魔術の成功率や威力は自前の魔力資源の量は関係無いそうだ。魔力資源を扱える量の多い人間、つまりレベルの高い人間は長命で何時までも若々しい傾向があるそうだ。更に言えばレベルの高い人間は自身の魔力資源量も増加しやすく、筋力などが増加しやすい傾向にあるそうだ。


『つまりレベルの高い人間は相対的に見て強くなり易いが、必ずしも強いわけではない。なお此処で言う強さとは体内の魔力資源貯蔵量である。これが多いモノは生態的に見て頑丈で強靭・生命力旺盛だ』


さて、ではジョブとは何なのだろうか?これもマがある学説を著した。天才過ぎるな。伝説では150歳まで生きたそうだが、それにしても色々発見したもんだ。


『レベルとは魔力資源の点滅によって捉えられる魔力資源顕在使用量であるが、ジョブとは魔力資源の光色である』


大体予想通りではあったが、光の色を変える方法も書いてあった。簡単な呪文を唱えるだけで色は変えられた。さてジョブチェンジに何の意味が有るのかというのは大魔術師も把握は出来なかったそうだが、民間伝承によるとレベル上限の100になった者は新たな力を授かり、更なる力を得るジョブが天に与えられるそうだ。


『私のレベルが100だったので、レベルもジョブも見える弟子に乞われて新たなジョブに変えてみたが、特別魔力資源も増えなかった。だが、レベルを再び上げることが出来るので、魔力資源顕在使用量は増やすことが出来る。特別な力・技能が得られるという伝承は資料が少ない為確認は難しいだろう』


何せ100に到達した人間は殆ど居ない。男爵は稀な人間だったらしい。その割には弱かった辺り、強さというものがあやふやなものだと分かる。いや、もしかすると男爵はかなり強かったのかもしれない。ただ、俺が強かったのだろう。若しくは技術の差だ。

ジョブと技能は関係しているのかいないのかは、マにも分からなかったそうだ。何故なら農民の類は生まれた時から農民のジョブだし、騎士も概ね子供の頃から訓練している為騎士のジョブで有ることが多い。技術の伸びや才能を知るにはサンプルが無かったそうだ。ジョブがどのように決定されるのかをマは赤ん坊のジョブを改竄・もしくは観察して実験することで真実をつきとめようとしたが、周囲に猛反対されて実行できなかったそうだ。

これはどういう理由かと言えば、農民や下層階級の中から騎士や王になるのに向いたジョブを持った人間がいると困るという理由だったそうだ。別に赤ん坊の人権云々は関係無い。何せ封建社会の時代だ、農民が出世したら駄目なのだ。農民の子は農民、騎士の子は騎士となるのが世の習い。職業選択の自由など要らないのだ。

しかし業種間の転職は兎も角として上級職への転職は研究されたが、大した成果は無かったそうだ。これはなぜかと言えば、騎士見習いに赤騎士と青騎士というジョブを持った人間の成長を見ても、大差が無かった。また彼らが成長して騎士になってから上級職と思われるジョブに転職した赤騎士としなかった青騎士の間でそれほど能力が変わらなかったのだ。当時既に誕生していた魔力を使った武器術の現在では断絶したとある流派を2人は学んでいたが、記録された試合結果は50勝50敗という結果だった。


「しかも…2人は同じ顔の双子。上級職が存在し、ステータス成長率が異なるなら差は出るはずだ。出ないのは恐らく…この世のジョブは同じ業種なら成長率が同じなんだ」

「ウル様?それがどうなさったのですか?」

「これからハレのジョブを変えるのだ」

「出来るのですか!?」

「うむ。変えるが良いな?」


ハレは嬉しそうに頷いている。何でこんな喜んでるんだろう。実は今の職業に不安があったんだろうか?ハレの髪の毛を一本抜き、俺自身の魔力資源と反応させると、茶色・桃色・赤色・黄色の色に魔力資源が変色した。どうやら俺の目論見は上手くいくようだ。


{cd/cανεgε/jοβ}


真魔道大全に書かれていた職業転職呪文は案外簡単な物だったが、周囲の魔力資源だけでは術が発動しないようだったので、俺自身の魔力資源も使った。


「ぐっ!」

「ウル様!?また筋肉痛ですか?」

「いや…自前の魔力資源を消費したので…急に疲れがな…」


普通の魔術師は何時もこんな疲労に耐えて魔術を使っているのか、それとも俺のジョブが魔法剣士などという業種のどっちつかずっぽい職業なのと関連しているのだろうか?

まぁそんなことは兎も角として、ハレの体表を覆う魔力の色は桃色になっている。


「どうだハレ?変えてみたぞ」

「ウル様?この職業は一体何なんですか?私は今まで農夫だと知っていましたが…これは何なのか分かりません」


ふむ、今まで分かっていたのに急に職業が分からなくなると不安なんだろう。ハレはキョロキョロして自分の手や足を見ている。何故見ているのかは分からないが、多分レベルやジョブはそうした場所を見て分かるのだろう。


「ん?何って『メイド』というジョブだが見えないのか?」

「見えませんが…メイド…どういう職業…いえジョブなのですか?」

「真魔道大全にはこう記してある。『職業…ここでは食べて行く為の職業と区別する為にジョブと呼ぶ。ジョブの業種は耕す者若しくは造る者と戦う者、そして考える者の3業種に分けられると考えられているが、これらの業種を跨ぐ職業が存在する。そうした職業は幾つか確認されている』」

「それがメイドなのですか?でも…何が出来るのですか?」

「ふふっ…良く聞いてくれた。魔術が使え、武器術が使え、更には農業も出来る万能ジョブだそうだ」


まぁそもそも技能とジョブの関係は不明だが、経験則的には騎士は騎士関連のジョブだったり、魔術師は魔術師系のジョブなのだ。技能も多分伸ばしやすいのではないかと思う。まぁメイドは完全に語感で選んだだけだが。

だがメイドというのはかなり強力というかすごいジョブらしい。男には3つの職分全てを兼ね備えたのは無いが、女だけがメイドという3つの職分を持ったジョブを会得できるそうだ。なんでそんな大層なものがメイドなのかはさっぱり分からないがロマンは感じる。


「魔術…でもウル様が使えるのですから、わたしには必要ないのでは?」

「ふむ…別に料理が出来なくなった訳じゃ無いだろう?」

「それは…どうでしょう?転職など初めてですので…」

「なに、気に入らなかったらまた変えるさ」

「いえ!そんなお手間は…」


ハレは両手を前に突き出して振っている。何とも可愛い、それにハレは今全身がピンク色のオーラを纏って見えるのだ。実に高まるな、これを見て高まらない人間は男好きのホモだけだ。


「我慢できないな、全くエロくなりやがって!」


メイドというジョブに変わった事実に興奮したのか、ピンクのオーラに反応したのかは俺自身分からないが、ハレを優しく押し倒す。俺の体術スキルを持ってすれば寝技にスムーズに移行するなど造作も無い。


「だ、駄目ですウル様!まだ朝ですよっ!」

「構わんさ、お前がピンクなのが悪い」

「な…何を言って…だ…駄目…」


ハレの野良着を素早く脱がし、母のブラジャーを露出させる。する度に欠かさず洗っているのでハレの体臭と高級な下着の匂いが混じり合って実に良い匂いがする。顔を埋めて嬌声を楽しんだので全部脱がせてやろうと思っていたら、天幕の外から使い魔がやってきた。真魔道大全に書いてあった使い勝手の良いバージョンアップした使い魔である。まぁこういう時に邪魔をしてくるのは感心しないが、魔物の接近を教えてくれるのだから出来は良いので我慢する。

名残惜しいが、ハレの胸から離れて立ち上がる。


「魔物が近づいてきたそうだ。すまんがハレ、続きはまた後でだ」

「駄目です…朝は駄目です…もぅ…スケベ過ぎます…ウル様は…」

「いいじゃないか、俺はハレの綺麗な身体を明るい陽光の下で眺めたいのだ」


ハレは真っ赤になっている。まぁあんまり拒否するようなら強行はしないつもりだ。伴侶に嫌われたくはない。チェインメイルを着て天幕の外に出る。少し遅れてハレも出てきた。残念ながら野良着姿だ。まぁ半裸でも困るが。


「ゴブリンの群れか、調度良い」

「ウル様なら簡単に勝てると思いますが…油断は禁物ですよ?」

「ハレよ善い忠告だ。これからも頼むぞ」


天幕から11時の方向の1kmほど離れたところにはゴブリンの群れが居た。平原なので見通しが良いので簡単に確認できる。弓と矢筒をアイテムボックスから取り出し、射角を90度近く取り、魔力資源を纏わせた矢を放つ。


『遠延長矢』


矢は1km遠くに居る1m強の小鬼の小さな目を貫いた。距離もそうだが、この距離から精密に目を撃ち抜くのは人間離れしている。俺は某13の男並みの技術を持っているらしい。そう言えば精力もあの男並みかもしれない。まぁ右手が痺れることは無いのでそこは安心である。

その後遠くにいるゴブリン達は俺に気付くこと無く全て死体になった。


「さて…ハレ、天幕を片付けてから、死体を回収するぞ」

「分かりました…死体を回収したらどちらに向かいますか?」

「そうだな…王都には生きている人間は居なかったし…マの遺跡を見物に行くかな」


王都に使い魔を放ったら、やはり生きた人間は居なかった。王宮も塔も全て無残に崩れ、息をしている人間は居なかった。地面はぐちゃぐちゃで人が住むには瓦礫を撤去する必要があるが、最低でも10年はかかるだろう。まぁ王都に思い残す事も無い。ナスナチクトは哀れだが、その内俺が落ち着いたら墓でも作ってやろう。

天幕を片付け終わり、柱も大布もアイテムボックスに収納し、ゴブリンの死体を目指す。リュウは緊急時以外ハレを乗せてやらないみたいのなので、2人と1匹で並んで歩く。

ゴブリンの死体は合わせて43体もあった。こいつらも邪神教団の走狗だったのだろうか?ゴブリンは集団行動をする魔物だというから自然のモノだろうか?ゴブリンの死体に刺さった矢を回収し、矢筒に入れる。中には鏃が潰れて使い物にならなくなった矢もあったが、まぁ取っておいて損は無い。ゴブリンの死体は役に立たないので、銀水のヒドラに食わせる。


「さて…43の魂…実験には最適だな」

「何をなさるのですか?」

「クゥン?」

「俺の国を創る為の走狗…ロボットにするのさ…{cd/Яовoта/Маке/Яот}」


呪文をゴブリンの魂に唱えると、魂は手の平に収まるほど小さな箱に変じた。これこそ俺が創る王国の尖兵にして農奴である。この呪文が真魔道大全に載っていなければ俺は王国を創ることなど考えもしなかった。この力を持ってすれば大航海時代も産業革命も思いのままだ。だが全ては俺の幸福の為に…俺のハーレムと安息の為に真魔道大全の力を利用するとしよう。

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