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  作者: ひじきとコロッケ
????年??月??日
4/6

15時(1)

「うわああっと」


 飛び込んだ瞬間ふわりと体が浮くような感じがしたかと思ったらすぐ、つまりいきなり重力を感じて、飛び込んだ姿勢のまま、ずんがらがっしゃんと色々なぎ倒しながらスライディングしてしまった。


『大丈夫ですか?』

『一応は。頑丈だし』


 モニカに引き起こされて周囲を見る。おかしいな、同じタイミングで扉に突っ込んだのに平気な顔して立ってたよと、理不尽さを感じるね。

 薄暗い?夜?いや……色々とおかしい。

 私の通っていた高校は、普通の県立高校だった。校舎はそこそこ年季が入っていたけど、これといった特徴のない、ごくありふれたところだった。

 だけど、これは一体?

 わずかに差し込む日の光に照らし出されていたのは、無残にも朽ち果てた廃墟だった。天井、壁、床、全てひび割れ、窓ガラスは一枚残らず割れていて原形を留めておらず、漂う空気は埃っぽいというよりもかび臭い。

 机や椅子も、金属のフレーム部分だけが残っていて、木製の天板部分は腐り果てたらしく、床に黒ずんだ残骸を留めるのみ。教室内にあるものは、金属やコンクリートなどでできた部分はヒビだのサビだのでひどい状態ながらも残っているけれど、木の部分はことごとく腐っている、そんな感じ。


『そこそこしっかりした建物のようですが、勉学を修める場がこんな廃墟のようなところなのですか?』

『そんなはずは』

『しかし、これはどう見ても……田舎の孤児院でもこれよりはマシだろうとしか……』

『うん』


 立ち上がってドレスについた埃を払い落としながら、ざっと見回して……うーん。

 私のいた一年二組は全部で三十六名だった。だから当然机と椅子は三十六組あった。一つ余分があったかな?ま、それはいいや。今ここにある残骸を数えてみると二十組ほど。数がおかしいね。

 それから窓の外だ。


『ここは森の中なのでしょうか?』

『まさか』

『しかしどう見ても、これは』

『うん』


 窓の外はジャングルとまでは言わないけれど、うっそうと生い茂った森。ここは三階だったはずなのに、それよりも高いところまで木が伸びている時点で結構な大木だとわかる。

 そして、この窓から見えていたのはグラウンドのはずだ。決してこんな、森ではない。

 そしてとりあえずワケのわからない状況ではあるが、もう一つ。


『モニカもこっちに来れたんだよね』

『そうですね。うまくいってよかったです』


 この扉、私以外も通れたんだね。まだ残っているけどその内消えると思う……消えるよね?私が通るために用意された扉のはずだから。

 ん?モニカの話す言葉がサルヴァート語のまま……確か、私たちは召喚されたときにあっちの言葉がわかるようになっていて、普通に会話ができていたけど、モニカにはその特典がないのかしら?だとしたら……私がずっと通訳?

 ……頑張って日本語を覚えてもらおう。

 さて、それはそれ。まずは拘束魔道具をなんとかしよう。一応はまだ機能していて重くてちょっと動きづらいんだ。厄介なことにこの魔道具、起動後は装着者の魔力を使って動作し続けるみたい。私の膨大な魔力がある限り、ずっと……それこそこの私が死ぬまで機能し続けるわね。


『とりあえずこれ、重たいから外そう』

『破壊できますか?』

『問題ないわ』


 少々荒っぽいことになるというか、奥の手みたいなものなのであのクソ王子の前では使いたくなかっただけ。それと、拘束魔道具なんてあっても意味はないってことを見せつける意味で転移魔法を使っただけ。


『ええと……解析……よし、これなら行ける。分解』


 手をかざし、錬金術を使おうとすると、体内の魔力が乱れるけれど、金属の輪っかを分解する程度なら問題はない。この程度ならゴリ押しの力技で破壊できるはず……ちょっと時間はかかったけど問題なく()せた。もちろん、これをあのクソ王子の前でやっていたらその間に……と思うと、背筋に冷たいものが走った。

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