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隻腕の魔法使いである俺は劣等生だと思われているらしい  作者: カンナギまふぃあ


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13/22

ぼっちの代償


 皆が真面目に授業を受けている午前の時間帯。


停学中の俺は、学院内にある「支援センター」を訪れていた。


今まで授業一本でやってきた俺にとって、ここは初めて足を踏み入れる場所だ。


「今年は皆さんの活動が活発で、中々依頼が埋まってるんですよね~。少々お待ちください、空いているものを探してきますので」


受付の女性はそう言うと、奥へと引っ込んでしまった。


困ったな。

ここで何も見つからなければ、俺は進級できない。


停学さえなければ大人しく授業を受けていたものを、今となってはこの道しか残されていなかった。


しばらく壁にもたれて待っていると、先ほどの女性が紙束を抱えて小走りで戻ってきた。


「お待たせしました! ひとまず学年や難易度がごっちゃ混ぜの『残り物リスト』を持ってきました。失礼ですが、今は何年生ですか?」

「4年生です」

「かしこまりました。……この量、かなりありますよね。手分けして4年生が可能な依頼を探しましょう!」

「え、良いんですか?」

「はい! 実のところ……」


彼女は口元を手で隠し、声を潜めてニッコリと笑った。


「仕事してるフリしてサボれるんで」

「……それなら、お願いします」


こうして二人でリストをめくり始めたのだが、これがまた見つからない。


1枚目から「5年生推奨」ばかり。

めくってもめくっても「4」という数字が出てこない。


「どうですか……?」

「中々ないですね」

「こっちもです……」


ヤケクソ気味にパラパラと紙を飛ばしていると、ようやく「4」の数字が目に止まった。


(ここだ!)


勢いよく止めたそこには、

『数字の4が好きな方! ぜひご応募を! ※5年生から』

という、ふざけたタイトルの薬草採取依頼が書かれていた。なんだよ「4が好き」って。


ため息を飲み込みながら再び手を動かすと、ようやくまともな一枚を見つけた。



『ダンジョンに蔓延る害虫駆除』

(帝国依頼:2単位補助)

内容:グリスウッドの洞窟にて「メルキッド」が大量発生中。行商人のルート近くであり早期討伐を求む。

条件:メルキッドのツノ30個を提出。4年生以上。※推奨3人以上。

報酬:50帝紙(即日交付)



条件は悪くない。

メルキッドは子供サイズほどの巨大蜘蛛だ。

見た目の気色悪さから敬遠されがちで、依頼が余っていたのだろう。


ただ、ツノ30個ということは、少なくとも成虫を30匹狩らなければならない。


かなりのブラック案件だ。

その上で報酬は50帝紙か。

最近のインフレを考えると、あまりお得とは言えない。


今の交換レートは、大体「金貨10枚=1帝紙」。

1帝紙あれば、なんとか昼と夜の飯が食えるくらいか。昔は金貨1枚で水が買えたのに、今じゃ2枚は必要だ。


だがまあいい。帝紙は帝国が保証する”金”だ。そう易々と暴落することはないだろう。


「すみません。これ受けます」

「どれどれ……これですか? では、残りのお二人の学籍番号やお名前は分かりますか?」

「残りの二人?」

「あ、これ『同行人3人推奨』って書いてあるんです」

「……俺一人で良いです」

「そ、そうですか。ではこちらに学籍番号とお名前をお願いします」


受付嬢が気まずそうに目を逸らした。

友達がいないとバレたかもしれないが、事実だから傷つきもしない。


「はい、承りました。当該ダンジョンである『グリスウッドの洞窟』までの行き方は分かりますか? 一応地図もありますが」

「お願いします」


渡された地図を広げる。ここからそう遠くはない。

往復でギリギリ4時間といったところか。

善は急げだ。さっさと行ってしまおう。


……待てよ?


移動で4時間。そこで30匹討伐するとなると、合計で6時間はかかる計算だ。

ふと、冷静な思考が脳裏をよぎる。


(これ、授業受けてる方が楽だったんじゃないか?)




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