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終わらないカーニバル

 三人の浅草話は止まらない。

 当日は見られなかった他のパートのパフォーマンスは三人とも後日動画で観ていた。


 類は自分が抜けた学生メンバーのアーラを柊と美琴がうまく率い、年少組も可愛らしくも実はタフな振り付けに懸命について行っていたシーンについて、我がことのように熱っぽく語った。

 動画では全てが映されてはいなかったが、ところどころを年長組がカバーして、うまく休憩をとらせていたことが伺えた。


 パシスタは仁美が率いるフリーダンサー隊、瑠衣の母の茉瑠と、紗杜のふたりがまとめるドレス隊のふたつのチームに分けられた。


 フリーダンサー隊は個々のパフォーマンスで魅せる少数精鋭で、どちらかと言えばサンバ関係者からの評判が良かった。


 ドレス隊は衣装にも相当注力し、ふたりのトップダンサーが統制をとって一糸乱れぬ振り付けを行う。

 人数も多く今回のパレードの主力アーラだ。


 バイアーナは引退した元メンバーを助っ人に構成した。

 浅草のときだけ参加するメンバーも多く、慣れたものだった。

 いつも、浅草直後の彼女たちは口々に「復帰しようかな」などと言っているものだが、結局はうやむやになってしまっていた。

 しかし今年の熱気は今なお彼女たちの中にも渦巻いていて、本気で復帰しそうな者が何人か居そうだった。

 類は打ち上げで大先輩たちと仲良くなったようで、連絡先を交換しており、折に触れて練習に誘っているのだという。


 瑠衣と類は、慈杏と美嘉のポルメスについて、どちらがより良かった点を言えるかを競うかのように言い合った。


「ジアンもさすが、エスコーラを代表するダンサーだけのことはある素晴らしさだった。メストリのミカも雰囲気会って良かったよね。ポルメスも『ソルエス』を代表するにふさわしいパートだと思うけど、私はやっぱり……」

 三葉はやはり、ハイーニャの菫が目を引いたと言った。

 打楽器隊のバテリアを鼓舞するように、たったひとりでバテリアを背負って踊り続ける姿は気品に溢れていた。


 三葉は更に続けた。

 ハイーニャに呼応するように激しく厚かったバテリアの音の素晴らしさを。

 評価ポイントは、他のエスコーラと比べても然程人数が多くない編成でありながら他のエスコーラに匹敵する音量。

 音量を意識するとどうしても統制が取れにくくなるが、バテリアの指揮者である『ヂレトール』が見事にまとめ上げ、複数の奏者が奏でている音なのに、ひとつの大きな音として聴こえた。


 全体の隊列としては、コミサォンが先頭で、バテリア隊は後方だ。三人はコミサォンとして先頭にいたがバテリアの音が良く聴こえた。


 バテリアに関しては三人とも興奮気味で、演技中に得た高揚感について語り合った。


 大きな太鼓『スルド』の低音に心臓を掴まれ、小さなシンバルがそろばんのように並んでいる『ショカーリョ』と、片手で持てる小さい太鼓をもう片方の手のバチで素早く叩く『タンボリン』のリズムがダンスに躍動感を持たせた。

 打楽器ならではのグルーヴを生み出す中型の太鼓『カイシャ』、リズム楽器であってもフレーズを奏でる『ヘピニキ』の多彩なリズムで、単なる爆音ではない、カーニバルの語源でもある、神事・儀式としての意味を持っていたカルナヴァルに相応しい、人間の根源に届くような音を創り出していた。


 三人が、もし練習の時以上のパフォーマンスができていたとしたなら、バテリアの音のお陰だったかもしれない。

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