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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 浅草サンバカーニバル
92/101

課題解決!

「なにかストレスでも抱えてる?」

 やってきたミツバは呆れたような、憐れむような目でわたしを見ている。


 確かに、この物体は事実自ら創り上げたものだ。

 怒りやらストレスやらに起因していると思われても不思議はない。


「やってたら勝手になったの! ミツバもほどくの手伝って」


 仕方ないなぁ、と言いながら、空いている場所に加わり、みんなと一緒にほぐしはじめた。


 みんな一心不乱に作業をしている。

 一点盲点だったのは、カニの食べ放題みたいに、夢中になると無口になりがちなる。

 しかし、要所要所では、「ここ、こっちからこのひもの先端通せない?」とか、「あ、ここ解いたらここも解けて外れるんじゃ?」なんて言いながら協力プレイみたいになってきている。

 雰囲気は良かった。

 そんな雰囲気なので、自ずとみんなの口も軽くなってきて、段々わたしをネタにし始めた。


「ルイって完璧感出してる割に結構あれよね」にーなの目線は手元のまま、指は器用に動いている。


「あれってなに?」


「ドジっ子?」指先に落としていた目線を少し上げ、考えるようにしてにーなは言った。


「そんなじとっこみたいに言わないで!」


「それ。そういうところ」


「地頭鶏? なんで急に地鶏よ。絶対突っ込み間違いしてるよね」ビオラもにーなに乗っかる。


「そもそもルイが完璧なんて思ったことないけどな」


「アキは黙ってやっててよ!」アキにいじられたくない! なんとなくだけど、なんかいやだ!


「ちょっと、うちのルイいじめたらるきぷ?けしかけるから」


 ジル!

 いつもわたさはの味方になってくれるジル!

 さっきはちょろいとか思ってごめん。でも、けしかけるってどういうことだろう。


「わるかった。二度としない。それだけは勘弁してくれ」


 本気で嫌がっている感じではなかった。

 クラスでもこういうノリはある。

 大抵は口では言いあっているけど実際仲が良くて、周りもそれをわかっていて、そしてそれが男女だったら、最終的には付き合ったりするのだ。アキとるいぷるってそんなに言い合うような感じだった?


「まぁ、完璧感出しててぶん抜けてるって、アキも大概だからね?」ビオラが冷静に言い放った。


「俺のどこが」


「それよ!」


 アキが言い終える前に、ビオラはアキの作業している箇所を取り上げた。


「なんでよりこんがらがってるのよ! 足引っ張るなら手を引きなさい」


「おー、ビオラがうまいこと言ってる」にーなが感心している。


「あははは! みんな、仲良いよね」やり取りを聞きながら、作業に集中していたミツバは、耐えきれなくなったように大笑いしていた。


「いや、ほんと『ソルエス』っていいチームだなーって、中に入って一層そう思うようになったよ。

人数が少ないって弱みだと思っているかもしれないけど、文字通り家族みたいで、みんな信頼と絆で繋がっていて、だから集団のパフォーマンスの連携がすごくきれい。バテリアも人数少ないのにそれを感じさせない音量で」


『ソルエス』を褒めるミツバの言葉を、ビオラとジルは照れくさそうに、にーなは誇らしそうに聞いていた。


「わたしが前に居たチームはさ、確かに人数は多いし、個人個人も競争が激しいからレベルも高かったけど、全員の連携っていう意味では、課題も多かったから『ソルエス』の在り方ってとても素敵だと思う」


 何言ってんのと、ビオラが少し不貞腐れたように言った。

「ミツバももう『ソルエス』の仲間じゃない」


 ビオラも照れ隠しみたいなのするのかと思うと、なんだかほほえましくなった。




 結局わたしがガッチガチにした素材たちはほどけなかった。

 グルーガンで固めたのはやりすぎかもしれない。

 でも、ミツバとパシスタの魚の小骨のようなちょっとした絡まりを、ほぐせるきっかけにはなったと思った。

 使い物にならなくなった素材は買いなおさなくてはならなく、費用はチームで負担してくれることになったが必要経費ってことで良いよね。


 わたしもちゃんとママにこの後すごい怒られるだろうし、許してくれるよね。

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