表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 浅草サンバカーニバル
81/101

わたしのこと

 じゃれ合いながらも、軽く笑い飛ばすには少し重めのエピソードを披露したふたりは、好きでしゃべった、バンド組んでくれたわたしたちには、動機となった源泉を知ってほしかった、だから、この流れは無理に引き継がず、好きなことを喋ってよとわたしたちに話を振った。


 アリスンが、えー、どうしようかなーとにこにこしながらこちらを見てきた。

 わたしは話したいことは決まっていた。アリスンに先に話して良いと聞くと、良いよーと微笑んでいる。


「じゃあ、好きなことって言われたけど、わたしも家族のこと話すね」


 わたしは両親の離婚のこと、離婚後はおじいちゃんの家で、おじいちゃんとママと三人で暮らしたこと、ママは最近再婚して、今はおじいちゃんの家の近くにアパートを借りてママと再婚相手とわたしの三人で暮らしていることを話した。

 おじいちゃんはサンバチームの『ソルエス』の創設メンバーのひとりで楽器をやっていること、ママは創設時からダンサーとして所属していて、わたしも生まれて歩けるようになってからはダンサーでメンバー入りしたこと。ママの再婚相手も『ソルエス』で楽器をやっていること。

 おじいちゃんはお茶屋さんを営んでいて、ママは店舗などのデザインや設計をするフリーのインテリアプランナー。ママの再婚相手は市役所の課長さん。

 などなど、家族のことを特にサンバに関することを中心に話した。

 普通か特殊かで言えば、特殊な家族かもしれないけど、毎日たくさん話をして、毎日楽しかった。

 でも、いっとき、喧嘩しているわけでも嫌になったわけでもなく、ただタイミングが合わないってだけで深い理由はなかったのだけど、結果として家族間であまり会話がなかった時期があった。

 あるきっかけがあって、わたしがママに甘えていないことを認識した。

 子どもがきちんと甘えないと、親は、特に若い親は、子どもを正しく甘えさせ、心を健全に保たせる親としての経験を積めなくなってしまう。

 だから子どもはちゃんと甘えた方が良いと言われたのだ。

 それで意識してママと話すようにしたら、元々ママのことは好きだったけど、ママからの愛情を感じられるような気がして嬉しかった。

 その経験があったから、ママの再婚相手や、今は少し離れて暮らしてるおじいちゃんとも、意識して話すようにした。話せば話すほど、相手のことがわかり、わたしのことがわかってもらえたように思え、なんだか安心するのだ。


 だから、今日のこのみんなとの話もとても大切だと思っている。

 だから、わたしの胸の裡をなるべく伝えたいと思った。



 今の家族は大好きだし、とても大事だ。

 でも、幼い頃別れた、今は顔も思い出せない本当のパパのことをふと考える時がある。


 離婚したばかりの頃、ママはわたしに謝りながら、絶対に護ると言っていた。そんなママを、わたしも大切にしたいと思ったし、ママがいればそれで良いとも思った。


 けど、パパがどんな想いを持っていたか、わたしは知らない。

 わたしをどう思っていたのか、出て行くことになって、どう考えていたのか。

 そこには知らない方が良い答えがあるのかもしれない。

 それでも、今のわたしは、パパと話してみたかった。

 話すことでお互いを、お互いの気持ちや考えを、交換できると知ったから。



 わたしは家族のことを、その思いも含めて話した。

 ママと話せて良かったこと。パパと話してみたいと思ってること。


 有働くんと名波くんは、相槌を打ちながら、でも決して適当なことは言わずにわたしの話を聞いていた。

 どう思ったのだろうか。

 ふたりがそれぞれのお父さんと確執があるのはわかるし仕方がない。でも、その相手と話せる機会を作れる環境にいるのだ。


 持っているが故に気づかない、ありがたみや尊さに、気づいてもらえたら良いな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ