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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十四歳 コミュニケーション迷子
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イベント

 夏から秋はイベントシーズンだ。多くのイベントに呼んでもらえる。

 毎週のように土日がイベントで埋まり、ときにはダブルヘッダーなんて日もあったりする。


『浅草サンバカーニバル』もこの時期の開催だ。自ずと練習や準備などの日程も必要になる。


『浅草サンバカーニバル』は、一年掛かりで準備が必要な大きなイベントだ。追求すればするほど良くなるとも言えるし、終わりはなくキリがないとも言える。

 うちのチームは今年、多分来年も、あまり労力は掛けず体裁だけ整えて出場するだけになるだろう。

『浅草サンバカーニバル』はコンテストであり、出場するだけでも出場資格を有していなくてはならず、その立場になるのは簡単なことではない。

 そういう意味で、今回は戦略的に出場権をキープすることを目的にした消極的な出場だ。


 アスリート的な考え方で言えばナシだと思うが、二年後或いは三年後に向け力を溜めると言う目的を、中長期を見据える経営的な視点で見ればアリなのでは無いだろうか。

 今年のイベントスケジュールとしては、『浅草サンバカーニバル』の後に商店街主催の『サンスターまつり』も控えている。このイベントも本来『ソルエス』にとっては重要なイベントではあったが、近年は祭り自体が最近盛り上がりに欠けているので、今年に関しては通常イベントと同様の感覚で出ることになるだろう。


 目先は意識改革と衣装を馴染ませることを目的としているわたしにとっては、むしろ都合が良かった。

 チームが力を入れるタイミングと、わたしの充実度はリンクしていた方が良い。できれば受験のある来年は避けてほしい。


 今年のイベントシーズンに実里の衣装が間に合った。

 練習はとにかくストイックに、本番はとにかく楽しむ。

『ソルエス』よトップダンサーのひとり、ヒトミ(日吉仁美(ひよしひとみ))の教えだ。

 ヒトミは緋色。崇高な雰囲気で尊敬のできる人だ。


『ソルエス』が参加するイベントではトップダンサー四人が持ち回りでダンサーの構成や振り付け、選曲などを担う取りまとめをおこなっていた。

 四人は裏で四天王と呼ばれている。別に陰口では無いし、隠しているわけでも無いが、公称でもない。

 内訳はヒトミとママに加え、現ハイーニャのビオラ(百済菫(くだらすみれ))、ジル(伊礼紗杜(いれいさと))の四名だ。



 ビオラは本名と一緒で菫色。

 気まぐれでチャーミングだが媚びない気高さを併せ持つ。


 ジルはネープルスイエロー。面倒見が良く人に慕われる人気者だ。



 四天王はみんなママと近い世代で、まだ充分現役だ。

 パシスタは引退するとドームのような大きなスカートで揺れたり回ったりして踊る『バイアーナ』と呼ばれるダンサーになることがある。

 サンバ発祥の地のバイアーナから名を取られた名誉あるダンサーだ。

 一方、技術も体型も維持していれば、パシスタのまま現役を続けるダンサーも多い。他のチームでは、五十代でも美しくて技術力のあるダンサーがいくらでもいる。


 ハイーニャについては、四天王たちは次の世代に渡したいみたいなことを言っていたが、わたしがハイーニャを決めるコンテストにエントリーしたら、ママは本気で獲りに来る気がする。

 容赦ないからな、ママ。


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