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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 浅草サンバカーニバル
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バンド参戦

 みんなと浅草サンバカーニバルに出る。思ってもいなかったことだ。


「浅草サンバカーニバルはチーム外のメンバーが参加できるゲスト枠を設けているエスコーラは多いし、うちも参加できるようになっていて今からでも参加可能だけど……」

 有働くんの提案は悪くないと思えた。


 一般参加枠は、一般参加者だけで固めたアーラをつくる。

 バンドで参加となると、一般参加とは別の扱いとなるから少しハードルが高い気がするが、複雑な曲ではないから有働くんと名波くんの実力なら問題なく合わせられそうだ。

 アリスンも仮にベースで参加するとして、基礎的なリズムパターンなら問題ないだろう。

 期待したいとするならコーラスだ。

『ソルエス』の歌を司る『カントーラ』は女性で、その美しい声は他のエスコーラのメンバーからも評判が良かった。

 アリスンの声は属性が近く、ギャップや幅広さには寄与しないかもしれないが、美しい声同士が響き合う奥深さや厚みが出せるような気がした。


 参加の許可がえられるかは練習にどれだけ参加できるかにかかっていると思えた。

 先に三人が参加できる練習日を提出し、その量を以てやる気もアピールしつつ、現実的に本番までに仕上げられることを根拠に、ハルや『ソルエス』のバンドメンバーからの承認を得てみよう。

 わたしは三人にそう話し、スケジュールを出してもらった。



 次の練習の機会に、さっそく三人の参加をハルに提案した。

 ハルからも、『ソルエス』のバンドメンバーからも、三人の参加についての快諾が得られた。

 ハルの思惑としては、とにかく使えるものは使いたい。パフォーマンスがより良くなるならなんでも受け入れるとのことだ。


「冷たい言い方になるが、もし本番までに間に合わなければ参加は見送ってもらい、当初の予定通りいけば良い。そうならないように、ルイがうまく取りまとめるんだぞ」とハルは爽やかな笑顔で言っていた。

 プレッシャーの掛け方えぐいと思いつつも、許可をもらえて良かったし、メンバーをまとめるという役割の重要性を感じて気合が入った。


 そうだ。メンバー外を入れてパフォーマンスが低下してしまったら元も子もない。

 それももちろんなのだが、三人はもはやわたしの友だちだ。特にアリスンは高校最初の友だちで、今も仲の良い友だちだ。

 そんな三人に、わたしの段取りや手配の不備で、いたたまれない思いをさせるわけにはいかない。


 浅草サンバカーニバルは良くも悪くもみんな必死だ。そして、外部からの参加者も多くかなりの大所帯にもなる。

 手の届く範囲には多少配慮はできても、誰かのつながりで参加しているよくわからない参加者のことは後回しになったり、タイミングによっては蔑ろにされたりなんてこともなくはない。

 わたしが三人をちゃんと見て、せっかく参加するなら、三人に楽しいと思わせなくては。

 わたしは一人気合いを入れ、この結果を持ち帰った。



 練習の翌日、三人にハルからもたらされた結果を話したとき、特にアリスンが喜んでいた。

 彼女も浅草サンバカーニバルの映像を観たらしい。

 彼女はわたしにスマートフォンの画面を見せ、動画を再生した。


 音響機器を運ぶ台車のうえでドレスを纏って歌うカントーラ。台車の周りにはダンサーたちが踊っていて、それを従えるように台車がゆっくりと動いるシーンだ。観ながらアリスンは、「わたしもこれやりたい」と騒いでいた。

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