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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 浅草サンバカーニバル
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バイト

 バイトは覚えることが多く大変だった。

 ホールスタッフでもお客様からの質問に答えたり、ときにお勧めをしたりするので、商品知識は不可欠だ。

 それをわかりやすく、お勧めならば魅力的に言葉や表情で伝えなくてはならない。


 接客スキルは勿論必須で、加えて日ごとお客様ごとに異なるイレギュラーな事態への対応力も求められる。

 忙しい時間帯の手際の良さや判断力も必要だ。

 基本立ち仕事だから、体力もいる。



「文樹さん! 六番様オーダー訊けてる⁉︎」


「まだですすみませんっ、今伺います!」


 時間帯によっては戦場のようになることもしばしばだが、「働いてる!」と言う実感が持てて好ましい感覚だった。

 その後落ち着いたタイミングで訪れるやり切った充実感も心地良い。


 夜のシフトでは時間制のシュハスコのため、ある一定の時間になるとお客様の受け入れをストップしている。

 出来上がったものをお客様のテーブルをまわってお渡しするので、注文や提供が偏ることもない。これ以上お客様が増えない時間以降は、多少お客様の数が多くても必ず少し落ち着いた時間となる。


「それじゃ、少しずつ片付け始めちゃってね」


「はい、店長」


 店長は髭とがっしりとした体格だけど雰囲気は優しく、男の料理本を出していそうな印象で、シュハスコのお店の店長! って感じがした。

 逆にそういう立場だから外見を寄せに行ったのかな?


 従業員は社員が三人、バイトはわたしの他に五人いて、ホールは常時ふたりから三人でまわしていた。

 シフト上あまり会えない人もいたが、みんな一様に親切で、楽しい職場だった。


 ときおり行われるサンバショーでは、他チームのトップダンサーやフリーのダンサーのダンスが観られて良い刺激になった。

 実里のダンスも久しぶりに観られた。

 店長が気を使って、その時間を休憩時間と合わせてくれた。

 ショーの時は給仕が一旦止まるし、迷惑はかけていないと思いお言葉に甘えて食い入るように見入った。


『ソルエス』からもヒトミやジルが喚ばれることもあった。

 ママやビオラにも声は掛かるらしいが仕事であまり受けられないそうだ。ママはわたしが働いているからかもしれないけど。




 初めてのバイト代はママとおじいちゃんとソータ、それぞれにプレゼントを買った。

 インテリアの仕事をしているママには、ミリセカンドのアルミ素材のメジャー。カラーはブラック。デザイナーデザインした、一見メジャーには見えないおしゃれなメジャーだ。

 市役所で内勤のソータにはパーカーのボールペン。こちらもブラック。品が良くて格好良い。

 おじいちゃんには戸田屋商店の手拭い。柄は茶道具のやつにした。

 それぞれ、それほど高額なものではないけど、品質が良くデザイン性も高いものを選べたと思う。かなり一生懸命探し回った。だから、みんなに喜んでもらえたときは本当に嬉しかった。


 残りのバイト代はとっておき、その後に入ったバイト代も足して、部活用にギターの購入費用に充てることにした。


 マッサンや昔ギターをやっていたというアイジに訊いたり、有働くんや名波くんも楽器選びに付き合ってくれたりして、色々迷いながらもテレキャスタータイプという形のものを選んだ。

 楽器屋の店員さんは音についての説明をしてくれたが、良くわからなかった。見た目が気に入ったのと、持ってみて重さなどしっくりきたのでこれが良いなと思った。

 初めての楽器はピカピカしていて、衣装とは違う愛着を感じさせてくれた。大事にしようと思った。


 アリスンも一緒にベースを買った。

 ギターとベースは似たような形をしているので同じようなものだと思っていたが、持たせてもらったらベースの方が重かった。

 アリスンはこれまでの部活での練習ではレンタルしたベースを使っていたから重さは把握していたが、自己所有となると今後は持ち運びが発生する。アリスンは重い楽器を扱うことへの覚悟を決め、ひとり気合を入れていた。



 ハイーニャロードマップ当初のプランでは、バイトをして新たな衣装の追加購入を考えていたが、週に何回かの放課後のバイトだけでは、衣装を買えるほどの収入にはならず、また、計画書年に作った実里の衣装が非常に良く、実里が好意でちょくちょくサイズ調整をしてくれるのと、大事に使っているので使えば使うほど使い勝手が良くなることもあり、この衣装と昔使っていたものをママがカスタマイズしてくれた衣装を使いまわすことにした。

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