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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 浅草サンバカーニバル
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るいぷるとミツバ

 るいぷるが嬉しそうにミツバにまとわりついて言った。


「去年の受験生たちの合格祝いしようと思っているのです! 姐御のわたしが奢ってあげないとなーと思っていたけど、人数多すぎて破産を覚悟してたの! みばっち、助けてぇ」


 すごいな。お金払わそうとしている。

 お祝いは嬉しいけど、そこまで無理しなくて良いんだけどな。

 高いお店じゃなければ、みんなも自分で出せるだろうし。


「別に良いけど。でも、そもそもみんなの希望は訊いているの?

一部自分で出すって話になるかもしれないし、別のお店になるかもしれない。無条件で出してあげても良い時もあるし、少し負担してもらった方が相手にとっても良い時もあるよ。いずれにしても自分の限界を超えているのは良くないし、それを人で補うのも良くない」


「ぐう、正し過ぎてぐうの音も出ません! ちゃんとみんなに確認します! そのうえで改めてみばっちに相談します!」


 ぐうって言っちゃってる!

 ぐうの音と言うのを初めて聞いた。


「そう。よろしくね」


 それにしても、ミツバなんかすごいな。

 それでもへこまず突貫していけるるいぷるもすごいけど。


 るいぷるにとっては、一筋縄ではいかない相手であるような気がした。

 るいぷるが特異なのは一目瞭然なのだが、ミツバは一県普通で正しいのだが、なにかすこしずれている。自分と言うものをもっていて、ただひたすらにそれを追求している印象だ。

 ありとあらゆる他人の機微を見極めているるいぷるとは対極なのかもしれない。



 こんなこともあった。


「みばっちー、恋バナしようよぉ?」


 るいぷるにとっては会話の糸口の常套手段だ。


「良いよ」


「彼氏おるん?」


「いないわ」


「好きな人は?」


「いないわ」


「うちのマランドロだったら誰?」


「ハルかな。ウリは甘い顔立ちでモテそうだけど、優男過ぎてサンビスタ人気は意外と低いだろうね。サンビスタは男くさい方が人気高いから。ハルは精悍で人気ありそう」


「サンビスタ人気じゃなくてみばっちの好みは?」


「クラスで誰が好きとか言ってる小学生じゃないんだから、限定された範疇で誰が良いとか意味なくない?」


「うー」


「質問は終わり? じゃあ、次はるいぷるの番。今の質問全部答えて」


「ぐぇ! えーとぉ、彼氏おらんくてぇ、好きな人はぁ、べつにぃ」


 歯切れ悪っ!

 普段の流しそうめんのような留まることを知らない語り口はどこに行った⁉︎


「別には回答になっていない」


「えぇー? でもぉ、るいぴもきいてるしぃ……」


「くねくねしない! わたしも同じ条件で答えたわ」


「えっとぉ、うーんとぉ、いない、かなぁ、いないと思う……」


「自分の気持ちすらはっきりとわからないってどうなの? で、マランドロではだれが良いの?」


「誰とかは、別にぃ……みんなすってきよねー」


「その中から選べと言っているの。誰? アキ?」


「なんで急にあきにい⁉︎」


「? 別に? あいうえお順で言っただけだけど……?」


「あ、え? そ、そっか。

......うろたえたと思ったでしょ⁉︎

そういうどっきりでしたー。いえー、超成功⁉︎」


「? 別にうろたえたなんて思ってないけど?」


 言えば言うほど自滅してない?

 でも、確かにるいぷるってマランドロやミカの中ではアキに対してややいじりがちな気がする。

 ジアンも言っていたが、アキは張り詰めた空気と隙の無い雰囲気があるから、かえっていじり倒した方が良いのだと。

 ミカが言うには、子どもの頃はむしろお調子者だったそうだ。

 確かにたまにクリアンサス相手に追いかけっこをしてあげているのも、基本はいじられていると言えるし、そう言う姿はクールな時とは少し違っていて、本性のような気がしないでもなかった。

 だから、るいぷるがアキに対してずいずい物を申していたり、たまにバシバシ叩いていたりしているのも、いじりの一環だと思っていたのだが……。


 そういえば、前わたしにわたしも年上が好きなのかと問われたことがあった。「も」? ってことはるいぷるも? と問い返したときに、年齢を好きになるなんて無いと言っていた。

 けど、今にして思えば誤魔化しているような答えだ。だって、「も」に対する回答になっていない。まあ、「も」にこだわるなら、わたしも年上が好きかどうかの話が再燃してしまうのだが。


「みばっちが! いじめるっ!」


 あ、逃げた。これ、るいぷる完敗じゃない? 完膚なきまでってやつ?

 るいぷるにもこんなことがあるのか。


「うまく言ってる人もいるから一概には言えないけど。わたしは同じチーム内の恋愛はお勧めしないな。特にダンサー同士」


 一方のミツバはケロッとしていた。既に逃げ去ったるいぷるには聞こえていない最後の一言は何やら含蓄があって、ミツバの豊富な経験を想像させた。

 確かにこのひとには、特に恋愛系の話は安易に触れない方が良い気がした。

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