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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 ふたりのルイ
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パレード

 足場が組まれている台車が登場した。

 スピーカーな発電機などの音響設備が設置されていて、歌い手の『カントーラ』のゆきえ(島津由紀恵(しまづゆきえ))と、メロディラインを担当する弦楽器、ブラジルのアコースティックギター『ヴィオラン』奏者のマッサン(松本啓介(まつもとけいすけ))、ウクレレのような楽器の『カヴァキーニョ』奏者のきょん(清原純(きよはらじゅん))が乗っている。


 どん!


 楽器の中で最も大きな音を出す大太鼓、スルドの低く重く、身体を貫くような音が響いた。呼応するように他の楽器が続く。

 カバキーニョの軽妙な前奏が奏でられた。



 始まった! パレードが!


 隊列や振付などが決まっている『浅草サンバカーニバル』と異なり、『サンスターまつり』のパレードはある程度隊列は決められていても基本フリーだ。始まれば隊列間を多少は行き来しても問題ない。


 ノリの良い観客の前で一緒になって踊っても良いし、観客と演者を仕切るロープは張られているが触れることもできるので、進行がてら観客からのハイタッチに応えても良い。



 パシスタは観客を興奮の坩堝に巻き込んでいく。

 華やかな衣装や迫力のあるダンスだけではまだ足らない。

 パシスタ自身の高揚感を嬌声で表現するのだ。


「フューーッ‼︎」


「フォーー‼︎」


 日本人には馴染みのないテンションだ。

 正直わたしは声上げが得意ではない。

 でも、未来のハイーニャがそんなことを言ってはいられない。


「ふおーっ」


 わたしも負けじと声を張る。が、


「ぎょぼひーーー‼︎」


 るいぷるの謎の雄叫びに掻き消された。叫びながら激しいノペを踏んでいる。


「じゃぇくびぶぁーー‼︎」


 なんの叫び⁉︎ なんかの部族⁉︎ 誰に習ったの⁉︎


 いや、でも、あれはあれで良いのか。

 叫びは感情の発露だ。

 ルールややり方が決まっているわけでもない。

 あれが、るいぷるの感情を表しているのならば、あれはあれで正しくもあるのだ。


 ……あれで表される感情って、どんなんだ? 人が持ち得る感情なのだろうか?


「びゃっ! びゃっ! びゃっ!」


 サンバ・ノ・ペはフォーカウントで、スリーにアクセントが入る。

 アクセントのポイントで、また独特の奇声をあげている。


 なんかキメてきた?


 るいぷるのテンションは異様だが、ノペに乱れはない。ちゃんと音が取れている。

 妙な叫び声も、それで観客が乗っているなら、ダンスで魅せ、観客を煽り盛り上げることが求められるパシスタとしての要件を満たしていると言えた。


 デビューでこれか。なんか、すごいな。


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