当日、朝
色々な人からたくさんのものを贈られたわたしは、それらすべてを身の裡に宿し灯らせて、今日のこの日を迎えた。
「おはよー」
ママとソータと連れ立って歩いている。
元々ママのことは好きだった。
でも、るいぷると話したあの日以降、なんだか気持ちが近くにある気がして、ママと一緒に歩いているとポカポカした気持ちになった。
昨日荷物を準備している時に、パッキングの要領が悪くてスーツケースが閉まらなくなってしまい嘆いていたら怒られたが、それでもポカポカしていた。なんだかんだで最終的には手伝ってくれたし。
目的地の市民劇場が見えてきた。
市民劇場では夜のステージを行う。館内の会議室や楽屋は控室として確保されていた。
既に何人かは集まっているようだ。まだ遠いが、こちらに気づいて手を振っているのはジルか。
朝の八時前、市民劇場前にみんな集まってきていた。開場は八時だから、開場前に来ても入れず、入り口付近で開くのを待っているのだった。
早くついたメンバーたちは入り口前で待っていて、後からも続々とメンバーが集まってきた。
みんな大きな楽器や、衣装が詰まった大きなスーツケースを引いてきている。
集合時間は開場後の八時半だったが、十代メンバーは全員揃っていた。
気合充分だ。
みんなカバンにディズニーのキーチェーンを付けてくれているのも嬉しかった。
ジアンとミカもやって来た。
カザウはメストリがポルタをエスコートするような演出でダンスをするペアだが、パフォーマンス時以外でもメストリがポルタをエスコートしなくてはならない。
衣装やバンデイラはメストリが持ち運び、衣装の着用やバンデイラの組み立ても行う。
ポルタの衣装はスカートが大きなドレスで、骨組みのような輪になっている素材をいくつか入れて、スカート部分を大きく膨らませている。着用するのも一苦労で、着たら着たで移動も大変だ。スカートの裾を持つなどのサポートもメストリが行う。
準備に時間がかかるので早い到着なのだろう。
パシスタもメイクで二時間は時間を使う。
バテリアやバンドは楽器のチューニングや音合わせ、音響の調整などに時間を使う。
男性ダンサーは着替えるだけなので、何時間も時間が必要ではなく、遅く来がちだった。
集合時間は決まっていて、決定事項なのだから守るべきだが、プレヂデンチのハルからしてギリギリに来るのだから示しがつかない。
ウリはそう言うのしっかりしてそうなのに、やっぱりギリギリに来る。
アキに至っては必ず少し遅れてくる。
ルーズでもあるのだろうが、三人とも合理主義に寄りすぎているきらいがあるため、無為な時間を不必要と切り捨てているのかもしれなかった。
協調性を重視するなら、早い人たちと同じ時間にいた方が良いのに。
いつもギリギリの時間になるのだから、ミーティング前にヒトミとビオラがピリピリしながら、「またマランドロ誰もいないじゃん!」と怒っている姿が、風物詩になりつつある。
なんて思っていたら、さすがに今日はみんな早くきた。
「おはよう。お?」
アキが気付いたみたい。
香水は高校入ってからとママに言われていたけど、今日は気合いを入れる日だから付けさせてもらったのだ。アキからもらったジャドールは気品があって、優雅な気持ちにさせてくれる。
「えへへ、これ、すごく良い香りだね。気に入っちゃった」
ちょうど時間になり扉が開けられた。
気に入って貰えたなら良かったと、アキはサラッと言いながら、マランドロ三人で男性ダンサー用の控室に向かっていった。
大人っぽいなぁ。まあがっつり大人なのだから当たり前だけど。




