結果発表
『浅草サンバカーニバル』のように、長距離に及ぶパレードをきちんと整えるために、演者の他に進行を管理する『アルモニア』と言う役割をもったメンバーがいる。
アルモニアは演者ほどには準備を必要としないため、『ソルエス』の前にパフォーマンスしているチームも観ていた。
先にパフォーマンスを行っているチームは、順位的には昨年は『ソルエス』より下位だったチームだ。
それを観たアルモニアの感想は、「かなり完成度が高かった」だ。
一方、『ソルエス』メンバーのパフォーマンス後の各々の感想は、「もっとああできたはずだった」、「もっとこうすれば良かった」と、自らの演技のミスや改善点についてだ。
ストイックなメンバーの多いうちにはありがちな感想だが、他チームが良く見え、自チームのマイナス点に目が行き、順位を落としてしまうかもとの不安に毎年見舞われるのだ。
溜めて、溜めて、ハルから発表された結果はーーーー。
現状維持だ。
なーんだ、と思う勿れ。
順位を落とすかもしれないと不安を感じていたメンバーにとっては零れ幸いとも言える利運にも恵まれた幸福だ。
発表を聞いて店内は割れんばかりの歓声に包まれた。
わたしも近くにいたみー、にーなとそれぞれが両手をとって、輪のまま跳ねて喜び合った。
歓声が落ち着くのを待って、ハルは話を続けた。
審査結果は順位だけではない。
「テーマの表現」、「躍動感」、「衣装」、「演奏」、「ダンス」、「総合評価」それぞれに点が付き、「マナー点」を加味されて算出された点数で優劣が決まる。
尚、S1リーグは『アレゴリア』と呼ばれる山車一台以上、『カザウ』一組以上、『バイアーナ』が四名以上、『コミサン・ヂ・フレンチ』と呼ばれるパレードの先頭を飾りテーマを紹介する役割のパートの存在、オリジナルの楽曲の使用、百五十名以上の演者が必要などの条件があり、満たしていない場合の減点もある。
ハルは評価の内訳を説明した。
続いて、全演者を労い、サポーターへの感謝を述べた。
そして。
今年はスタッフとしての参加だったが、有力な新人が入った。
来年は三ヶ年の最終年だ。方針を大きく換えるつもりはないが、ローコストと効率化は衣装やテーマ作りに関してである。パフォーマンスの底上げによるチーム全体の強化は、結果に繋がるものと期待できる。
S2リーグで優勝を狙うつもりで次の一年を迎えようではないかと、チームを鼓舞する言葉があった。
来年はわたしにとっては、去年と今年で向上させたものを、受験から解放され練習もイベントも全部出るくらいの勢いで参加し、飛躍を果たすべき年として据えていた。
その年がチームにとっても飛躍の年となるなら、尚良い。
わたしは奮い立つ気持ちを抱えながら、ハルの話を聴いていた。




