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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 ふたりのルイ
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浅草を終えて

『ソルエス』は『サンスターまつり』に照準を絞りながらも、『浅草サンバカーニバル』への参加も手を抜けるわけではなかった。

 ローコストで効率的にと言う方針は、やっつけでやって良いと言うわけではない。


 今年入会組は『サンスターまつり』に特化した練習しか行っておらず、『浅草サンバカーニバル』については流石に準備不足のため、スケジュールが合わない者以外はスタッフとして参加していた。


『浅草サンバカーニバル』は北半球最大規模のサンバパレードとも言われている。

 この規模のパレードで雰囲気を体感できるのはとても良いと思う。


 色々とわたしが抱えている課題は解決してはいない状況ではあるが、みんな同じ方向を向いている者同士、仲間同士ではあるから、ここで得られる高揚感や興奮、感動は共有できる。

『浅草サンバカーニバル』は五百メートルくらいある距離を踊りながら進む。

 炎天下の中、この距離を踊り切るのはかなり辛い。

 だからこそ、ゴール後のやり切った感はなんとも言えない。

 とは言えあまりゴール付近に溜まってはいられなく、カーニバルのスポンサーが用意してくれているドリンクを受け取り、速やかに控室のあるビルまで歩いて帰らなくてはならないのだ。


 パレードは縦に長くなり、終わった者から順次控室に戻るため、チーム全体ではなく、なんとなくアーラごとにまとまって戻る。

 疲れもあり口数は少ないが、それぞれが紡ぐ言葉は先ほどまでのパフォーマンスについてで、一様に興奮に包まれていた。



『浅草サンバカーニバル』は昨年の順位の下位チームからパフォーマンスを順番に行っていく。

 段々とレベルの高いチームが登場するので、着替えや片付けが終わったら、観客に混じって他チームのパフォーマンスを観に行った。

 S1リーグのチームは山車も出るため迫力がある。

 上位チームの山車は派手だし人数も圧倒的で、毎年驚かされる。


 ハルの計画では三部作の三ヶ年はローコストで順位は落とさずに力を溜める時期と据えていたが、今年はカザウが復活し人数も増えた。

 カザウの片方、メストリ・サラのミカを含めた新人は今年の『浅草サンバカーニバル』には間に合わないが、来年に向けてはまだ時間がある。体験できるイベントの数も多い。来年の『浅草サンバカーニバル』には充分仕上がっていることだろう。

 この状況なら、来年は計画は前倒しできるのではと思った。

 やっぱり『浅草サンバカーニバル』でチームの全力を出し切りたいし、S1リーグ入りを目指したいと思った。



 打ち上げはいつも通り盛り上がった。『ソルエス』は、カーニバル会場の近くにある焼き鳥が売りの居酒屋を貸し切って打ち上げを行う。毎年懇意にしているお店だ。

 非常に好意的なお店で、楽器を鳴らすのも踊るのも自由だ。

 演壇とマイク、スピーカーも用意されている。


 コンテストの結果発表は浅草花やしき内の特設会場で行われる。

 各チームプレヂデンチやカザウ、ハイーニャなどの幾人かが式典に参加し、他のメンバーはチームの打ち上げ会場で飲み食い歓談をしながら結果を待つと言うスタンスをとっているチームが多い。


『ソルエス』は結果速報をメールなどでは送らず、式典に参加したメンバーが戻って来てからプレヂデンチのハルが発表をするのが恒例になっていた。

 毎年発表の時間はあまり変わらないので、そろそろじゃないかと打ち上げ会場がざわざわし始めた頃、ハルたちが打ち上げ会場に戻って来た。会場が一斉に沸いた。

 ハルはそのまま演壇に上がり、マイクを持った。


「――みんな、お疲れ様。そして、待たせたな! 今年の結果が出たぞ!」


 みんなの不安と期待が入り混じる。

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