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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 ふたりのルイ
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この街のこと

 アキとの会話のラリーが続いていた。


「次のエンサイオ来るなら持って来るよ」


『サンスターまつり』まであと僅かだ。

 テストなどに重ならない限りはエンサイオには出るつもりだった。


「ありがとう! 楽しみ!」


 友達以外で、ましてあまり話したことのない、しかも大人の男性と、こんなに普通に話せるなんて。

 意外とわたしのコミュニケーション能力も悪くないんじゃ?

 それともやっぱりさりげないアキが長けているから?

 そもそもコミュニケーションに長けてるも何もないのかもしれない。これが、実里の言っていた「気負わないこと」、なのかも。

 少し自信を得て、その自信に勇気をもらい、より突っ込んだことを聞いてみた。


「アキ仕事辞めるの?」


「なんだ、もうみんな知ってるんだな。まあ隠してないから良いのだけど。

俺が駅周辺の開発に関わってたってのは知ってるだろ? ようやく形が見えてきたから、やるべきことはもう終えたかなと思ってね」


 よくわからなかった。

「会社ってひとつの仕事が終わったら次の仕事があるんじゃないの? 辞める必要なくない?」


 わたしは不思議そうな顔をしていたのだろうか。アキは少し困ったような顔をして、話を続けた。


「ルイはジアンと仲良かったな。

彼女から聞いてるかもしれないが、この商店街が最近元気がなかったのは、ルイが生まれる前に持ち上がった新駅開発をきっかけにしてなんだ」


 それは知っていた。

 その頃にこちらの駅の南側の『サンロード商店街』と北側の『スターロード商店街』が、お客さんを取り合いするような競い合いはやめて、一緒に協力するようになった。

 その時にできたのが『サンスターまつり』だ。

 日中は『サンロード商店街』が仕切る『おひさまカーニバル』、夜は『スターロード商店街』が仕切る『おほしさまフェスティバル』の二部構成で、そのお祭りを盛り上げるために創設されたのが太陽と星という意味を持つサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』だ。

 お祭りとチームは南北の商店街の代表者七名の有志によって立ち上げられた。わたしのおじいちゃんもそのひとりだ。



 七人は商店街復興に向けた施策や活動を手掛け、いくつもの伝説を創ったそうだが、おじいちゃんはあまり話したがらない。

 同じく七人のひとりであるジアンのお父さんのジャックにも聞いてみたことがあるが、矢張り教えてはくれなかった。

 どうも、言えないわけではないが、当事者から成果を話すのが単純に恥ずかしいのだと言う。変に英雄視されてしまっているのもより話し難さに拍車をかけていたようだ。


 しかし、商店街は一時息を吹き返したものの、数年後、新駅の開発が進み、周辺の開発の計画がより具体的になるに従って、商店街はまた少しずつ衰退の道を辿っていた。市の政策自体が新駅周辺に露骨に注力し始めていたのも影響した。



「その、都市開発側で俺は動いていた。ウリは市政と連携したコンサルタントとしてマーケティング……まあ企画とか、広告とかに関わっていた。

簡単に言えば、この商店街とは対立する側だったんだ」


 でも、結果としては都市開発と商店街は連携をしていくことになる。

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