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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 ふたりのルイ
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アキとの会話

 壁際に並べられているパイプ椅子に座りドリンクを飲む。

 席を一つ空けた隣にはアキが休憩していた。ミカやウリは割と子どもたちにも声をかけていたが、アキから声をかけることはあまりないように感じた。雰囲気も、いつもにこやかで優しそうなウリや、面倒見が良さそうなミカと比べると、少しクールな感じがする。

 だから、この人はわたしと同じタイプ、わたし側の人なのだと思っていたのだが、先日のイベントの打ち上げの時に、えなとゆかりにせがまれて追いかけっこをしたり、普段無口なわゆやみーを相手に爆笑を取ったりしていた。

 なにより、コミュニケーションの取り方が、大人が子どもを相手にする時のような、言葉遣いや声のトーン、目線を変えるといった気遣いを一切せず、大人同士のようにフラットな対応をしている様子を見て、この人、クールの皮を被ってるだけで本質はるいぷる側だと認定していた。

 しかし能動的ではないため、このまま普通に座っていてもよほどの気まぐれがなければ恐らくアキの方から話しかけてはこないだろう。

 席ひとつ分の空間を超えて、微かな良い香りが届いた。


「アキはなんか香水つけてる?」

 なんでも良いから話しかけようとは思ったが、あまりにも脈絡が無さすぎる。でも、雑談ってこんな感じなのかも。


「あぁ、ディオールのソバージュってやつ。仕事の時はつけないんだけどね」


 アキが仕事を辞めるのだか辞めたのだかって話は人伝に聞いていた。少なくとも今日は仕事ではなかったのだろう。


「へー、良い香り」


「ルイはなんかつけたりしてる?」


「ううん、学校は禁止だし、ママからもまだ早いって言われてる。でも高校に入ったらつけようかなって思ってるんだ」


 これはその通りだった。

 話題のための話題みたいだが、興味はあったし、詳しいなら教えてもらいたいと思った。


「ハルはブルガリつけてたよな」


「あ、ブルガリなんだ? ハルの香水も良い香りだよね。ハルから訊いたの? 香りでどこのかわかるの?」


「有名なやつならなんとなくわかるよ」


 香りでブランドがわかるなら、男性にしては詳しい方ではないだろうか。


「詳しいんだね。わたしだったらどんなのが合うかなぁ?」

 純粋に訊きたかった。


「自分が好きな香りで良いんじゃない? 誰に何が似合うかなんてわからないけど、自分が好きな香りに包まれてれば気持ちは揚がるだろ。

それをずっと使っていれば、そのうちそれがルイの香りって周りが思うようになるよ」


 なるほど。でも、好きな香りって言ってもな。


「甘い香りが好きなんだけどどんなのがあるかなぁ?」


「女性ものには詳しくないけど、ディオールのジャドールは好きだな。甘くて柔らかい香りだと思う」


 ディオールか。覚えておこう。

 でも高そうだな。お小遣いじゃ買えないだろうけど、バイトするようになったら貯めてみようかな。


「中古で良ければあげるよ。半分くらいは残ってる」


「え⁉︎ ほんと⁉︎ 欲しい!」


 別に中古は気にならない。衣装だって中古だし。

 半分残った女性ものの香水をなんでアキが持っているのかは気になるが。きっと大人のエピソードがあるな。

 今のわたしのレベルではうまく聞き出せないだろうけど、いつか聞き出してやろう。

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