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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 ふたりのルイ
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更なる新メンバー

 日々は足音も立てずに過ぎてゆく。


『サンスターまつり』の開催日が迫りつつあった。

 自ずと『浅草サンバカーニバル』も間近に迫っていたのだが、衣装は昨年のものを転用するだけなので、多少の補修とカスタマイズでどうにかなり気が楽だった。

 曲と振付は新調のものだが、そこまで難易度は高くはない。人数は少ないけど、粒揃いの『ソルエス』なら、問題なくこなせるだろう。こなすと言う点に思うことがないわけではないが、先日の一件以来未だにみことやひいとギクシャクしているわたしに言えることもできることもない。

『ソルエス』としては、『浅草サンバカーニバル』の負担が少ない分、今年は『サンスターまつり』に力を注ぐ方針だ。



 そんな最中、『ソルエス』にまた動きがあった。


 ミカのお兄さんとその幼馴染が入会するというのだ。ふたりともミカと同じくこの街の出身だ。


 ミカのお兄さんは高天暁(たかまあきら)、サンバネームはアキ。

 シュッとしてるがなんとなく鋭い印象を持っていた。

 お兄さんの幼馴染は北光羽龍(きたみつうりゅう)、サンバネームはウリ。

 こちらは笑顔が柔和で優しそう。

 実際の性格はわからないけど、見た目の雰囲気は真逆とまでは言わなくても、対照的な印象を与えていた。

 ふたりは子供の頃からの親友で、いまだに仕事でも組んでいるというのだから、きっと相性が良いのだろう。


 ふたりともダンサーで入会するそうだ。

 これまでハルしかいなかった『マランドロ』が三人体制になる。構成に厚みが増すので、良い増員だった。



 マランドロとは、サンバダンサーの一種で、パナマハットを被り白いスーツに赤いネクタイの伊達男といった風体のダンサーだ。

 粋で時に軽妙で、思いっきりダンディーでセクシーで、且つ女性をエスコートする紳士でもある。要は格好つけた男性だ。

 そのスタイルを踏襲して、女性が踊ることもある。宝塚歌劇団の男役みたいでそれも素敵である。


 ふたりとも見た目もスタイルも良い方だと思うので、マランドロはよく似合うと思った。



 ふたりはこの街に新しくできる新駅の周辺の開発に関わっていたそうだ。

 以前はその開発のせいで商店街が衰退しているとも言われていて、新しい駅ができるのは便利だけど、おじいちゃんのお店のことを考えると複雑な思いを持っていた。

 ふたりは新駅周辺の商業施設と商店街の連携を取れるように動いているとのことだった。そうなればすごく良いなと思った。



 潰し合うような関係性になる未来もあった。実際、当初はふたりの計画はジアンたちが立てていた計画とぶつかりそうだったらしい。その後、お互いの計画を組み合わせて、新駅周りの発展と旧駅エリアの商店街が手を組み、街全体がより活気付くやり方に行き着いたのだそうだ。


 色々な立場、考えを持つ人々と個人の論理では動かない組織。それをまとめるなんて途方もないなと思ってしまうけど、実際は手を取り合える可能性が現実的になっている。

 わかってはいたけど、わたしの悩みはやっぱり小さいなと思った。

 素敵なふたりだけど、このふたりも既にるいぷると仲良しなんだろうななどと、小さなことを考えているくらいなのだから。



 今年入った新人たちは全員『サンスターまつり』に演者として出る予定だ。

『ソルエス』全体で見ても、自主練の数やその参加率が例年には無い値で、今年の『サンスターまつり』に掛けるチームの方針が、メンバーにも浸透しているのが窺えて、充実の体制で臨めそうだと期待ができた。



 わたしはひとり、練習場の端の方で二曲連続で高速ノペを踏み続けてみた。

 疲れたが余力はあった。ストイックな練習はわたしに体力の向上を実感させてくれた。

 黙々と、ただひたすらに、ノペを踏み続けているわたしに、しかし人間的な成長は、多分訪れてはいない。

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