剣呑な雰囲気
ショーの構成が決まってきた。
練習場には、まだ(仮)とついてはいるものの、プログラムやメンバー表が張り出されていた。
今年も十五歳以下の六人は同じ曲で踊る。
今回は曲数が増え、二曲通しだ。
最初の曲は六人のソロメドレー。わゆがトップバッター、ゆう、みーとつづき、年長組はみことからひいに繋ぎ、トリにわたし。
通しで二曲目に入り、六人全員で振り付けを踊る。
わたしはソロから連続になるので、ペース配分も考える必要がある。ペース配分といっても、メリハリや動静を意識するのは良いけど、抜くような時間はあまり作りたくないので、途中で体力が尽きたり出力が落ちたりしないように、体力づくりも必須だ。
まして、今回は振り付けの方が後に来る。決められた振り付けだから疲れた時にポーズで誤魔化せない。
六人の群舞は一糸乱れぬから美しい。ズレたら台無しだし、ひとつひとつの動きが甘くなっていたら悪目立ちしてしまう。
連携力を鍛えるためにも、六人での練習も重要だ。
みこととひいも受験生だから、塾の都合もあり、必ず練習に出られるわけではない。
だから六人が揃っているのは貴重な合わせ練習の機会なのである。
にも関わらず……。
わたしは練習場の一角を見た。
るいぷるがえな、ゆかりと遊んであげている。一緒になって遊んじゃってると言う方が正しいかもしれない。それはまあ良い。
子ども好きのゆうとみことも一緒になって遊びはじめ、ひいも行こうとしていた。
ゆうだって来年は中学生だ。いつまでも子ども気分じゃ困る。まして年長組のみこととひいは律する側の立場でないといけないのに、一緒になってちゃダメじゃない。
「練習しようよ!」
怒鳴ってはいない。少し声は大きかったと思う。
えなとゆかりが驚いたような顔をしていた。自分達が怒られたと思ったのだろうか。
「るいぴーごめん! みんなも巻き込んじゃってごめんね!
えな、ゆかり、ふたりが怒られたんじゃないからね? わたしが騒いでたからダメだったの! びっくりしたね? ごめんね。
あ、そだ、ふたりの得意技また見せてよ? わたしそれ覚える!」
えなとゆかりは、「えー?」とか「るいぷるには無理だよー」などと言いながら、笑顔が戻っていた。
「何言ってんの、わたし天才だよ」
るいぷるたちは空いてるスペースへと移動して行った。
いつわたしはるいぴーになったのだ。いや、それよりも、残されたわたしたちのこの空気、決して良くはなかった。
「ごめん、ちょっと休憩してただけなんだけど」
言葉では謝っているが納得いかない表情のみこと。
「子どもにあたるのは違くない?」
ひいは露骨に不満げだ。
なにそれ? 子どもに当たったわけじゃない。そんな言い方もしてなかったじゃない。
ゆうはすっかり黙ってしまっている。意気消沈したゆうを、みことが励ましてる。
「気にしないで練習しよ?」
なにそれ? なんなのそれ。
わたしが悪いの? 貴重な機会なのに、都合が合わせ難いひいとみことのためでもあるのに。
なんでこんな風になっちゃうんだろう。
貴重な六人での練習は、誰も一言も無駄口は叩かず、淡々と粛々と行われた。とてもストイックに。
だけど、とても良い練習だったとは思えなかった。連携だのチームワークだの、下手したら去年以下になるだろう。
そう言う雰囲気にしたのはわたしだ。これはわたしのせいなのだ。
じゃあどうすれば良かったのか。
決してわたしが悪かったとは思えない。だけどこうなってしまった、そのきっかけにわたしがなったのは事実だった。




