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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 ふたりのルイ
28/101

残念なルイ

「ぎゃはははは!」


 ほら、また!

 るいぷるのバカ笑いが響く。

 あれが大人の笑い方? 子どもみたいじゃない。


 るいぷるはジアンとミカに何か絡みに行き、楽しそうに笑っていた。

 カザウはパシスタとは練習する内容が違う。

 練習でもバンデイラを使うので場所も取る。自ずとパシスタとは少し距離をとっての練習となる。

 だからジアンがポルタになって、距離が離れた分だけ遠い存在になってしまったようで寂しかった。実際は同じ場所で練習をしているのだから大した距離ではないのだが、なんとなく話しかけたりしたら邪魔をしてしまいそうでカザウのスペースには入らないようになっていた。


 なのに! るいぷるときたらずかずか入って行ってげらげら笑っている。

 デリカシーというものをどこかに捨ててきたのか。大人なのに。

 ジアンも楽しそうに笑っているのが、なんだかとても悔しかった。


 るいぷるはゴールデンオレンジだ。

 自分本位な切り込み隊長。ナンバーワンを求める誇り高い人でもある。油断はできない。

 実際、彼女は色々なダンスや音楽の経験者だったらしく、飲み込みは早くセンスも良い。

 その素地に加えて、四天王をはじめ、先輩ダンサーに貪欲に教えを乞い、素直に実践する謙虚さもある。年下どころか、大人から見ればまだまだ子どもに思えるわたしにだって学びに来るくらいだ。

 わたしはチーム全体の底上げは去年も必要だと思っていた。だからもちろん問われれば真摯に伝えられることは全て伝える。相手が誰であろうと。


 るいぷるもノリは変わらないが、学んだ内容は一生懸命取り組み、身につけようとしている。教えられたことへの感謝も過剰なほどに伝えてくれる。


 ……悪い人じゃ、ないんだろうな。


 るいぷるのゴールデンオレンジはジアンのシアンブルーとは対称的な色だ。

 どれだけ妹分を自認しようが、ぶつかり合ってしまう悲しい宿命だ。

 近似色のわたしとジアンの絆に割って入れるわけもない。

 勝者の余裕を持って当たっても良いかもしれないと思いはじめていた。


 るいぷるには余裕を持ってあたろうとは思っていても、ことあるごとにジアンにまとわりつき、ジアンもまんざらではない様子を見せつけられるにつけ、こう、沸々と感じるものはある。

 だから、つい素っ気ない対応をしてしまうことがあった。


 そんな時、るいぷるは傍目には気にしていないように見える。いつも通りの彼女だ。けど、心の中は?

 わたしはひいやみことの対応が素っ気ないなと思った時、どう感じていた?


 左胸の奥が少し疼いた。


 けど、だから、急に愛想良くなんてできるとは思えなかった。

 わたしの感情の根っこにあるのはくだらない嫉妬だ。つまらない独占欲だ。そんなのは重々わかっている。

 でも、思ってしまうのも掛け値のないわたしの本音だ。それを偽るのはやめよう、無理するのはやめようとして、ようやく少し、なんらかの方向性が見えてきていたところだ。


 結局わたしは、るいぷるに対しては礼儀よくしよう、なるべく素っ気なくならないようにしようと言った、関係を深める積極策ではなく、せめて相手に不快感を与えないようにする消極策を取ることにした。



 ……わたしは、本当は去年から少しも成長できていないのではないだろうか。

 また自己嫌悪の階段を降りはじめそうな予感を振り払うべく、わたしは無心にノペを踏んだ。

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