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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十五歳 ふたりのルイ
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重要な年のはじまり

 まだ肌寒いけど、景色は日に日に色づき日に日に移ろっていく。もう冬とは言えない季節だ。


 春のイベントに向け、わたしは衣装のチェックや手入れをしている。

 自分でも多少の調整やメンテナンスはできるようになったていた。


 実里に最後に調整してもらったのはディズニーのお土産を持って行った時だから、年が明けて少し経った頃だ。

 数ヶ月の経過は衣装のサイズにそれほど影響を与えてはいなかったが、細かく見ればところどころ、調整する必要のある部分があった。目立つ変化はなくとも、確実に変わっているのだと思った。



 今年は受験がある。

 比較的確度の高い進学先を選んでいるが、計画には外語大に行き留学するという項目がある。

 その為に高校は国際学科のある志望校なのだから、替えはない。滑り止めでも良いから受かればOKというわけではないのだ。

 従って、学業にそれなりに注力する必要があった。かと言って完全にサンバから離れるわけにもいかない。イベントを絞り、絞ったからこそ出たイベントでは最高の結果を出す。


 実里の衣装によって引き出された自分の最大値を、観客に、メンバーに、サンバ関係者に印象付けるのだ。強く。

 その印象にて、減った出演回数を補いつつ、高校生になって一層大人っぽくなり、受験からも解放された十六歳の年に業界を席巻するのだ。

 正に人生を左右する重要な年である。



 そんなわたしにとって重要な年は、『ソルエス』にとっても重要な年となるのだった。



 あるエンサイオの日、ジアンが数人の体験希望者を連れてきていた。正確には、ひとりは入会が確定していた。

 ジアンの職場の後輩の男女がひとりずつ。男性は百合藍司(ひゃくああいじ)と名乗った。

 関西弁だけど、捲し立てるような押し出しの強さは感じなかった。

 女性の方は渡会類(わたらいるい)

 わたしと同じ音の名前を持つその人は、こともあろうにジアンの妹分だなどと言い放った。


 聞き捨てならない。

 確かに年齢差で言えばわたしよりも彼女の方が姉妹に近いかもしれない。

 が、歴が違う! ルーツが違う! 背景が違う!

 ポッと出がジアンの妹を名乗るなど片腹痛いにも程があるっ!

 あの女にはいつかわからせてやる必要がある。


 しかしその日のショックはそれだけでは終わらせてはくれなかった。

 ハルがメストリ候補として紹介したその男性は、ジアンの彼氏だった。


 いや、彼氏がいることなんて知っていたし、そもそもジアンは魅力的だからいない方がおかしいし、年齢的には結婚の話だっていつかはされるのだろうなと覚悟もしていた。

 ただ、実際に目の前に当人が現れ、ペアでダンスをすると言う話になると、なんて言うか、生々しい? と言うか、恥ずかしい、と言うか、よくわからない気持ちになった。

 実際、姉が恋人を連れてきたら、妹はどう言う気持ちになるのだろう? こんどひいに訊いてみよう。


 ジアンの彼氏のメストリ候補は、高天美嘉(たかまよしひろ)と言った。ここは元々地元だと言っていた。

 名前を音読みにしたミカと言うサンバネームで入会するそうだ。見た目はまあまあだけど、ジアンの恋人になるには少し頼りない感じ。

 本当にメストリできるのかな? まあ、カザウが揃えばジアンが本格的に復帰できる。その点に関してはミカに感謝しても良いかなと思った。


 そう、カザウが揃った。『ソルエス』の象徴である太陽と月を表した図案のバンデイラを、久方ぶりに掲げることができるのだ。

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