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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十四歳 コミュニケーション迷子
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オフシーズン


『サンスターまつり』を終えると、散発的にイベントのオーダーが入ることはあるが、基本的にはオフシーズンに入る。


『浅草サンバカーニバル』がサンバチームにとっての年末との考え方があり、ハイーニャは任期を終え、次のハイーニャを決めるコンテストを開催するのも通常はこのオフシーズンだ。

 だが『浅草サンバカーニバル』に関しては『ソルエス』は目先三年間は力を溜める時期との位置付けで考えていて、今年と来年と再来年の三部作という体裁を取ることにしていた。



『浅草サンバカーニバル』では、毎年必ず新しいテーマを決めなくてはならない。

 これを『エンヘード』という。楽曲もテーマに合わせて作詞作曲をする。毎年のテーマ曲を、『サンバ・ヂ・エンヘード』という。


 パレードの形式ではあるが、特に『ヂスフィーレ』と呼ばれる、パレード全体でテーマとストーリーを表現し、演じるのが特徴である。『路上のオペラ』と呼ばれる所以だ。

 サンバ・ヂ・エンヘードに合わせ、エンヘードを構成するいくつかの場面を、ダンサーが仮装をし、振り付けなどで表現をする集団であるいくつかの『アーラ』がその物語やメッセージを観客に伝えるのだ。

 アーラごとにつくる衣装は『ファンタジア』と言い、ヂスフィーレを表現する重要な役割を担っている。


 材料や元となる衣装を仕入れるのに結構なお金もかかるが、かなりの部分を手作りで製作するので、掛かる労力も大きい。

 それを演者が、日常生活や練習の合間に行うのだ。


 アーラごとサンバ・ヂ・エンヘードに合わせた振り付けもつくる。その振り付けもまた、ヂスフィーレを表現する要素となる。


 テーマも曲も毎年新しいものを作るので当然だが、作った振り付けは毎年新しく、覚えたうえで完成度を高めるべく踊り込む必要がある。


 これを毎年実施するのはかなりの労力が必要だった。


 そこで『ソルエス』がとった策は、三部作という壮大なテーマを掲げつつ、衣装など共有できるところは使いまわすと言うコスト削減の施策だ。


 その施策に伴い、ハイーニャもビオラが再来年まで続けることになっていた。

 だからしばらくハイーニャコンテストは行われない。


 チームの象徴の一つとなり得、バテリアを鼓舞し導く女王としての役割を担い、パシスタの中でもトップクラスの実力を有していると外部からも目される。

 それを三年も続けることが確定してしまったのだ。

 ビオラにとっての重責は計り知れない。

 それもコンテスト無しでなのだから、尚のこと普段のイベントに於けるパフォーマンスで誰にも文句を言わせない実力を見せつけるのはもちろん、それ以外の時間の立ち居振る舞いなども隙は見せられないことだろう。

 それでもビオラは、毅然と、ある意味淡々と、その責務を全うしていた。


 そんなビオラの、目に見えない負荷にも負けない靭さのおかげで、『ソルエス』はハイーニャコンテストを含めた、ハイーニャを選抜する儀式から二年間開放されるのと同時に、即次の『浅草サンバカーニバル』に向けた準備に入る体制を組むことができているのだ。


 ハイーニャを目指すわたしにとって、見習うべき靭さだ。

 わたしにはきっと固い強さは少しあると思うが、しなやかな弾力性はたりないような気がしていた。

 やはりハイーニャを務めるには、技術だけでなく精神面も並大抵ではなれないのだと思った。


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