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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十四歳 コミュニケーション迷子
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ともだち

「なんでわたしたち友達なの?」


 ノールック、ノーモーションで放ったパスのような問い掛けを、亜里沙は受け止められなかったようだ。

 不思議そうな、いや、なんなら怪訝な顔をしている。


 言い方が悪かった。


「そもそもわたしたちって友達なの?」


 わかる。もっと間違えている。亜里沙の怪訝の度合いが増した。



 間違えていることはわかるのだが、何が正解なのかわからない。

 というより、何をどう言っても間違えているような気がする。その上で、最も間違えた選択肢を狙ったかのように選び続けている気がした。


 ギャンブルで負ける人ってこういう感覚なのかな。絶対にやるの止めよう。



 それにしても、いよいよ友達との会話すらままならなくなってしまった。いつも自然に会話していたのに、今は何を言っても間違えてしまう気がするし、実際に放った言葉は、やっぱり間違いだらけな気がする。

 どうしよう。もう泣きそうだ。



「ほんとに、どうしたの?」



 怪訝な表情がいつの間にか心配そうな顔に代わっていた。



 やめて、今優しくしないで。このままでは泣いてしまう。


 泣いて心配されたり注目を集めたりするなど、格好悪いと思っていた。

 これまでのちやほや人生は、しかし涙は使わずに勝ち取ってきたものである。



 かろうじて泣くのには耐えている。

 でも、明らかに泣くのを堪えている顔などもはや泣いているに等しかった。



「大丈夫? 悩みでもあるの? なんかあった? 彼氏とか?」



 彼氏なんていないと何度も言っているのに。


 なんでも恋愛ごとに結びつけるのはどうかと思うが、それでもわたしなんかよりは数段は察しが良い。いや、泣きそうな顔してたらおかしいと思うのは当然か?

 それでも、表情から心中を察し、枝葉の部分は当たっていなかったとしても根っこの部分は的を得た問いかけができているのだから、十問中十問不正解になってしまうようなわたしに比べれば、やっぱり圧倒的に察しが良い。


 しかし、彼氏か。

 友達とでさえもはやこんな体たらくなわたしに、彼氏ができることなどあるのだろうか。できたとして、長続きするのかな。なんだか本当に落ち込んできた。



 ハイーニャの要件は技術だけではない。

 人格にも優れていてこそ、女王を名乗るのに相応しい。

 コミュニケーションも取れず、友だちも作れず、友だちとの会話もままならず、言葉のチョイスは全て間違える。そんな今のわたしにハイーニャたる人格が備わっているとは思えなかった。


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