謝肉園の誓い
「そ、そ、それは良いんじゃない? でも、『ソルエス』はそんな簡単じゃないよ?」
四天王は尚現役だろうし、下の世代も育ってきてる。
今の二十代、三十代は最も脂の乗っている時期だろう。
瑠衣はひとりひとりの名前を挙げ、それぞれの凄さを自分のことのように自慢げに話した。
「今の十代だって凄いんだから! ほづみとひいの姉妹見たでしょ? みこともあっという間にどんどん上手くなってる!」
「さすが、みんなをよく見てるね。で、ルイは?」
「っ‼︎ わ、わたしはもちろんその頃にはハイーニャ候補筆頭になってるよっ!」
瑠衣は、みんなすごいけど、それを更に凌駕した上で、誰もが認めるハイーニャになるのだと息巻いている。
じゃあライバルだね、と三葉が笑った。
「ちょっと! わたし抜きでなにフラグ立ててくれちゃってるの⁉︎」
わたしもそれ、参加する! と、類が割って入ってきた。
「そんな甘くないよ?」
「まだ入ったばかりじゃん」
口々に言う三葉と瑠衣の言葉は、類に火をつけたようだ。
「あーあ、ふたりとも、やっちゃったね。
スイッチ入れちゃったね、これ。
とんでもないサンバモンスター誕生の瞬間だわ。
やがて語られ、映画にもなる伝説の瞬間だわ!
わたしの前代未聞のセンスと驚天動地のパッション、思い知るが良いわ!」
類はいつだってこのような感じではあるが、瑠衣は、そして三葉も、類を決して侮れないと思っていた。
「よし、じゃあ来るべきその日のために、切磋琢磨して高めあいましょうか」
三葉がスポーツマンのようなことを言い、類は「おー!」と叫んでいる。
瑠衣は周囲の客の様子を気にしていた。
「なんか、『桃園の誓い』みたいだね」
「でたー! るいぴの故事ギャグ! えぐいFJKもいたもんですわ」
「ギャグじゃない! KFCみたいに言わないでっ」
「瑠衣って地頭鶏とか、ケンタッキーとか、鶏系好きよね」
「おや、るいぴ、中国だけじゃなくて、アメリカもいける口かい」
三葉が瑠衣の独特なつっこみをいじり、類はまたダンディな雰囲気を出して瑠衣の顎をくぃっとしている。
「るいぷるだってザギンのシースーおじさんみたいな言い方じゃん!」
類の手を払って独特なつっこみを入れる瑠衣。
「それはもうわざとだよねー。なに、照れ隠し? かわいーねー」
「あ”―っ‼︎」
あ、キレたと言っている類と、もうやめてあげなよと言っている三葉の言葉は、もう瑠衣には届いていなかった。
バイト中には決して見せない姿を、バイト仲間や店長に見られ、この後散々いじり倒される瑠衣だった。




