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千紫万紅のパシスタ 累なる色編  作者: さくらのはなびら
十四歳 コミュニケーション迷子
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顕になる課題

 わたしは十五歳以下のメンバーの中でトップであるという自負がある。一方、自分より歴の浅い者、練習頻度の低い者、年若い者が同じ域に迫っていることに焦りも感じている。

 しかしそこに負の感情は無い。

 チームの底上げのためには全演者の能力、実力の向上が不可欠だ。

 だから、同世代や年下のダンサーがわたしに肉薄するのは大歓迎である。

 ハイーニャを目指すなら、成長著しいダンサー達を、更に凌駕していなくてはならない。


 なかなかの修羅の道だが、トップを取る気概とはそう言うものなのだろう。



 さて、それはそれとしてひとつ別の問題がある。

 わたしは同世代のふたりとも、三人のクリアンサスとも、特に仲が良いわけではない。

 険悪と言うほどではないが、必要な会話を交わす程度。なんなら挨拶は交わさないこともあるくらいだ。なぜならしなくて困ると言うことはないから。


 昔はアイドルグループなんて、テレビの画面上は仲良くしていても、実際はあくまでも仕事上の付き合いに過ぎないなんて話もあったと聞く。

 でも最近は、企画のひとつかもしれないけど、寝食を共にしたり、みんなで試練を乗り越えたりと、チームとして結束してより良い作品を送り出しているらしい。

 真偽はわからない。作られたエピソードかもしれない。

 それでも、チームとして取り組むパフォーマンスの精度を上げるなら、連携はあった方が良い。信頼関係が築けている方が良い。当たり前だと思う。


 では、この状況どうする?


 年長組でサンバ歴も長いわたしがすべき? ……なんだろうな。


 みんなに話しかけて円陣でも組む?

 そもそもの人間関係の構築が先?

 雑談でもしたら良い?



 今、わたしたちはパレードを終え、ショーのために用意されたスペースの舞台袖にあたる部分に控えている。


 スペースではヒトミ、ジル、ママがそれぞれ優雅に舞った後の、サビの部分で三人が見事な高速ノペを披露し、観客は大いに盛り上がっている。

 ハイーニャを除いた『ソルエス』のトップパシスタの三人だ。

 わたしたちはこの盛り上がりを引き継ぎ、更に加熱させなくてはならない。

 ならば、今からでもできることはすべきだろう。


 そもそも険悪なわけではないのだ。雑談のひとつくらい、振るなんて造作もないこと。

 実際、控えているみんなが終始無言でいるわけではない。

 すでに出番も間近ではあるが、みこととひいがステージ上の三人のノペに感嘆しながらも、『ソルエス』のトップダンサー三人の、三者三様の細かい特徴について話していた。

 わゆ、みー、ゆうの三人は、カベッサが額に食い込んだ痛いとか、こうずらしたら痛み消えるよ、とか話している。


 ん? あれ? 雑談してないのわたしだけ?

 ま、まあ、たまたまそう言う状況になることもあるだろう。


 サビが終わる。三人の高速ノペも終わり、演目も終わりに近づきつつあった。


 さすがに今から雑談を振るのは無理がある。空気の読めなさに怪訝な顔をされるに決まってる。

 今からどうこうできる即効性のある取り組みはなさそうだ。

 今日は各々全力を出すとして、今後のことは終わったら考えよう。


 さあ、出番だ。せめて掛け声くらいは掛ける?


 それくらいならできる。できるよ。できるはず。できると思うんだけど......



 ――掛けれないっ!


 あぁっ、はじまるぅ!

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