逆恨み
ピンポーン!
呼び鈴の鳴る音がした。
ピンポーン! ピンポーン! ピンポーン!
俺は何度も鳴らされる呼び鈴の音を聞かないように、頭から布団を被る。
かなり以前に呼び鈴自体を撤去しているのに、何で? 呼び鈴が鳴り響く音が聞こえて来るんだよー。
昔、家の呼び鈴は門の脇に設置してあった。
郵便だろうが宅配だろうが他人に家の敷地に入って来て欲しく無いのと、防犯の為にだ。
そのせいで家の前を通って学校に行くガキ、高校生だったが、そいつが登下校する際ピンポンダッシュを繰り返し行うようになる。
そのガキが通っている高校や親に苦情を言ったが効果が無かった為、仕方なく電源を切った。
それから半年程経ったある日。
前日の夜から寒波が到来し家がある地方全体が猛吹雪になってた早朝、新聞を取りに門の脇、呼び鈴の下にある新聞受けに手を伸ばした俺の目に、呼び鈴のボタンを押した格好で凍り付いている人の姿が映る。
警察の調べでは、凍り付いて凍死していた奴は猛吹雪なのにドライブに出かけ、家の近くの橋の上でスリップして川に転落する事故を起こす。
助けを求めて家の呼び鈴を鳴らそうとしているうちに、水に濡れた身体が凍り付き凍死したとの事だった。
凍り付いて凍死した奴、家の呼び鈴を鳴らしては逃げるピンポンダッシュをしていた高校生のガキだったらしいのだが。
このクソガキ、自分の行いのせいで呼び鈴の電源を切られていたのに逆恨みしやがって、毎年凍死した日の夜、呼び鈴を鳴らしに家の前に来やがるんだ。