朝食と来客
翌朝。朝日の光で目が覚めたキャラメルは、いつもと同じように大きな伸びをして体をほぐすと、窓辺に行って窓を開放する。
爽やかな朝日が降り注ぐ、いつもと変わらぬ朝。
「何よ。おじいちゃんったら、大袈裟なんだから。何も起きないじゃない」
フッと安心して笑ってから隣の部屋に行くと、祖父の姿が見えない。
下の食卓へと降りるが、そこにも居なかった。
どうやら早朝から用事で出かけたらしい。
「朝から何の用か知らないけど、忙しい人。でも、その分私はゆっくりと食べることができるわね」
にっこりと笑ってから杖を振るって山型の食パンを生成して、それを焼き上げてからマーマレードをたっぷりと塗りたくる。朝は活動するので甘いものでエネルギーをチャージしたいというのが彼女の持論だった。
「ん~!美味しいっ!」
爽やかな酸味と甘みが口の中で交響曲を奏で、キャラメルの喉や胃を満たしていく。
美味しく焼けたトーストを半分まで食べたところで、玄関の扉のベルがガラガラと音が鳴る。
こんな早くに来客かしらと少し不満を出しながら応対しようと玄関に行って扉を開けると、ひとりの男が立っていた。
頭にターバンを巻き、黒い髭を生やしたスーツ姿の異様な男だ。
「あなたは一体……?」
キャラメルが尋ねると男は赤く目を光らせ、口を開けた。
その喉からキャラメルへ発射されたのは灼熱の炎だった。




