新技開発、やってみた!
どうにかおじいちゃんをごまかしてから、私は枕にポフッともたれかかった。
やっぱり活字の多い本は苦手。
読書は退屈。
こうなったら本に頼らずに自力で強くなるしかない!
思い立ったら即行動が大切っていうもんね。
まあ、すぐに行動して後悔することもあるかもしれないけど、ウジウジ悩んでいたら時間の無駄だろうし。
というわけで、さっそく新技の開発に取り組んでみよう!
庭に出た私は深呼吸をして、神経を落ち着かせていく。
集中、集中……
余計なことは考えない。
早く練習を終わらせておいしいキャラメルが食べたい。
わかる。でも後回し。今は新技の開発が先。
練習なんか面倒臭いから部屋でゴロゴロしていたい。
わかる。
今はそれも後回し。
頭に浮かんでくる雑念と格闘しながら、集中力をピークに持っていく。
目を閉じて内なる自分と向き合う。何もない真っ暗な世界。
目をつむっているから当然だけど、宇宙空間みたい。
さあ、魔力を開放しよう。
目を思い切り見開いて、魔法の杖を向ける。
相手はおじいちゃん――の形をした等身大の手作り人形。
やっぱり相手がいないと張り合いがないもの。
「ポップコーンクラーッシュ!」
おじいちゃん人形の両端に巨大なポップコーンを展開。
そのまま一気に押しつぶす。
巨大なポップコーンにむにゅっとつぶされたおじいちゃん人形。
技を解くとあちこちから綿が飛び散っていた。
うん。初めてにしてはなかなかの威力かも。
「問題は実戦で通用するかどうかだね」
そうそう。
っておじいちゃん!?
また私の隣に。
いつの間にいたの?
「わしの気配に気づかないようでは、トーナメントでも心配だねえ」
おじいちゃんは私の手作り人形の無残な姿を一瞥した。
やだ、もしかして私に変な趣味があると思ってる?勘違いしないでよね。
これは単なる練習なんだから。
おじいちゃんは指を鳴らして人形をあっという間に修復すると、どこかへ人形を転送した。
たぶん、私の部屋だろう。
それから私と間合いを取って言った。
「今度は人形ではなくわしが直接相手になるから、かかっておいで」
「いいの。さっきの技、ちょっぴり自信作なの。後悔しないでよね!」