眼鏡女子になった理由
――と思ったけど、やっぱりお勉強って難しいよぉ。
おじいちゃんの魔法の本は何を書いているのかさっぱりわからなくて意味不明だし。
眼鏡?
あー、眼鏡ね。
よく魔法小学校に通っているときに言われたなあ。
お前は勉強しすぎて眼鏡をかけているのか?
って。
それとも、本の読みすぎなんだろうとかって言われてた。
だけど、どっちも不正解。
私は昔から顔立ちのせいか賢いって印象を抱かれることが多くて、そのせいで損ばかりしてきたんだよね。
この眼鏡は小さいころから視力が良くなかったからつけているだけで、勉強のやりすぎとかそういう理由なんかないのに、みんな勝手にいろいろ理由をつけて推測するんだよね。
あれってほんと迷惑。
イメージを勝手につけられる側の苦労も考えろっつーの。
文句をずっと心の中で呟くけれど、やっぱり本は頭の中に入ってこない。
食べたいお菓子や作りたいお菓子なら頭の中に入ってくるのに。
私の魔法って普通とちょっと変わっているんだよね。
普通の魔女って言ったらさ、何やら呪文を詠唱(なんか響きがかっこいい)をして魔法を発動するじゃん。
だけど私はそんなものは必要なくて魔法を発動できる。
もっとも、今のところは金平糖を出したり、砂糖で目を塞いだり、胡麻団子を出したりするくらしかできないけどさ。
「勉強は進んでいるかな」
おじいちゃん!? いつの間にいたの?
女の子の部屋に入るときはノックくらいしなさいっていつも言っているでしょう!
「ノックもして声もかけたけど、君の耳には入っていなかったようだねえ」
……それは、全面的に私が悪い。
「ところで、勉強は進んでいるかな」
「まあまあよ。まあまあ」
まあまあ、一ページも読めてない。