祖父の思惑
「おじいちゃん、遅くなってごめんなさい!」
帰宅したキャラメルは祖父に詫びの言葉を入れるが、彼は何も言わなかった。
それどころか買ってきたジャムを喜んでくれたほどなのだ。
ジャムを冷蔵庫に入れる祖父に対し、疑念を抱いたキャラメルはたずねた。
「ひょっとしてブーヒャが私に挑んでくるって知っていて、わざと買い物に行かせたの?」
いつもより低いトーンになっているが、プティングは動じることなくニコニコと笑うばかり。
「それは知らなかったけど、君が戦う様子は千里眼で見ていたよ。あれほどの強敵をわしの助けなしで、よくぞ倒したね」
「いやぁ、それほどでも……」
頭の後ろをかきながら照れるキャラメルだったが、次の瞬間には我に返り。
「褒められても嬉しくないわよ!私がどんなに危険だったかわかるでしょう。負けていたら、大切な孫はこの世から消えていたかもしれないんだからね!」
「君はわしの血を継いでるから、そう簡単に倒されはしないよ。それに今回の戦いで修行をつけなくとも、ブーヒャを倒せるくらいの実力があることがわかったからねえ」
「あれは偶然よ。次やったら勝てるはずないんだから!」
「君の言葉が本当なのか、試してみるかね」
「え?」
笑顔で問いかける老人に孫娘は嫌な予感がした。
プティングが皺だらけの骨ばった手で渡したのは一枚の紙きれだった。
中身を読んだキャラメルは眼鏡が割れそうになるほどの衝撃を覚えた。
「異世界最強トーナメントぉ!? ちょっと待って。おじいちゃん、これ……」
「既に申し込みは済ませてきたから、当日は力の限り戦うんだよ」
「無理無理無理無理無理~!!」