キャラメルと眠れない夜。
時を同じくして、キャラメルも同じように悩み眠れない夜を過ごしていた。
眼鏡を外し、白く柔らかな枕に頭をのせて毛布をかぶったが眠りにつくことはできない。
夜空には星が瞬き優しい月明かりが薄く部屋を照らしている。
彼女は今日一日の出来事を振り返っていた。
朝食後からの戦闘。昼食も摂らず、ジークの猛攻を凌ぎ続けた。
勉強は苦手なキャラメルだったが咄嗟の機転は効くのかジークの予想を上回る策で幾度とない窮地を乗り越えることができた。やはり人間は危機に陥ると良い知恵が浮かぶものである。しかし、今回は祖父が助けてくれたからよかったが次も助けてくれる保証はない。
救出に間に合わなくなることも考えられる。その時は本当にひとりで戦いを強いられる。
挑んでくる相手はどれも自分の実力に自信がある猛者ばかり。
対する自分は一介の一五歳の女の子。普通に戦えば結果はどうなるのか火を見るよりも明らかだ。下手をすると単に命を奪われるよりも、もっと恐ろしい目に遭うかもしれない。
敗北したら生殺与奪の権利は相手が握っているのだから。
このままじゃ、ダメだ。
キャラメルは唇を嚙み締めた。
強くなりたい。強くなってひとりでこの家を守れるようになりたい。
そう思った直後、祖父の顔を思い浮かべたキャラメルはハッとした。
おじいちゃん、力に溺れる人がいるって悲しそうな顔で言ってた。
あれはどういう意味なんだろう。
明日、聞いた方がいいのかな。
様々な考えが頭を巡るがもともと頭を働かせるのは苦手なタイプのキャラメルは、やがて疲れて熟睡してしまった。