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ジークの最期

プティングという魔法格闘家が強い。


その噂を聞いた時からジークの心は踊っていた。


曰く、巨大な竜を一撃で鎮め、魔法格闘家大会で五連覇を果たし、絶対不敗のチャンピオンとして一世紀に渡って君臨し続けたという。しかし彼はどれもおとぎ話と断じ、それほど強いのならば自分の目や腕で確認してみたいと思っていた。


果たしてその伝説の男が目の前で対峙している。


見た目は完全な老人。


年寄りにしては体格は良さげだが、所詮は老いぼれ。若い俺の敵ではない。


標的をキャラメルからプティング老人へと変更して、対峙する。


ジークの辞書に老人だから手加減をするという文字はない。


それに相手から全力で来いと言われたのだからなおのことであった。


全身の髪を蛇に変えて一斉に襲いかかるが、プティングは蛇の伸びる長さを見極めているのか、いくら伸ばしても間合いまで届かず大量の蛇は空振りを続けるだけだ。


攻撃を続けるが一向に当たらないので苛立ちを募らせていく。


「避けているだけで攻撃を仕掛けない。何故だ」

「君はわしに攻撃をしてほしいのかね」

「当たり前だ。避けてばかりでは倒し甲斐というものがないからな」

「君の申し出に応えるとしよう」


プティング老人は猛攻を加えてくる蛇の髪の毛を手の甲で打ち払い全身していく。


単に叩き落しているだけだが、手の甲で叩かれた蛇の頭で叩き潰され、ただの髪の毛へと戻り、抜け落ちていく。


迫りくる老人に髪の毛を全て落とされ、毛根を全て失ってしまったジークは今度は両腕を蛇に変えてプティングの首元を狙う。


口を開けて鋭い牙を枯れた老人の喉元に食い込ませるが、鍛え上げられた強靭な首の前では鋭利な牙も鉛筆の芯のように容易く折れてしまった。


牙を失っても尚、両腕で締め上げようとするが、いくら胴を締め上げても老人は動じず。


逆に力を入れ過ぎた蛇の腕がパンパンに膨らみ、遂に破裂。


両腕を失い悶絶するジークの目前にプティングの白髭の顔が肉迫していた。


「君には魔法を使うまでもない」


素早く頭を掴んでヘッドロックに捉えると、まるで風船でも割るかのようにジークの頭を破裂させてしまった。


断末魔を叫ぶ間さえ与えず一瞬の技を前に、残された胴体は地面に崩れ落ち、それから二度と起き上がることはなかった。

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