ジークVSキャラメル 4
炎に包まれる中でキャラメルは懸命に頭を働かせて脱出方法を考えていた。
根性に頼った正面突破では敵に到達する寸前に燃え尽きて自滅するのがオチだ。
さりとてこのまま打開策もなく佇むだけでは焼き肉になる運命。
頼みの綱の祖父が来る気配もない。
熱気に照らされ眼鏡が曇って視界を遮られる中、キャラメルは覚悟を決めた。
おじいちゃんは助けに来ない。頼れるのは自分の身体だけ。
意を決して星型の魔法のステッキを振り下ろす。
彼女がとった策は――
暫くして白い煙と炎が消えると、残されたのは黒く焦げた地面だけだった。
少女の姿はどこにも見当たらない。
おそらく炎の熱で骨さえも消えてなくなったのだろう。
そのように判断したジークは森の中の洋館に背を向けた。
ここで待つよりもプティングを探した方が早く戦えると踏んだのだ。
だが彼が一歩を踏み出した途端、地面から飛び出してきた腕にしっかりと足を掴まれてしまった。
地から腕が生えてくるなど考えもしなかったジークはあまりに奇怪な状況に硬直するが、やがて地面から腕だけではなく土まみれとなった少女の姿が現れた。
薄茶色のポニーテールに赤ワイン色の眼鏡。間違いなくキャラメルだ。
「貴様、燃え尽きたのではなかったのか!」
「そうなる前に地面に潜ったのよ」
「!?」
上空に逃げてもジークに見つかると思ったキャラメルは魔法で地面に穴をあけ、まるでモグラのように穴を掘り進めることで炎から脱出。
ジークがいるであろう場所に身を潜めて、彼が次の行動を起こすのを待っていたのだ。
ジークはキャラメルの腕を離そうともがくが、その勢いで彼女の全身が地面から出てしまい自由を許してしまった。
空いている足でキャラメルの頭を踏みつけようとするが、それよりも早くキャラメルは回避して間合いを取る。
「これで戦いは振り出しに戻ったわけね」
不敵に笑うキャラメルに対し、少しの間沈黙したジークは両腕や髪、そして足さえも蛇に変化させた異形となり、口を開いた。
「俺をここまで本気にさせるとは思わなかった。だが、次こそ貴様の最期だ」