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ブーヘの《忌み地》

 私はまたダンテさんと秘密を共有してしまった。申し訳ないけどそれは、私には心強い切り札に思えた。

 彼らはここに定住する人じゃない。ギッティ先生は病気で長期休暇を取ってる先生の代わりだし、用がなくなれば去ってしまう、一時の人達だ。それは肌感覚でも解かる。彼らは後に繋がりを残そうとしないだろう。でも私は彼らが去っても切れない繋がりを手に入れたんだ。

 過去視の能力のことは不安だけど、それだって頼れる味方がいる。笑って眠れた。



 転移魔法が出来るっていいなあ。フーベの《忌み地》に明日の下見に行ってたダンテさんが、書類を携えて戻って来たのはお茶の時間前だ。丁度みんなグリットの部屋にお茶に呼ばれて集まってた。

「《忌み地》に案内出来るのは、一人の案内人に六人だけだけど誰が行く?」

「六人だけなんだ」

「それでも一番多いんだ。ベテランで実力のある案内人でも気を緩ませたら危険な場所だから、六人以上は禁止されてる」

「そんなに?」

「そんなにだ」

 落ち着いた口調で答えたのはヴァルターさんだ。

「俺も幾つか足を踏み入れたことはあるが、望んで行きたい場所ではない」

 ハッペさんも経験があるのか頷いてた。

「これから説明をするが、聞いたら納得する」

「ええ、っと…、私とガブリエラとネーナにグートルーン、男子はスヴェンとハーロルト」

 グリットが名を上げる。ハーロルトがビクッとした。

「俺は結構だ。行ったことがあるから、騎士の誰かを連れてってもらえれば」

「行ったことがあるの?」

「愚母が行かないとでも?」

 女史さり気なく息子の視線を避ける。何か拙い事したんですね。

「そんなに怖しかったのですの?」

 吸収力がいいのか、ほんの少し顔に肉が付いてきた観がある。

「愚母は案内人にどんなに注意されても脱線するから途中で引き返された。確かに従わないと命の危険がある。愚母だけ素通りしたのが今となっては口惜しい話だ」

 おいおい母ちゃんじゃん。女史が口を尖らせてるよ。

「なのに愚母なしで行きたくないのか?」

 とヴァルターさん。

「人が喰われてる場面を見てしまったから、二度と嫌だ」

 気分悪そうだ。そりゃもう行きたくないよね。うんうん。

「では他に誰か…フー師は行ったことは?」

「おぞましい物は見たくない、が行く。一度は見学しておきたい」

 厳つい体躯、厳つい顔は神官服が似合ってない。髪を纏めたレースの付いた水色の可愛いリボンは私が贈った物だ。そろそろ新しいのがいる。今度はピンクにするか、一緒に選ぶのは楽しそうだよね。

「ええ!私も行きたいわ。みんなの様子もしかと見ておきたいし」

「控えおろう⁉母さんが行くと帰れる者も帰れなくなる!首に鎖をつけても阻止するからな」

 牙を剥いたハーロルトに叱られてしまった。

「じゃあ説明を始める」

 誓約書が配られた。


「先ず第一に案内人がいても命の保証はないから、死んでも異議はないってとこ、了承しておいてくれ。それと行方不明になっても捜さない」

「こんなのみんな納得してる?生きて帰りたいでしょ?」

 お遊び気分で行くのに。

「だったら行かない方がいい。《忌み地》ってのは基本この世界に飛び地した異世界だから、あの中では奴らの法則の方が優勢なんだ。俺達はそこを恐る恐る覗き見るだけ」

「そうだ。それはしっかり頭に叩き込んどけ」

 グリットに向けてヴァルターさんが厳しい顔を作った。学生達だけで行きたい、ってヴァルターさんを説得するのに時間が掛かった、って言ってたもんな。普段飄々としてる人がこう言うからには、本当に覚悟が必要な場所なんだろう。

「俺の補助って名目で、ツチラトやクラリッサも行く。使い魔やゴーレムは数に入らないんだ」

 クラリッサはテーブルの上に立って優雅にお辞儀をした。ツチラト氏は反応なし。

「で、これ」

 参加者の前に魔法陣を描いた名刺大のカルテが配られる。

「それは緊急脱出用の魔法陣だ。危険を感じればいついかなる時でも発動させていい。外にある転移着場に転移するから安心するといい。そこは百人同時に転移しても重ならない空間になってる。カルテは帰還後回収するから失くさない様に」

 何故そんな空間が必要かっていうと、人間に危害を加えられたと思ったら中の生物が仲間が仲間を呼んで、《忌み地》全体が危険な場所になる。であれば周囲の見学者も一斉に退避しないといけない場合が往々にしてあるんだとか。流血なんかあったりしたら、臭いで《忌み地》の危険な生物がこれまた一斉に集まる。

「呪文は?」

「要らない、つーか脱出させてぇ、とか外に出してぇ、とか魔法陣に訴えたら発動する仕組みになってる」

「これがあるのに危険なの?」

「そんな暇がないことが多々あるってこと。簡単に取り出せる場所に携帯してくれ。そして俺の指示は絶対守ってくれ、珍しい物があっても近付く前に俺に了承を取ること、俺の許可がなければ近付くことすら許さないからな」

「思ってた以上に厳しいね」

 っていうか他のみんなはダンテさんの言葉に頷いてる。

「ネーナもしかして手引書を読んでないの?危険な場所だから絶対に読んでって、念を押しておいたわよね」

 はい、確かに聞きました。グリットが片眉を上げる。右から左にスッと抜けてった、何て言い難い雰囲気だ。ガブリエラが読んでればそれで十分だって思ってたなんて、言ったら絶対更に怒られるよね。色々禁止事項が書かれてるのが分かり切ってたから、読みたくなかったんだ。

「ごめんなさい」

 ここは素直に謝るのが吉だ。

「ネーナはクラリッサの従者決定な」

 冷たくダンテさんに告げられた。それは《忌み地》で小さなクラリッサを抱いてく役目だ。この場で作られた。

「えええぇ、嫌じゃないけど今回だけは嫌だ。今夜読むからぁ」

「ネーナはそこら辺に生えてる珍しい植物があったら、絶対摘み取ってから俺に訊きにに来るだろう。だからダメ」

 否定出来なくて、みんなも頷いたから、従者役を受け入れるしかなかった。


 一通り説明が終わると誓約だ。誓約書に署名して、書面の上でダンテさんと握手したら、書面に古代語の文句が赤く大きく浮かんだ。

「これが死んでも訴えたりしない、って証明以外に何に使えるかというと、行方不明になっても生死が解かる。便利だろ?」

「俺が行った《忌み地》は誓約書と引換えに許可証をくれたんだ。案内人もなかった。入ったことのある奴を連れてるだけでいい」

「それで大丈夫だったんですか?」

 ヴァルターさんの述懐にそう訊ねるとダンテさんが答えてくれた。

「ここを観光する奴は根本的に考え方を間違えてるんだ。小さくて安全じゃなくて、狭いだけに濃密で危険なんだ」

 今更それを言いますか。

「それなのに観光の目玉にされていますの?そういう記載はされておりませんでしたわ」

「しないだろ、《忌み地》ツアーの観光収入は口を塞いでおきたくなる額らしいから。毎年死者が出てても人気が衰えない。小さいから大丈夫、って思い込みは怖いな。まあ自分で調べれば分かることでもある。俺には関係ない。面白いぞ~、俺は植物相を調べるのが楽しくて通ってたんだ。ツアーがあるのは知ってたが、入場規制があるなんて思ってもみなかった。道理で夜明け頃の、虫が一番騒がしい時刻に誰も居ないはずだよ」

 彼的にはその時間帯が一番面白いらしい。

「そんな危険な時間帯にお前は入ってたのか?許可されてないだろう?魔法障壁が張られてたはずだ」

 ヴァルターさんが目を丸くしてる。

「言われて気付いた。チャラいのが張られてた。管理局に見付かってがみがみ叱られて、それでも俺がいつでも入れるから、取敢えず許可証だけは取っといてくれって頼まれた。まあそれが規則ならって許可証を取ったんだ。ついでに案内人のと」

「チャラい、って流石にギッティ師の認めた天才だな」

「えっ、師匠が俺を天才って認めてたの⁉マジ?やったぁ」

 素直に喜んでるのをハーロルトがジトッと横目で見てる。

「まあ俺が天才としても、《忌み地》で無事なのはツチラトのお陰だけどな」

「魔物が付いていらっしゃっても、絶対無事ということはないと聞きましたわ」

「ツチラト強いから。俺は食われかけたことがあって、珍しい虫の口内を覗けた。面白くて堪らんかった」

 虫の口内なんて覗きたくもない。ダンテさんの告白は驚くことばかりだ。




 長い回想だった。

 そしてようやくこの場に辿り着く。

 砂時計の砂はまだ落ち切ってない。

〔ネーナ、抱っこ〕

 あどけない顔でクラリッサが両手を上げて抱っこをせがんだ。

 やだもうそんな可愛らしいことしないで。蕩けそうだわ。

「ネーナ、中では俺の指示に絶対従えよ。列から離れたりせず、見たいものがあったら、先ずはクラリッサに確認すること!分った?」

「分ったよもう。私ばっかり」

 むくれずにおれん。

「それは君以外に感情優先で動きそうな人がいないからだ」

「ぐっ」

 ぐうの音も出ません。その通りですとも。

「大丈夫ですわ。クラリッサだけでなくわたくし達もネーナの脇を固めておりますもの。ご心配には及びませんでしてよ」

 その様ですね。何となくみんな私を囲んで固まってるんだもん。ちぇー。

 最後の一粒が落ちて群衆にどよめきが走った。砂時計を抱えたゴーレムが下がって入場が始まった。



 (ブーヘ)の《忌み地》は《忌み地》となる前は一面の橅の森だったところから、自然とそう呼ばれて正式名称になった。だから目に入る周囲の木は橅なんだよね。《忌み地》への入場は森に一歩でも踏み入ることを表す。

 入る瞬間は変な感じがした。見たこともない、造花を思わせる葉のないオレンジの、背の低い花が足元に咲いてる。

〔ダメよ〕

 早速クラリッサに注意されてしまった。

 大昔から私達の身近にある植物と《忌み地》独特の植物とがあって、《忌み地》の植物は形が変な上に、水の中で漂う如くに揺れてる。菜っ葉が一枚一枚独立して生えてる感じのが数種類ある。

「ダンテ殿、ツチラト殿が消えたぞ」

 フー師にダンテさんが頷く。

「はいみんな注目ぅ」

 彼が止まったんでみんな止まった。他のグループが追い越してく。

「折角だから俺のルート案内する。まとめて転移するぞ」


 質問する前に転移が終わってた。早い…。

 そこは木々の合間に開かれた小さな広場になってて、無数の知識にない植物が生えてた。

 知りたい触りたい、匂いを嗅ぎたい、調べたい。クラリッサはそんな私に目を光らせてる。苦苦苦。

「クアァッ」

 って空から聞こえて視線を上げたら、狂暴系の飛獣が飛んでた。

「外からは飛獣なんて見えなかったのに」

 驚いたスヴェンにダンテさんが答える。

「そうね、何でかはまだ解明されてなくて、中に入ってようやく見えるんだ」

 ガチンと金属的な物質が打合う音がした。巨大なムカデみたいな虫がガブリエラを狙ったんだ。さっきまではいなかったのに。

 それは身体を九の字に曲げて広場の外に飛んでった。

「絡繰りは分からないがこうやっていきなり現れるんだ。俺達の魔法とは道理が違う」

「嫌だ。暗がりに虫が一杯いる」

「覚悟はしておりましたけど、ツアーで案内される森の外縁部のルートに、こんなに虫はおりましたっけ?」

「居ない。俺が内部に連れて来たから見れたんだ」

 胸を張るけどそこまでしてくれって頼んでない。安全第一、つーか、根本的に虫の軍団は避けて欲しかったよね。男の子には解かんないかな?

 カチカチカチとかリンリンリンとか、触角が鳴らされて色んな音が届く。それが拡がる。

「危険を報せる警報音は何処でもするけど、あの音は獲物があるって仲間に報せる音。他の《忌み地》では見られない行為で、狭い範囲で種を存続させる為に得た能力だと思う。綺麗な音もあるだろう?」

 ありますけど段々増えてるないかい?いいの?大丈夫?闘う前に気味が悪くて身体が竦んじゃいそう。

 広場自体は綿毛っぽい浮遊物ふよ~ふよ~と、透明の魚みたいなのがすい~すい~と飛んでて幻想的なんだけど。

「で、これ。一番虫が嫌いな人」

 女子はみんな手を挙げた。当然だよね。

「じゃあガブリエラ、これ鳴らして」

 渡されたのは背に凸凹がある木のカエルだった。小さな棒で背中を擦るとカエルの鳴き声みたいな音を立てる。するとそんなに大きな音でもないのに虫達が退いた。

「奴らはその音が嫌いなんだ。鳴らしてる間は襲って来ない」

「それは有難いのですけれど、他に方法はございませんの?」

 みるみる広場を囲んだ虫達が減った。

「ある。けど面白くないから当分続けてて」

 消えてたツチラト氏が戻った。剣を持たない騎士みたいで超カッコいい。って眺めてると、

「どっひゃぁ」

 私がさっき気になった花を摘んで、パクッと一口に食べちゃった。噛まずにゴックンする。

「腹一杯になったか?」

 ダンテさんの問いにツチラト氏は頷いた。

「うむ」

「食事に行ってたの?それにしては時間が短くない?」

「ツチラトは魔力が主食だから基本が丸呑みなんだ」

 それは聞いてたけど噛まないとは。

「噛まないと消化に良くない?」

「特に障りがあったことはない」

 無視せず答えてくれた。相変わらず好い声だなぁ。

「どの位《忌み地》の内部であるか?」

 油断なくフー師は周囲を警戒してる。

「他のツアーが来ない位かな?一番たくさんの植物が見学出来る場所だ。ここにあるのは主に毒草で、多少薬草になる物もある。研究すれば更に増える。だが案内人でも管理官でも、ここまで来れる奴はそういないから時間が掛かるだろうな。外に持ち出すと毒性が増したりするんで研究が難しい」

 間近で見てみたくて触りたくてしょうがない私を、クラリッサという存在が止めてる。

「あの、あの」

 興奮して言葉が出難くなってる私にダンテさんが頷く。

「間近で見たいよね」

「いいかな?」

「ダメ、側を通っただけで毒性の花粉を飛ばすのがいるから。因みに最初にネーナが目を止めたのも毒草。柔毛に毒があって手を伸ばしただけで毒気に触る。肌が火傷したみたいになって融けるんだ。試す?」

 結構です。

「ツチラト氏が…」

「人間じゃないだろ。ツチラトにはただの珍味」

 珍味⁉

 一同に衝撃が走った。

「場所は好きではないが、味は気に入っている」

 そうでしたか。

「具体的にはどんな感じですか?」

「ピリッとして、動物的魔力とはまた違う趣がある」

 また一本摘もうとしたがすぐさまダンテさんの叱責が飛んだ。

「近いツチラト!食べるんならもっと離れてくれ。摘んだ時に毒が散るだろ」

 ガサゴソと葉っぱの塊が動いた。丈の長い細い葉が肋骨みたいに二列、背中から突き出てる。

「可愛らしいのね。あれは何という名前ですの?」

 木のカエルはスヴェンが交代した。

「クワウィンシア。知らずに踏んづけたりしたら、あの細長い葉が足に絡みついて、死にやしないが満腹になるまで放してくれない」

 ガブリエラから笑みが消えた。

「消化液が強烈で、しかも遠くまで飛ばせるから近付かない様に。そうして動けなくしてから食べることもある。さっき広場を囲んでた殻の堅い虫でも何でも融かすんだ。穴の開いた死骸があったらこいつの所為だと考えていい」

 穴空き死体…。

「ガブリエラ気を付けてね。君に穴が開いてる様は見たくない」

「心配なさらないで。そんなネーナが引っ掛かりそうな手はくいませんでしてよ」

 互いを皮肉る。

〔私が好きなのがそろそろ現れる頃よ。ほら〕

 陶器の白い手を指を伸ばすと、その方向にどう形容していいか分かんない、太い細いが混じった、先細りの線ばかりで出来た様な。それに昆虫の触角や脚っぽいのが一対付いた、そんな出鱈目な造形のがフワフワと水を掻く様に現れた。

 他にも浮遊して水中を泳ぐ様に進む生物が続々現れる。見てたら水中にいる気分になった。

「あれの何処がいいの?クラリッサ」

〔グロテスクで背筋に寒気を催すところ〕

 そこ即答しちゃいますか。理由もなぁ。

「気分は確かに解かる所がありますわ」

 マジですか?ガブリエラ、本気?自分が綺麗だともう綺麗は十分で、グロテスクに行っちゃうものなのかな?

 鰭とかで空気を掻いて泳いでくれたら幻想的なんだろうけど、触手っぽいのをやたらに持ってるのばかりで、この神経にくる感じをどうしたらいいんだろう。

「僕は余りここに居たくないな」

 カエルを鳴らしながらスヴェンが言った。ナメクジに繊毛の無数にある棘を付けたみたいな生物が、私達に近付いたと思うと逸れてく。浮遊するもの達も避けてくから魔法が掛かってるんだろうな。

「うん、正直薬草になる植物に興味はあったけど、どれもこれも触れないし間近で見ることも出来ないんじゃね」

「生き物が避けて行くのはどうしてですの?ここではわたくし達の魔法は掛かり難いはずでは?」

 誰もがダンテさんに視線を移した。

「俺んちの近くに《忌み地》があって、子供の頃からツチラトと一緒に行ってたんだ。ツチラトの狩りに着いてく感じかな。その内に小さな生物がどう身を守ってるのかが何となく解かって、深く考えずにそれを受け入れた」

「どんな風な?」

 とスヴェン。

「まだ言葉には出来ない。誰にも教えられないあやふやな感覚でしかない」

 重ねてみんなが問おうとしてたのに、ツチラト氏が浮遊する葉っぱ型の、根っこに触手が何本も付いたのを捕まえて、口を四つに大きく裂けさせて一呑みにしちゃったんだ。呆気に取られちゃったもんだから、みんな気が逸れちゃった。ハンサムなのに、いい男なのに。トンでもない奴だ。

 口からぷぷぷと光る石を幾つも手に吐き出す。げっ。

「このモノ達にとってはここが清浄の地なのだ」

「はあ?」

 合唱多いな。またみんなで仲良くハモっちゃったよ。清浄の地って感じからは遠く離れた感じですけど?

 光る石をツチラト氏は皆の掌に落した。

「ここの大気を吸って生成される石だ」

「ああ、《忌み地》の生物の多くは、体内にこうした魔晶石を孕んでいるのですよね」

 スヴェンは石をツチラト氏の手に戻そうとしたが拒否された。

「輝きを失うと黒くなり浄化の石となる。持っておけ入用になるやも知れぬ。小さくても効果は絶大だ」

「感謝します。大事にします」

「感謝して大事にするな。必要な時は使え」

 意外な顔をしたけど、頷いてスヴェンは小物入れにしまった。

 珍しく感情を露にフー師は石を眺めて、得心がいった様に何度も頷いてた。


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