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あんたの父ちゃんどんな人?

 グートルーン・ハイルヴィヒ・エビングハウスはめげない人だった。

 私と同じ講座を全部取ってるって話には嘘がなくて、受けてる講座全てに彼女の姿があった。顔を合わせれば明るく笑い掛けてくるが、話し掛けてはこないのがせめてもの救いだった。嫌でも目に入ってくるその様子をチロチロと横目にしてれば、彼女が好もしい人物であることは解かるんだけど、だからって私の中のわだかまりが無くなる訳じゃない。微妙な感情の日々が続いてた。

 だがそれも前期の講座の終了と共に終わったんだ。後期の講座を取ってるかもしれないってことは一時考えずにいよう。

 講座は前・中・後期と分かれていて、私達仲良し三人組は旅行にあてるつもりで中期は取ってないんだよねぇ。これから始まる任務が完了すれば即出発するんだもんね。



 ボルディアブル市長の開会の辞で行事が始まった。そんなに長い行事じゃない。その間に広場をうろついて、屋台のサクランボやイチゴを抓みがてら、密かに警備の配置が計画通りか窺う。私は攪乱担当なのだ。

 なのに、

「グリット…」

 瞳一杯に涙を溜めたグリットが目の前に立ってる。

 どうしたって?合流するのはスヴェンを拉致してからじゃなかった!

 大人達に詰め込み教育されてるスヴェンは、中期も後期も詰め詰めに講座を取ってる。そんなんじゃ体に悪い、彼の為を思って私達は旅行に誘う(らちる)つもりなのだ。

 のはずなのに何故目の前にいんの?しかも気丈な彼女が涙まで溜めてる。一体何があったって?

「ネーナ、私、悔しい」

 喋ったらぽろっと涙が零れ落ちた。

「グリット…」

 いつだってガブリエラは目敏い。高速で現れた彼女はグリットの腕を取った。

「あら気分が悪くなりましたの?人混みに酔ってしまったのかしら、日陰で休みましょうね」

 少女の涙に目を止める人々に聞こえる様に言う。

 ああ、暑さにやられた風を装うのね。

 獅子人の怪力で支える様に見せて、二人を抱えて木陰に走る。

 蔓薔薇の棚の裏は驚く程人気がなくて、それもそのはず驚く程毛虫が一杯だった。女子必須の魔法《虫よけ》をガブリエラが掛けると、グリットをベンチに座らせる。

「ごめ……いきなりで、驚い…たわよね」

 涙声で切れ切れになってる。

「落ち着いて、どうせ一時間ばかりは時間潰しのはずだったんだし構わないよ」

「何がございましたの?」

 渡されたハンカチで涙を拭いたグリットは爆弾発言した。

「会場に父上様がいるの」

「え、もしかして、グリット、父上様って?」

 グリットは正式にはマルガレーテ皇女、だったよね?

「そう、アルベルト皇帝陛下がお忍びで群衆に紛れてるの」

 陛下お暇なんですか?帝都からここまでお忍びで来られる余裕があるなんて。


「私、正面から顔を合わせたのに父上様は気付かなかったわ。念の為にそっと声を掛けたんだけど…」

 誰だか分かった途端に嫌悪の表情になったんだと。

 何じゃそりゃぁ!己の娘でしょが!

「好かれてないとは思ってた。父上様は気の強い女がお嫌いなの。でも娘なんだから気に入らないだけだと…。なのにあの顔⁉一生忘れられないわ」

「ぶっ殺す⁉」

 思わず拳を握ると、途端にガブリエラの容赦ない拳が頭に決まった。

「皇帝暗殺未遂!気を付けなさいな。亜人を嫌う人物に聞かれたら即通報されてしまいますわよ」

「はい、ありがとう」

 そうだった。私は感情的になったらダメだった。それにぶっ殺すのはグリットの権利だろう。ホント痛くて頭を抱えた。多少は手加減してよぅ。

 涙を流しながらもグリットは気丈に面を上げた。

「何が悔しいって、私、父上様を見付けた時、会いに来て下さったんだ、って一瞬喜んでしまったの。どう考えても有得ないのに」

 政略結婚で出来た我が子に愛情が持てなかった父親。口では愛想が尽きたって言ってたって、親なんだもん簡単に嫌いになれないよね。そら期待だってしますって。

「それだけが自分を殺してやりたい位悔しいの」

 痛い程に私を掴んだ手に更に力が籠る。いいよいいよ、痛い位どうってことないから、殴ったって許してあげる。八つ当たりしていいよ。

「それでへい…父上様はどうなさいましたの?」

「私に言葉も掛けずに行ってしまったわ。サンフィリッポと逸れてたんでしょうね。彼を見付けてそちらにね。商人を装ってるけど、仕立てと生地が段違いで良いからすぐ分かるわ」

 グリットはマルガレーテの愛称だ。マルガレーテ・ヨハンナ皇女は我が帝国の九番目の皇女で、ホントは愛称なんかで呼んでいい相手じゃないんだ。なのに彼女がここに居る理由は、彼女の兄フェルディナント・ゲオルグ皇子が陥れられて、兄妹揃って帝都を追放されたからだ。

 そしてスヴェンは長年ほったらかしだったアルベルト陛下の庶子。皇妃の嫉妬を恐れてこれまで何も出来なかったけど、本当はずっと愛してたってパターンで、成人すると同時にケルテンデン大公の位を下賜されることになってた。

 グリットもスヴェンも好きであんたの子供なんじゃないからね!いい気にならないでよね!

 二人共私の善き友なんだ!二人を与えてくれたことには感謝するけど、親だからって傷付けることは許さないんだから。

「勝手だ!好きな人と結婚出来ないっても、あんまり勝手じゃないか!」

 フェルディナント殿下だって父親がそんなだから、関心を惹こうとしてそれを利用されたんじゃないか。母上は小さな頃に亡くしちゃったんだし、父上に愛されないって想像するだに辛いことだよ。

「今度の計画は中止して、スヴェンは連れずに行きましょうか?」

 ガブリエラの提案にグリットは涙を振り払った。

「これはこれ、それはそれ、スヴェンには休養が必要よ。計画は実行するわ」

 何物にも負けない強い精神。そんな女が嫌いなら嫌いで結構です陛下。ちょっとしたことでウジウジする様な女より、よっぽど私は大好きだから。


 再度別れた所で視線を感じた。

 獅子人に気配を悟らせずに脇に立つなんて大したもんだよヴァルターさん、護衛騎士で二十歳そこそこに見えるけど流石九十歳。しかもグリットの母方の叔父さんでもある。しかもしかも金髪碧眼の長身ハンサムなんだこれが。

「姫が泣かれてたな。父ちゃんに気付いちまったか?」

「感激の涙じゃないからね。それだけ教えたげる」

「…あのバカ親父、スヴェンに極秘の面談を申し入れてるぞ」

 ケルテンデン大公はこの地方シュタットシュタイネン自由都市連合の総督でもある。だから早くも連合側が側近団を組織し始めてて、それはケルテンデン大公側でも同じなんだけど、今日はそちらはいない、はず。連合側に面談を申込んだはいいけど、誰も陛下に直接会った人がいなくて本人と信じられていないらしい。笑えるわ。バーカ、バーカ。

「俺に首実検の依頼が来たんで違うと答えてやった」

「それって大丈夫なの?後で斬首もんじゃない?」

「大丈夫だ。お忍びで来るんだ公にしたくないはずだ。そこら辺含みを持たせて答えてやったから、連合側も分かってる」

「つーか、私達の計画バレてる?」

「中期の講座を選択してない段階で予想されてるさ。再三スヴェンに休暇を作ったろが。安心しろ、向こうは長期でいなくなるなんて思いもしてないから、黙認するつもりなんだ」

「じゃあ続行だね」

「続行だ」

 息子を父に合わせてやらなくていいのかって?全然構わない。

 だってスヴェンも陛下は嫌いなんだ。庶子年金だけくれて、それは確かに有難いさ。けど母が病気になっても死に際にだって現れなかった。世話してくれる貴族の間を、幼い頃に盥回しされてガブリエラんちに辿り着いた。フェルディナンドとマルガレーテ両殿下への仕打ちも見てるんだし、ホントは愛してたんだとかって大公位をもらえたって、それはそれだよ。大体最初は断るつもりで、でも大望を胸に抱いたから受けてやったんだしね!


 亜人は魔法が使えないその代わり魔法も効かない。私は先祖返りだから以前は使えたんだけど、獅子人の力を覚醒させてからは段々使えなくなって、今では初歩的な魔法が精々だ。

 ガブリエラやグリットは揃って高い魔力の持ち主で、スヴェンを拉致するのを魔法の練習にもしてたから、私はスヴェンの警護役とかが騒ぎ出した時に攪乱する役。何所のルートを辿って逃げるかって重要だから下見はバッチリだよ。

 それでいうと三人は私より長生きするんだろうな。亜人の寿命は約三百年だけど、二人は五百年位いくんだろうな。ガブリエラはロットシルト家の娘なのに、政治学じゃなく魔法学を取ってるものな。

 スヴェンの側近に計画が知れてるからって油断しちゃいけない。これは私にも訓練だからね。

 動体視力はいいんだけど、通常の視力は悪くなった。ダンテさんが作ってくれたゴーグルをつけると、途端に視力が回復する。魔晶石のレンズは自動的に視力を合わせてくれるんだ。ダンテさん感謝。

 適当に警護役を巻いたら集合場所に急ぐ。私の脚力に適う人間はいないから、逃げるのは楽……は訂正だ。

 一人転移魔法で食らい付いて来る奴がいる。

 転移魔法は魔力も食うし難しいんだ。転移先の目星をつけることを座標をとるって言い表すんだけど、ちゃんと転移先の座標を掴んでないと、転移先にある物に、有機物あるいは無機物を問わず一体化しちゃうんだよ。そうなっちゃうとどうしたって分離は不可能なんだ。都市部での転移魔法は禁じられてるんだけど、自由都市では禁止出来ない様にされてる。反乱があればいつでも軍を送れる様にってこと。毎年それで不幸な事故が続出しててもだ。

 これまでこんな風に転移を使って、私を追って来れたのはダンテさんだけだ。

 短距離の転移魔法を連発するなんて、特に都市部では自殺行為に等しいもんね。

「あんた誰?」

 危険だから止まってあげた。勿論人気のない所で、だ。予測して転移してたから、私が急に止まったんで、一旦先んじてたのに戻って来た。

「ハーロルト・ローゼンハイムだ。この度スヴェン様の学友に選ばれた。彼を何処にやった?」

「同じ歳なんだ」

 血色が悪くて頬骨が高く出てたから年上っぽかったけど、これはちゃんと食べてないだけだな。服だって継ぎ接ぎだらけじゃない。

「私に付いて来るなんて凄いね。そう指示されてたの?」

「違う。今日挨拶する予定だったんだ。学友になれないと飢え死にするから急いで追った」

「その様だね。じゃあ連れてったげる」

 ひょいとガブリエラより軽い身体を担ぐ。

「お…、おい、いいのか?」

「そのまま転移魔法続けたら魔力食われて危ないでしょ。旅は多い方が楽しいし」

「旅?は…速い…」

 転移じゃ風は切れないもんね。

「風が気持ちいいでしょう?詰め込み教育受けてるスヴェンを休ませる為に旅行に連れてくんだ」

「そ…それは市側も了承してるのか?」

「黙認はしてくれてるみたい」

 緊張を解いたらハーロルトのお腹が盛大に鳴った。餓死寸前じゃないか君。



 本物の獅子は長距離を走れないらしい。私は二十キロ位平気だ。薬草研究部での薬草採集の時に集合場所は決めてあった。後の三人は転移だからとっくにいる。

 痩せこけて骸骨みたいな人物を、私が肩車して走って来たからみんな驚いてた。

「お待たせ~」

 四頭立て馬車には三本角の鹿系の獣が繋がれてた。馭者はゴーレムだ。天井はあるけど四面は布が垂れてる。庶民の馬車って感じで横から乗り込むんだ。座席はなくて絨毯とクッションに簡単な背凭れがある。

 待ってたガブリエラ達も、拉致され慣れて苦笑するスヴェンの目も、肩にいる人物を紹介して欲しがってた。

「スヴェンの学友だよ。今日紹介される予定だったんだって。ハーロルト・ローゼンハイム君」

 紹介されてハーロルトは片膝ついた。

「お初にお目に掛かりますスヴェン様。紹介された通り…」

「苦学生で餓死寸前だから学友に決まりだね」

 長くなりそうな挨拶をにこやかに遮ると、一旦降ろしたのをまたひょいと持ち上げて馬車に乗せる。察しのいいガブリエラがお菓子を取出して渡してくれた。

「君がハーロルトか、うん聞いてたよ。僕のことはスヴェンでいいからね。まだ大公でもないし自由都市育ちだから、遠慮はしないでくれると有難い」

「あ…はあ…」

 思ってたのと違ったんだね。

「何所の市の出身?」

「私は自由都市ではなくて、ケルテンデン大公の荘園の方の出身で、母は自由都市出身ですが」

「じゃあなるべく早く敬語が抜ける様に頑張ってね」

 にこやかに告げるとポカンとしてたからスヴェンが吹き出した。

「ネーナはこういう子だからね。君は全く初対面でも長年の友達みたいに話すんだから。ハーロルトが戸惑ってる」

 神馬スレイプニルの血を引くグラニに乗ったヴァルターさんが告げる。

「出発するぞ」

 どんな魔法だろう揺れは全く感じなかったし凄く速かった。

 ハーブ水の水筒を取出すとグリットがカップをくれた。ハーロルトにもだ。

「この人骸骨みたいなのにずっと転移しながら付いて来たんだよ」

「興味深い話ですけれど、先に紹介が必要ではありませんの?」

「必要ありません」

 お菓子を貪り食べてて、慌てて背筋を正した。

「貴女がネーナ・ヴィンクラー殿なら」

 私を見る。

「こちらの令嬢はガブリエラ・アレクシア・エルケ・ロットシルト嬢でしょうし」

 対面に座ったガブリエラを差す。

「隣にお座りの方は畏れ多くもマルガレーテ皇女殿下でしょう。グラニに乗られているのが騎士のグラッツェル殿」

「当りよ。資料を渡されたの?」

 さっきの傷心を毛程も見せずにグリットが答えた。

「顔合わせの前ですから薄っすらとだけ。ただ、私は『獅子人ネーナの献身』を読んでおりましたから、ネーナ殿以外は書かれていた通りかと…」

 いけないんだけど胸倉掴んじゃった。

「性悪代官に重い年貢取られて骸骨苦学生の癖に、新聞読む金があるのかね君は?」

「私の荘園の代官は性悪ではありません。私が食うや食わずなのは姉の所為で、新聞は近所のおばさんが愛読してるのを、姉に貸してくれるんで私も読んだんです」

「私以外って?」

 慎重に訊いた。この体勢で慎重っつってもって感じではあるけど、気分よ。

「小説では実物より繊細に描かれていますね」

 これよ!私はこれが怖かったのよ!

 やっぱ主人公は繊細な美少女でないとさぁ、カッコつかないよね。小説を読んだ人に「詐欺だ」とか「美化し過ぎ、別人だ」「偽物」って罵られる日も近いって心で泣いた。

「大丈夫ですよ。喋らずお淑やかにしておけば本の通りですから」

 表情で内心を読まれちゃった。

「それもう別人」

「当然です。物語の主人公になってしまった瞬間から、起きたことだけ(なぞら)えた別人なのです。それにあれは伝記ではありませんから、事実を追求する必要もない物語なのです」

「そういうもんかな?」

「そういうものだと思うよ僕も」

 スヴェンも同意してくれた。

「そういえばスヴェン様。会場に父上様と思しきお方がおられましたが…」

「来ていたわね」

 冷静にグリットは肯定した。なのにスヴェンはホッとしてた。

「グリットは気付いてたんだ。善かった、君は会いたがるかと思ったよ。会場を覗いてたら、吃驚する程フェルディナンドに似た人がいるなって。そしたら何だか僕によく似た人が、「皇帝だ息子に会いたい」って来てるって告げられて、驚いたよ」

 ああ、ヴァルターさんが否定しても、顔似てたらそりゃも一つ確認しとくかって気になるよね。

「会ったんだ?」

「え?会う訳ないだろ。僕は父の顔を憶えてるがよく似た別人だ、って言ってやった」

 わお、嫌われてるぅ。

「けど確かにあの顔は、母が死んだ後に何度か見た覚えがあるんだ。僕の顔を見に来てたんだろうけど、なら何故息子に声を掛けてかなかった?答えは連れてってって縋り付かれでもしたら面倒だったからさ。実際貴族の家を盥回しされてかなり苦しかったから、絶対そうしてた」

 自嘲なんて、スヴェンをそんな辛い目に遭わせながら、自分は女漁りしてる父。

「悪いけどやっぱやな奴だね君の父ちゃんは」

「皇帝侮辱罪ですぞ」

 間髪入れずにハーロルトに告げられちゃった。

「嫌な奴を嫌な奴って言っただけよ。流しなさい」

 凛とした皇女としての声だ。ごめんグリット。ありがとう。

「僕も掛け値なしの嫌な奴だと思う。人の気持ちなんて考えてない。それなのに本当は愛して見守ってたんだ。成人したら爵位をやるから傍に来い、何て嬉しくとも何ともない」

「では何故大公位をお受けになられたのです?」

「貴方、割とズバッと訊くのですね」

 ガブリエラは意外そうだ。

「失礼しました。疑問を素直に口にしてしまう悪癖がございまして…」

「それは構いませんのよ。ねえスヴェン?ただ身分差別の厳しい所から来られたにしては、と思っただけですの」

「はい、よく叱られます」

「スヴェンの下でなら叱られないよ。何せ私達で慣れてるから」

「それ以上に無神経な貴族は、幼児の前でも遠慮のないことを口にするから、僕はそれで慣れた。君達なんて可愛らしいもんだ」

 ますます暗い歴史を記憶箱から引き出しちゃってるよ、これは。

 ハーロルトは一同を見回した。

「ならば私は本当に学友としての接し方で構わないのですね」

「僕はね言った通り盥回しされて、ロットシルト家でようやく落ち着かせてもらったんだ。居候でも一家には兄弟同様に接してもらった」

 爽やかにガブリエラに笑い掛ける。うんうん、いいねその笑顔。

「その意味ではロットシルトにはとても感謝してる。将来は薬学の研究に一生を捧げるつもりで、自由都市カランタで一市民として生きるべく将来設計してた。つまり素の君で全然構わない」

「……では、俺…が自己紹介しても」

「うん、待ってた」

 人を包み込むような笑顔になる。こういうの見ると、スヴェンは大公の器だ、きっといい大公になるって、勝手に思っちゃうな。

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