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第209話 デデン! パーティ『アルケイン』に冒険の神ミトラが加わった!

「あの、突然、何を……?」


 ミトラ神の言葉に、困惑する俺。

 視線を向けると、シャーリーもアイセルもサクラも、俺と同じように困惑の表情を浮かべていた。


「いやなに。実を言うと、我は冒険というものをしたことがないのだ。我は愛しき我が子らに、力を分け与えておるだけじゃからな」


「あ、言われてみれば、たしかにそうですね」

 アイセルが納得を表すように、ポンと軽く手のひらを合わせた。


「だというのに、今や我は冒険の神などと呼ばれておる。これはいかがなものだろうかと思わぬか?」


「あはは! たしかに冒険の神様が冒険したことないなんて、変だよね! ウケる!」

 そして神様相手だろうがなんだろうが、ウケちゃうサクラ。

 お前は本当にウケるのが好きだな。


「じゃろう?」

 そして特に気分を害してないミトラ神は、本当に懐が深いよなぁ。


「それで俺たちと一緒に冒険って話なわけか」


「うむ。各々の力を使いこなし、ともに力を合わせることができる汝らは、我が理想とするパーティの形そのものであるからの。我が行動を共にするならば、汝らのパーティ以外あるまいて」


「理由は分かったけど、急にそんなことを言われてもな。俺たちに神様の面倒なんて見れるだろうか」


 なにせ神様だ。

 一体全体、なにをどうしたらいいんだよ?


「安心せよ、汝らに迷惑はかけぬ。あくまで居候(いそいうろう)をさせてもらうだけだと弁えてもおる。どうか我をパーティの一員に加えてはくれぬか?」


 ミトラ神が俺たちに向かって深々と頭を下げた。

 はたして冒険の神であるミトラ神にこうまで言われて、断れる冒険者などいるだろうか?


「俺はこの話を受けようと思う。みんなはどうだ?」


「わたしは大賛成です。神様と一緒に冒険できるなんてロマンいっぱいですから」

「アタシも異論はないかな。さっきはアタシのことを助けてくれたんだし」

「神様と冒険とかマジウケる~~」


 俺はみんなの意見を確認してから、ミトラ神に言った。


「分かりました。一緒にパーティを組みましょう」

「おおっ! 話が分かるのぅ!」


 デデン!

 パーティ『アルケイン』に冒険の神ミトラが加わった!


 真面目な話、超すごくね!?

 これからは神様と一緒に冒険するんだぞ?

 こんなことは、長い冒険者の歴史でも初めて――どころか後にも先にも2度とないんじゃないか?


 いち早くアイセルの才能を見抜いて『大勇者』に仕立てあげようとした俺だが、ここまで大きく話が膨らむとは、さすがに想像していなかったぞ。


 さてと、仲間になってもらったのはいいが、どんな感じで話しかけたものか――などと俺が少し考えを巡らせていると、


「神様神様、私はサクラ。バーサーカーだよ」


 サクラがあっけらかんとした口調で自己紹介を始めた。


「サクラじゃな。我のことはミトラと呼ぶがよい」

「じゃあミトラ。これからよろしくね!」

「うむ」

「で、あっちの可愛い子がアイセルさん。魔法戦士で、うちのパーティのエースなんだよ。超強いんだから」


 すげーなおい。

 普通に話しかけてるんだが。

 相手、神様だぞ?

 お前、本っっっっっ当に怖いものなしだな!?


 我が道を行くサクラのおかげで、速やかに自己紹介が終わり。


 こうして一件落着かと思われたのだが。

 帰ろうとしたところで、


「ところで婿殿」


 俺は突然、シャーリーのお父さんからガシッと肩を掴まれて、呼び止められた。


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