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電話ボックス
真夜中、神社の近くの電話ボックスから
あの人に電話をかけた
テレホンカードの残り度数を気にしながら
呼び出し音を聞いた
ガチャリと音がして
あの人の声が聞こえるのを待った
祈るような気持ちで
あの電話ボックスはもう無い
あの人に電話をかけることも
もうない
帰省するために乗った夜行列車
窓から見えた緑色の灯
電話ボックスの照明だった
山あいの集落にぽつりと佇むその姿に
人の暮らしを感じた
旅に耐えうる体でなくなり
あの頃乗った夜行の急行ももう走っていない
まだあの電話ボックスはあるだろうか
そう思うけれど
思うけれど




