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6徹(6年徹夜)の恨み

「舐めるなよ、小娘。」


 女神様の腹に深く刺さった刀は、そのまま彼女の背中から飛び出していた。あまりにも悲惨な光景に、クラスの何人かの女子が、推理マンガ並みの悲鳴を上げた。


「な、んで?」


 女神様はあまりの衝撃的な出来事に動揺を隠せずにいた。彼が刀を持って自分を刺した事よりも、彼がこの世界に刀を持ってこれた事の驚きの方が強かった。

 この世界は神の領域。本来、彼女の許可したもの以外は入ることすらできない。それは、リンゴが地面に落ちる事と同じでこの世の摂理であり、一言で言うなら当たり前のことだ。つまり、今自分を刀で刺している彼はそれに反したということだ。そんな事が出来るのは自分と同等か、それ以上の存在でなければできない。そう、神でなければ。


「まずは、徹夜一年分の恨みだ。」


 彼が刀を女神様から引き抜いた。そのまま、彼女は前かがみに倒れた。がしかし、


「え?どういうこと?」


 刺されたはずの場所に手を当てると、そこに空いているはずの穴がなかった。さらに、先ほどまで感じていた痛みなども消えていた。しかし、そう思ったのもつかの間。突然、視界がガクンと落ちて、体が重くなった。


「何?これ?」


 事態が上手く把握できない。突如現れたダルさと眠さがじわじわと体を侵食していく。


「どうだ、苦しいだろう。まあ、私の感じた苦しみの6分の1に過ぎないがな。」


 頭がガンガンし、周りの景色が少しボヤけてきた。


「私に、何をしたの?」


 頭に浮かんだ言葉を何とか繋いで質問にする。


「さっき言ったように、私の苦しみを。寝れない辛さをお前に与えた。」


「寝れない、辛さ?」


「ああ、そうだ。私がこの6年間味わってきた苦しみだ。」


「なぜ、私に?」


「本当はちょっと仮眠とったら頭が落ち着いて、やっぱやめようかなと思ったが、お前を見たらやっぱり許せなかった。」


「許せ、ない?」


 私が彼に何をしたというのか。


「ああ、そうだ。お前が、」


「私、は?」


「お前が、そんなに肌つやつやで、髪を整え、そんな洗いたての服を着て、あまつさえ化粧までしているからだ。」


「・・・は?」


 どういう意味かわからない。彼の言っていた苦しみのせいか、先程から頭がうまく回らない。


「私は!てっきり、世界が荒れに荒れ、大変すぎてやむなく異世界転生させてるのだと思って我慢してたのに!私より、大変なんだろう、今頃夜も眠れずに作業をしてるのだろう、と心配してたのに!なんだその健康体は!私なんか、肌は荒れ、髪はカピカピ、目の下はクマだらけで仕事をしていたというのに!なのにお前は!健康体だけでなく、ちょっと化粧して、なに美しいですオーラ出してんだ!私より優雅な暮らしぶりが目に見える!もう許さん!ぶっ潰してやる!」


 そう言って、今度は上段から刀で切りつけた。またもや、切られた所は何もないのだが、先程よりさらにひどい眠気に襲われる。しかし、これだけの眠気がきているのに、気を失わない。いや、失えない(・・・・)


「あ、なたは、い、った、い?」


 眠気が酷すぎて頭が回らない、体にある力を振り絞って最後の質問を彼へと投げかける。

 そうすると、彼はそっと女神様の耳へと顔を近づけると一言つぶやいた。


「っ!?ば、かな。その、かた、は、じょせ、い、のはず」


 眠さで落ちて書きた顔の筋肉が、大きく動いた。それほど驚愕だったのだ。


 彼?は立ち上がると、また刀を振り上げた。


「3徹の恨み!」


そして、そのまま女神様を切ろうとしたその時だった。




「やめろ!」


大きな声が後ろから上がると、そのまま刀を振り上げた彼?に突っ込んでくる一人男子がいた。


「これ以上、女神様を傷つけはさせない!」


 彼?の目の前に立ちはだかったのは斎藤守だった。


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