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話し合い(食事中)


この話はグロテスクな表現が含まれています。苦手な人はご注意ください。

 どこまでも白い世界の中に、明らかな場違いとも言える様な赤い絨毯が引かれた場所がある。そこには、長方形の長いテーブルがあり、4柱の神がそれを囲う様に椅子に座っていた。その神達は食事をしており、カチカチと皿とフォークとナイフが擦れる音が静かなあたりに響く。皿の上に乗っている肉は一見するとサーロインなどの肉に見えるが、実際は違う。その肉は人間の肉だった。溢れ出すのはソースではなく赤い血だった。


「う~ん。やはり熟れた肉は絶品であるな。」


 一柱の男神がそう呟くと、とても恍惚そうな表情を浮かべる。すると、彼の目の前に座っていたもう一人の男神がうんざりした様に口を開いた。


「そんな、腐ったババアの肉の何処が美味しいんだよ、この熟女マニアが。舌まで腐ってんじゃねぇのか?」


 その男神の言葉にピクリと反応する。一瞬キッと睨んだが、彼の皿の上にある肉を見て小馬鹿にした様に反論した。


「ふん、貴様のような未成熟な肉を好むスーパー味音痴の舌では到底わからんのだよ、このロリコン。貴様のような者は一生そこで完成品の味を知らないままその肉をしゃぶっているがいいのである。」


「んだと!やんのかコラ!」


「お相手するのである。」


 二人が立ち上がり、机がガタンと揺れる。それにより、今まで無視をしてきた他の神達も彼等に視線を向けた。


「机を揺らすなアブノーマル共!遊ぶなら外でやれ!今は食事中だ!」


 ロリコンと呼ばれた男神の右隣に座っていた女神が声を荒げた。彼女の皿から血と一緒に肉が数個服へと溢れていたからだ。


「テメェが一番アブノーマルだろうが!指マニア!」


「貴様が一番気持ち悪いである!」


「ああ!?なんだと!?誰の、何が気持ち悪いって!?」


 彼等の言葉に触発されて、彼女まで参戦する。そして、まさに神達の取っ組み合いの喧嘩が始まろうとしていた。


「静かにしろ、バカ共」


 しかし、とても低い重圧のある声が彼等の動きを止めた。三柱ともゆっくり声の主に視線を向ける。


「これだから、子供達は困る」


 何処かの国の旗が刺さっているうす赤色のご飯とハンバーグ、そしてプリンがあるセットを食べている長い髭を生やした主神たる男がそこにいた。


「「「お前が言うな(である)!その顔で気持ち悪いんだよ(のである)子供飯!!」」」


「よし、戦争だ。」


 普段、仲の悪い三神が久ぶりに息があった。

 さすがに怒ったその主神シミラーが腰を上げようとしたその時だった。


「お食事中に恐れながら失礼いたします!」


 突然、大声を出しながら神達の所に割り込んできた。神の食事中に入り込むなど、天使ですら許されない行為である。


「何事だ!」


 しかし、その天使がサハラン4熾天使の一翼第4天使ケミトムスであった為、ただ事ではない事がすぐにわかった。


「この神界に侵入者が入り込みました!」


「何だと!」


 あまりの事のシミラーは驚きを隠せなかった。それは、他の神も同じだった様で目を見開いて驚いていた。なぜなら、この神界に侵入者が入るなど前代未聞の事だったからだ。


「今すぐここにいる全ての下級から上級の天使を向かわせろ!4熾天使からはコロニエルを出せ!もしかしたらあいつか、その手の者かもしれん!神界に侵入してくる様なやつだ。どちらにしろ、只者ではない!お前ら神も戦闘準備をしておけ!もしかしたら我らが出なくてはならぬかもしれん!」


 シミラーが素早く天使に指示を出し、自分達も武装を整えようと席を立つ。しかし、ケミトムスの口から思いもよらない事が飛び出した。


「そ、それが!コロニエルは先陣を切って侵入者と対峙しましたが、あっけなく討ち死にされました!」


「っ!?な、ばかな!?コロニエルは4熾天使の中でも屈指の攻撃力を持つ天使だぞ!それがあっけなくだと!」


「はい。コロニエルの攻撃を受けた者は無傷ままコロニエルの首を切り落としました!」


「なんたることか・・・」


 あまりの事に椅子に座り込んでしまう。それほどまでに衝撃的な事だったのだ。天使とは主神である彼が作った生命の一つである。特に、4熾天使は一番初めに作った第一世代の天使であり、コロニエルはその中でも長男に位置する者だった。最古参の天使を失った悲しみは他の神に比べて、シミラーが一番深かった。


「主神よ、コロニエルが殺られたとなれば、他の天使でも敵うまい。ここは私が出るのである。」


 悲しむ主神に対し、先程までの様な態度とは一変した至って真面目な彼の言葉に、シミラーは手で覆っていた顔を上げると彼へ視線を向けた。


「やれるのか?」


「当然である。我輩の『風化』に勝てる者などいないのである。」


 自信満々に言う彼にシミラーは何か確信した表情をすると命令を出した。


「バーバライク、侵入者を排除せよ。」


「了解したのである。」


 この時、まだ誰も気づいてはいなかった。その侵入者はここにいる全員で戦っても、勝てない相手だという事に。




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